JR東日本は3日、線路の状態を遠隔監視できる線路設備モニタリング装置の実用化にめどをつけ、本格導入すると発表した。同社は将来の労働人口減少を見据えた仕事のしくみづくりに挑戦しており、ICT等の先端技術を活用した技術革新に取り組んでいる。今回の線路設備モニタリング装置の本格導入は、その一環として行われる。

  • 線路設備モニタリング装置を構成する軌道変位モニタリング装置・軌道材料モニタリング装置はともに車両の床下に搭載(写真はすべてJR東日本提供)

線路設備モニタリング装置は軌道変位モニタリング装置・軌道材料モニタリング装置で構成され、営業列車の床下に搭載される。

軌道変位モニタリング装置は、レールにレーザーを照射して線路のゆがみを測定し、そのデータを無線によって保線技術センターに伝送する。軌道材料モニタリング装置は距離を測定できるカメラ(プロファイルカメラ)と濃淡が分かるカメラ(ラインセンサーカメラ)により、レールとマクラギを固定する金具(レール締結装置)の状態、レールとレールをつなぐボルト(継目板ボルト)の状態などを撮影する。

  • 軌道材料モニタリング装置の測定状況

これらの装置により、線路保守の分野でビッグデータ分析にもとづくCBM型のメンテナンス手法(状態を把握して最適な時期に補修を行うメンテナンス手法)の導入を図るとのこと。在来線営業列車に測定装置を搭載し、線路状態を遠隔で監視する技術の実用化は国内初という。

線路設備モニタリング装置は今後、2020年度末までに50線区に導入(軌道変位モニタリング装置は39台、軌道材料モニタリング装置は36台)し、同社の線路延長の約70%をカバーする予定としている。