ロジクールは6月27日、スポーツイヤホンブランド「Jaybird」に関するプレスセミナーを開催しました。日本でも「スポーツしながら音楽を楽しみたい!」というニーズが高まりをみせるなか、ロジクールがどのような考え方やストーリーで、ユーザーニーズに応えていくのかなどが語られました。
ロジクールでJaybirdブランドマネージャーを務める黄祐仁氏は、「2000年代初頭はワイヤレスのイヤホンは非常に少なく、ほとんどが有線のイヤホンだった」と振り返りつつ、2017年からワイヤレスイヤホンが急激に伸び始め、今後は一層の拡大が予想されると分析しています。
2006年に設立されたJaybirdは、音楽やサウンドというよりも、アスリートやスポーツに主軸を置いたブランド。「スポーツに最適なイヤホン」……、有線だと運動中にケーブルを引っかけるなど、ケガやリスクの原因にもなりえます。そういった心配をワイヤレスで排するとともに、スポーツを存分に楽しみながらより快適に音楽へ没入してもらおう、というコンセプトのもと、数々の製品を世に送り出しています。
スポーツブランドとしての生い立ちを持つJaybirdですが、音楽を聴くことによって、何とスポーツ時のパフォーマンスが向上すると黄氏。確かに、スポーツ中継などを注意して見ていると、音楽を聴いているアスリートは多いですよね。
Jaybirdは、全米でも有数のウィンタースポーツのメッカ、かつアスリートにもなじみあるユタ州パークシティへと拠点を移し、スポーツと音楽の関係性を科学的に追求するべく専用のラボを設立。ラボのトップには、レッドブルで「ハイ・パフォーマンス・ディレクター」として活動していたアンディ・ウォルシュ氏を招き、どうやったらアスリートのギアとして役立てるかを追求しているそうです。
研究テーマとしては、空気抵抗やイヤホン自体の音質、そして重要な要素のひとつでもあるフィット感。耳のかたちは人によって千差万別ですし、左右の耳でかたちが異なることもあるのだとか。そんな場面でも、まるでオーダーメードしたスーツや靴のようなフィット感をイヤホンでも実現するため、研究が行われているそうです。
Jaybirdがおもなユーザー層として想定するのは「ランニング」ですが、ランニングの定義は広いため、広く「走る行為」をしている人をランナーと呼ぶことにしたのだとか。競技としてマラソンを楽しむ人もランナーだし、寝坊して朝遅刻しないように駅まで走る人もある種のランナーということ。
ランニングにフォーカスした理由はまだあり、日本のアマチュアマラソン市場は米国を抜いてトップの座について以降、急成長を続けているといいます。例えば、東京の皇居周辺には、いわゆる「皇居ランナー」がたくさん走っています。皇居周辺は、1日に1万人ものランナーが走っているという、世界でも希有なスポットなのです。
Jaybirdは、そんな皇居周辺に点在するランニングステーションとコラボレーションを図り、無料でJaybird製品の貸し出しを行うなどしています。3,000人を超える人が「ランニング+音楽」を体験し、ブランドと製品の認知を広げていったそうです。
それ以外にも、ひとつのキーイベントを軸として、複数のタッチポイントを展開する活動を行っているといいます。ソーシャルはもちろん、ランニングイベント、大会の協賛などを通じて「スポーツブランドとして浸透してきた実感がある」と黄氏。
今後は、デジタル・インフルエンサーの強化に取り組むとのこと。その一環が、先日6月24日に開催された「サロマ湖100kmウルトラマラソン」への取り組みとJaybird所属アスリート・川内鮮輝氏のサポートだったそうです。
4位入賞を果たせば日本代表として次のステップへ進める大会でしたが、結果は惜しくも5位でのフィニッシュ。自身の夢・目標の実現に背中を押してくれたJaybirdへの恩返しとして、チームメイトが無事に走りきれるよう音楽を流して応援したそう。川内さんは「音楽によって応援する側、される側で絆が生まれた」と語ってくれました。
セミナーの最後で黄氏は、「今回のチャレンジでは残念な結果に終わったが、我々は川内氏が設定したゴール、目標の実現を応援し続けます。スポーツブランドとして打ち出してきた方向性の正しさ、パッションを持った人の背中を押す姿勢は間違っていませんでした」と。今後、業界でも大きなイノベーションにつながる製品を世に送り出せればと、新製品への意気込みも語ってくれました。