インテルは6月26日に関係者に向けた開催した定期説明会で、主にCES 2018とCOMPUTEX TAIPEI 2018において発表したクライアントPC向け製品に関する最新情報を紹介した。
2018 CESとCOMPUTAX TAIPEI 2018のインテルニュースをざっくり復習
インテル 執行役員 マーケティング本部長の山本 専氏は、クライアントPCにおける最新動向について、「e-Sports」「コンテンツ制作」「VR/Ultra MR」「業務利用PC」といった分野や用途で需要が増加するとともに、処理能力に対する要求の向上しているという。
e-Sports需要については、ゲーミングPC(CPUにCore i5クラスもしくはCore i7 Hシリーズクラス、または、AMDのFXクラス、A10クラスを搭載し、GPUに3DMarkのスコアが2000以上の独立モデルを搭載する)で、2017年の売り上げが2016年の45%増であったことを根拠として紹介している。
業務利用PCについては、インテルが独自に調べた法人向けPCとモバイルワークステーションの売り上げが、2015年から2017年で25%増加したほか、企業IT部門における「働き方改革」「リモートワーク」「生産性向上」といったキーワードによる影響もあると評価している。
続いて山本氏は、クライアント向け製品の状況も紹介。2018年4月にノートPC向けとしては初めてのCore i9グレードとなる「Core i9-8950HK」を投入。例えば、ゲームプレイ時(Total War:WARHAMMER II)のフレームレートが、前世代のハイエンドCore i7-7820HKと比べて最大41%向上したとアピールする。また、Intel Core iプロセッサとIntel Optaneメモリを組み合わせた「Intel Core i+」ブランドを立ち上げ、エンドユーザーへ訴求したい考えだ。
通信分野でも6月14日に規格策定作業完了を発表した5G(第5世代移動通信)へ積極的な取り組みを見せている。グローバルの販売パートナーとしてSprintが加わったほか、AcerやASUS、Dell、HP、Lenovo、Microsoftといったパートナーと協業し、Inteの5G対応モデム「XMM8000」シリーズを搭載したPCが2019年に登場するという。
なお、現在IntelがMicrosoftなどと協業している「Always Connected PC」に関しても、2018年時点で4G対応モデルが25機種登場していることや、今後もAcer、ASUS、Dell HPなどから10機種の新製品が市場に投入されるとした。
併せて山本氏は、2018年秋に新CPUとして、「Whiskey Lake-U」「Amber Lake-Y」(ともに開発コード名)が登場する予定であることも紹介している。
ゲーミングPCにつづいては、クリエイター向けPCを強化
さて、クライアントPCの需要を増やす主要な要因として取り上げた“コンテンツ作成”では新たに「クリエーター向けPC」というカテゴリーを設定し、「優れたパフォーマンス」「洗練されたデザイン」「高い柔軟性」を併せ持つ、クリエーターのワークフローに最適化したテクノロジーを提供するとしている。
クリエーター向けPCについては、Acer、ASUS、Dell、HPといったPCベンダーに加えて、メモリベンダーのCorsair、グラフィックスカードベンダーのMSIともOEMパートナーとして協業して、クリエーター向けに特化した周辺機器やアップグレード可能なフォームファクタを用意するという。ハードウェアの構成要素としては、CPUにCore i7もしくはi9クラスを搭載し、Thunderbolt 3をサポート。ストレージにOptane SSDを備えるものとした。
日本だけでも「東京ドームが何度も満席」の応募があった8086Kキャンペーン
Intelは、「8086」プロセッサ登場40周年に合わせて、限定版CPU「Core i7-8086K」の発表に合わせて、プレゼントキャンペーンを実施。当選者にはすでにそれを知らせるメールが配信されている。山本氏によると、わずか24時間の応募受付期間でも、日本だけで「東京ドームが何度も満席になるほど」の応募があったことを紹介した。この反響の大きさから山本氏は、PCの市場はまだまだ強いと感じたという。
登場から3年目を迎えるインテル Optaneテクノロジーはどうなる
インテル 執行役員常務 技術本部 本部長の土岐英秋氏は、COMPUTEX TAIPEI 2018で発表した「Intel Low Power Displayテクノロジー」と、2015年に発表して採用製品が増えてきたIntel Optaneテクノロジーについて概要を紹介した。
Intel Low Power Displayテクノロジーでは、Intelの電力管理技術とシャープ・Innoluxとの協業で、消費電力を半分にしたディスプレイパネルを開発した。これによって、動画再生時のバッテリー駆動時間を従来のパネルから4~8時間ほど伸ばことが可能で、製品レベルでは最大28時間のバッテリー駆動時間を実現する可能性があることを示した。
Intel Optaneテクノロジーを採用した製品も次々に登場しているが、Intel OptaneテクノロジーとIntel 3D NANDテクノロジーとのすみわけについて「3D NAND=より低コストで高密度なバルクストレージ」「Optane=より高いパフォーマンスを生かした作業用ストレージもしくはキャッシュメモリ」と解説している。
土岐氏は、Intel Optaneメモリーの用途として、低速なストレージと高速なDRAMの間に投入することで「低価格なれど低速な大容量ストレージをプラットフォーム全体で高速化する」のに適していると説明する。
Intelのテストでは、単純な性能としてモバイル向けの「Intel Optane SSD 800P」によって最大1.3倍、デスクトップ向けの「インテル Optane SSD 900P」によって最大1.9倍の改善が、日々の業務用途では2.1~2.2倍、ゲーム用途では3.9~4.7倍、クリエイティブ用途では1.7~3倍の高速化を確認できたという。
今後は、データセンター向けにXeonと組み合わせたプラットフォームによってクラウドでサービスを提供するアプリケーション(SaaS)のパフォーマンス改善や、クライアントPCでも起動とレジュームの高速化などを図っていくとしている。