東映Vシネクスト『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』が2018年6月30日より全国劇場にて公開され、東京・新宿バルト9では坂本浩一監督と主要キャストが登壇し、初日舞台挨拶を行った。
Blu-ray&DVDの発売のみならず、期間限定での劇場公開も行われる「東映Vシネクスト」として製作された本作は、2018年2月に終了したスーパー戦隊シリーズ第41作『宇宙戦隊キュウレンジャー』と、2017年に劇場公開&映像ソフト発売が行なわれたVシネマ『スペース・スクワッド』との豪華コラボということで、発表以来特撮ファンの間で大いに話題を集めている。
宇宙幕府ジャークマターが滅びてから4年後、平和になったと思われた宇宙に不穏な空気が流れる。リベリオンが開発した「ネオキュータマ」が、かつてキュウレンジャーとしてジャークマターと戦ったひとり・カメレオングリーン/ハミィによって盗まれたというのだ。この事件をきっかけに、それぞれ別な場所へ散らばっていたキュウレンジャーの仲間がふたたび結集するが、ハミィへの対応をめぐって、彼らの考えは真っ二つに分かれてしまった。ハミィの不可解な行動の影には、別の宇宙からやってきた「宇宙忍デモスト」の存在があり、デモストはネオキュータマを使って死の世界から4人の「ヴィランズ」を甦らせていた。そんな中、デモストを追って次元の穴を超え、スペース・スクワッドの宇宙刑事ギャバン、宇宙刑事シャイダーがキュウレンジャーのもとへとかけつける。果たしてデモストの目的は何か、ハミィの裏切りの理由とは、そしてバラバラになったキュウレンジャーの絆は元に戻るのか……?
MCを務めるのは、スーパー戦隊の熱狂的ファンで「ぼっち戦隊ミヤジマン」という独自の名乗りポーズまで作ったというフリーアナウンサーの宮島咲良。本日もシシレッドとギャバンのフィギュアをアクセサリーにして、気合いをみなぎらせながら進行を行っていた。
宮島の呼び込みでステージに現れたのは、シシレッド/ラッキー役の岐洲匠、サソリオレンジ/スティンガー役の岸洋佑、ヘビツカイシルバー/ナーガ・レイ役の山崎大輝、カメレオングリーン/ハミィ役の大久保桜子、カジキイエロー/スパーダ役の榊原徹士、コグマスカイブルー/佐久間小太郎役の田口翔大、ホウオウソルジャー/鳳ツルギ役の南圭介、ショウ・ロンポー総司令の声を演じる声優の神谷浩史、宇宙刑事ギャバン(typeG)/十文字撃役の石垣佑磨、宇宙刑事シャイダー/烏丸舟役の岩永洋昭、そして坂本浩一監督の総勢11名。
キャスト陣は、劇中で見せる抜群のチームワークと同じく、苦楽を共にした仲間同士ならではの軽妙なかけあいを繰り広げる。その中でもひときわ"笑い"をとっていたのが南だった。榊原や田口が「おはようございます。ホウオウソルジャー役の……」と挨拶でボケをかました瞬間を狙って南は「違う違う! 違うから!」とあわてて突っ込んだ上に「間違えないでね! 初めて(の取材)じゃないんだから!!」と、なんと最前列に座るマスコミ記者席をもイジるなど、どん欲に笑いを狙っていた。
岐洲は「石垣さんとはテレビの第18話で共演したとき、絶対またどこかで会えるから、と言ってくださった。そのときがこんなに早く現実化してうれしい」と、次元を越えて共演を果たしたギャバン=石垣との再会をうれしそうに振り返った。「自分専用の能力が使えるキュータマがあれば、どんなものが欲しいか?」という問いには、「どこにでもすぐに行ける瞬間移動キュータマ、なんてのがあったらいいな」と、さわやかな笑顔を浮かべながら語った。
南は「この作品で僕は宇宙大統領をやらせていただいていて、誰よりもいちばんどっしり構えていると思ったら、なんともうひとつの宇宙から先輩(宇宙刑事)たちがやってくるとは、宇宙は広いなあ!」と、終始ハイテンションでギャバン、シャイダーとの共演劇についてのコメントを残した。
石垣は「いろいろなヒーローと共演してきて、「今度はどんなヒーローと共演したいか?」とよく聞かれますが、コイツとは共演したくない!」とまさかの共演NGを出し、南をあわてさせた。石垣の「お前だけ宇宙大統領でいればいいよ(笑)」という言葉に対し、南は「宇宙でしょう! 宇宙で会いましょうよ!! 宇宙は広いんだから、会えるさ!」とまくしたて、再共演を切望した。
ステージ上に沈黙が少しでも流れるとすぐマイクを持とうとする南のトークにかける情熱を間近で体験した神谷は「すばらしいですよ。"南劇場"をこの距離で見られますからね! 大迫力です!」と絶賛。すると岸から「横にいると(南の)ツバが飛んでくるから気をつけてください! 4Dですから(笑)」と最高のフォローが入り、会場を笑いに包んでいた。
『スペース・スクワッド』および『キュウレンジャーepisode of スティンガー』を手がけ、両ヒーローの個性や特徴を熟知している坂本監督は「撮影自体は、大変なことが多かったのですが、みんなと過ごした時間はとても楽しかった」と、個性豊かなキャスト陣と力を合わせ、困難な状況をも楽しさに変えて撮影を乗り越えたことに満足した様子だった。
前作『スペース・スクワッド』およびその前日譚にあたる『ガールズ・イン・トラブル』では、宇宙を脅かす「幻魔空界」十二使徒が暗躍していた。本作でも宇宙忍デモストが幻魔空界の手先として暴れ回っていたが、「今後、どんな敵と戦ってみたいか?」というMCの問いに対して、神谷は「まだ幻魔空界の十二使徒はすべてが明らかになっていませんからね。どんな奴が残っているのか、気になります。声優である僕としては、やはり"悪"っていうと飯塚昭三さんの声を思い浮かべるんです。飯塚さんが声を演じる悪役と戦ってみたいですね」と、『超人バロム・1』(1972年)の魔人ドルゲ、『人造人間キカイダー』(1972年)のハカイダー、『宇宙刑事シャリバン』(1983年)の魔王サイコ、『宇宙刑事シャイダー』(1984年)の大帝王クビライ、『天装戦隊ゴセイジャー』(2010年)の惑星のモンス・ドレイクなど、多数の特撮作品で悪の戦士、悪の帝王の声を演じてきたレジェンド声優・飯塚昭三の"参戦"を願った。
キュウレンジャーの仲間を裏切って宇宙忍デモストにつくという、今回の作品で重要な役どころとなった大久保は、「今後共演してみたいヒーローは?」という問いに「今回の作品でハミィと深く関わったヴィランズのひとり・メレさんと今度は一緒に戦ってみたいですね」と語り、メレを演じた先輩女優・平田裕香との共演を熱望した。この発言を受けて、ヒロインとアクションが大好きな坂本監督がニヤリとしたことで、周囲から「もう構想が浮かんだんですか?」と冷やかされる場面も見られた。
キュウレンジャーとして1年間もの長きにわたって戦いを続けてきた岐洲の姿を見た石垣は「テレビでの共演から1年ぶりに会った岐洲くんは、もうソルジャーの顔になっていました」と、たくましく成長した姿を絶賛。すると神谷がすかさず「田口くんも大きくなったよね」と、ただいま成長期真っ最中の14歳・田口を指して笑顔を見せた。さらには、南が「うちのカジキイエローも声が高くなりましたからね」と榊原の声の高さがより成長したとアピール。榊原はこれを受け、「ちょっと耳のいい方はふさいどいてくださいね」と前置きしつつ「カージキィイエロォーッ!」ととっておきの高音ボイスで名乗りを披露した。
そして話題は、日本が決勝トーナメント出場を果たしたことで現在最高潮に盛り上がっているロシアのワールドカップに及び、「優勝するのはどの国か?」という予想をキャストそれぞれが行なう流れに。大のサッカーファンである田口は「フランス」と答えたが、岩永は「ベルギー」とトーナメント初戦で日本と当たるベルギーを推した。「日本には勝ってほしいとは思いますが、ベルギーは強いですから!」と、岩永は世界の強豪同士が繰り広げる激しい戦いに大きな期待を込めて語った。
ワールドカップ予選で大活躍した日本代表チームの大迫勇也選手を評した「半端ないって!」が現在大流行していることにちなみ、「メンバーの中でいちばん半端ないのは?」という問いに対しては、石垣が「南でしょう!」と即答。「ヒゲの伸び方が半端ない! 岩永さんのようなダンディなヒゲじゃなくて、青いヒゲですからね!!」と続けて、会場を爆笑させた。同じ質問を投げかけられた神谷は「坂本監督ですね! まあエッチなんですけど(笑)、それがバイタリティにつながっているのかなと思うくらいいつも笑顔で、現場を明るくしてくれるんです」と、坂本監督の明るさと情熱を大絶賛していた。
東映Vシネクスト『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』は、2018年6月30日より全国30館にて上映中。8月8日には東映ビデオからBlu-rayおよびDVDが発売される。詳細は公式サイトを参照していただきたい