取引先や上司に対して自分の話が理解できたかどうか聞きたいとき、どのような言い方をすればいいのか、戸惑うことはありませんか? 「分かりましたか? 」というのはちょっと気が引けますよね。そこで今回は、相手に「分かりますか? 」「分かりましたか? 」と聞きたいときの正しい敬語表現についてご紹介します。

■「分かりますか? 」の誤った敬語表現

「お客さま、今の説明で分かりましたか?」など、ビジネスシーンには、相手が理解しているかどうかを確認しなければならない場面が多々あります。

敬語には、頭に「お」を付けることで尊敬の意を表す表現方法があります。「分かる」に「お」を付けて、「お分かりでしょうか? 」「お分かりになりましたか? 」という言い方をする人もいますが、何となく「分かってます? 」と言われているように感じる人も多く、取引先や目上の人と接することの多いビジネスシーンには、相応しくありません。

また、丁寧に言おうとし過ぎて、「お分かりになられましたでしょうか? 」という表現を用いる人もいますが、いくつもの敬語表現が重なっていて、スマートではありません。もちろん、これも間違いです。

■「分かりますか?」の正しい敬語表現

では、相手が理解しているかどうかを確認するには、どんな風に聞けばいいのでしょうか。

実は、「分かる」という言葉を尊敬語に変換すると、「お分かりになる」「ご理解いただく」という表現になります。これを疑問形にすると、「お分かりでしょうか? 」「ご理解いただけたでしょうか? 」となりますね。

ここで気を付けたいのが、「お分かりでしょうか」という表現についてです。尊敬語なので誤った敬語表現ではありませんが、前に述べたとおり、「お分かりでしょうか? 」という表現は、「分かってます? 」と上から言われているように感じてしまうことがあります。「分かる」という言葉を用いること自体が、上から物を言っているようで、相手に不快な思いを与える恐れがあるため、やはり、ビジネスシーンには不向きと言えるでしょう。

その点、「ご理解いただけたでしょうか」「ご理解いただけましたでしょうか」という表現は、「分かる」という言葉が「理解」という言葉に置き換えられており、敬語としても正しく、無難な表現であると言えます。このように、「分かる」という言葉を別の言い方に置き換える表現は他にもあります。次項で、例文を用いて紹介していきましょう。

■「分かりますか? 」の正しい敬語表現と例文

「今の説明で分かりましたか? 」と聞きたいとき

・今の説明で、ご理解いただけましたでしょうか?

・説明に不備はございませんでしたか?

・説明にご不明な点がございましたら、遠慮なくおっしゃってください。

相手が分かっているかどうかよりも、自分の説明で十分に伝わったかどうかに重点を置くと、自然と謙虚な言葉づかいになるでしょう。

■知っているかどうかを尋ねるとき

これまでは、自分の言っていることに対して「分かりますか? 」と尋ねるときの敬語表現を中心に紹介してきましたが、「知っていますか? 」という意味合いで使いたい場合には、「ご存知ですか? 」という表現に変換します。

「A社がどこにあるか、分かりますか? 」

・A社がどこにあるのか、ご存知ですか?

「先方の担当者の名前って、分かりますか? 」

・先方の担当者の名前をご存知でしょうか?


今回は、「分かりますか? 」の敬語表現についてお話ししました。「分かる」という表現を直接用いると、どうしても上から目線と思われがちです。別の言葉で言い換えるなどして、なるべく謙虚な姿勢が伝わるよう心がけましょう。