2018年7月7日よりテレビ東京系で放送される新番組『ウルトラマンR/B(ルーブ)』の製作発表会が6月7日、東京ビッグサイト「東京おもちゃショー」内で開催された。1966年に放映されて以来、半世紀以上もの長きにわたって子どもたちを魅了し続けてきた「ウルトラマン」シリーズの最新作となる本作では、シリーズ史上初となる「兄弟ウルトラマン」を主人公に迎えた物語となった。
まず初めに、『R/B』のメイン監督を務める武居正能氏がステージに現れて、作品の概要を説明。武居監督自身が過去にさまざまなウルトラマンシリーズに助監督、監督として関わっており、その経験を踏まえて本作では『コメディー色』『家族愛』『成長するヒーロー』というテーマで、新しいウルトラマン像を作っていく決意を表明した。
続いて武居監督は「兄弟のウルトラマンを中心にストーリーが展開します。この世界では、まだ怪獣やウルトラマンが出現したことがなく、人々にはっきりと認知されていないという設定です」と、大まかな本作の世界観を解説。人々が過去にウルトラマンや怪獣と遭遇しており、怪獣や宇宙人から地球を守るための特捜チームや、ウルトラマンをバックアップする秘密基地などが存在する従来の「ウルトラマン」シリーズとは一味違う「日常性」を大事にした作品世界を今一度強調した。
特捜チームが登場せず、民間の人々が物語の中心になる「ウルトラマン」シリーズには、過去にも『ウルトラマンギンガ』(2013年)や『ウルトラマンオーブ』(2016年)、『ウルトラマンレオ』(1974年)の第40~51話(恐怖の円盤生物シリーズ!)など、まったく例がなかったわけではないが、本作『R/B』の場合、これまでのシリーズではあまり深く描かれることがなかった「主人公兄弟の日常生活」を中心に、魅力的なストーリーが展開していくのだという。
さらに武居監督は「私がいま着ているこのTシャツに書いてある文字のとおり、メインの舞台は綾香市という街になります。綾香市は1300年前に『妖奇星(あやかほし)』という隕石のようなものが飛来したという伝説が残っている都市。主人公たちの父親である湊ウシオは、この綾香市でセレクトショップ・クワトロMを経営していて、街の経済の中心になっているのが『アイゼンテック』という世界的にも有名な企業です。『妖奇星』『湊家』『アイゼンテック』というキーワードを3つの柱として、ホームコメディーの色合いの強い作品を目指して作っていきたいと思います」と、劇中でウシオがデザインしたという独特なセンスのTシャツを見せながら、本作の世界観、基本設定を紹介した。
リアリティのある「日常」から物語が始まって、怪獣の出現により「非日常」の世界へ変質・発展していくというのは、まさに王道的「怪獣映画」のフォーマット。武居監督の言う「日常性を重視したホームドラマ」および「コメディー色の強いドラマ」という要素を盛り込んだ第1話「ウルトラマンはじめました」(脚本:中野貴雄/監督:武居正能)がどのような作品に仕上がっているのか、大いに期待が持たれる。
やがて、突然ステージに火炎骨獣グルジオボーン(第1話登場)、そして用心棒怪獣ブラックキング(第2話登場)が襲来。武居監督によるとグルジオボーンは「綾香市の伝説に出てくる怪獣」であるとのこと。会場がパニックに陥ろうとした寸前、さっそうと本作の主人公・湊カツミ、湊イサミの兄弟が現れた。「おい怪獣! 俺たちが相手だ」と言いながら兄弟はルーブジャイロをかかげ「オレ色に染めあげろ! ルーブ!」と叫び、カツミはウルトラマンロッソ フレイムに、イサミはウルトラマンブル アクアへと変身した。2人のウルトラマンは兄弟ならではのコンビネーションプレイでグルジオボーンとブラックキングに対して一歩も退けを取らない戦いぶりを見せていた。
しかし、やはり2大怪獣は強い。そこでウルトラマンロッソとウルトラマンブルはお互いの「ルーブクリスタル」を交換してウルトラマンロッソ アクア、ウルトラマンブル フレイムへと“タイプチェンジ”を行い、戦法を変えながらグルジオボーンを攻撃した。2人の兄弟ウルトラマンは、火のエレメントを宿したタロウクリスタルや、水のエレメントを宿したギンガクリスタルといった「ルーブクリスタル」を取り替えることにより、さまざまな状況に対応することのできるタイプチェンジが可能になるようだ。
平和の戻ったステージには、湊カツミ、イサミ兄弟をはじめとする、本作のメインキャストが結集した。
生真面目だが、時に熱血の面を見せる湊カツミ役・平田雄也は、兄弟ウルトラマンという本作の設定について触れ「撮影が始まったときから、兄弟のコミュニケーションを大事にしようと意識をしました。だんだんと湊家のみんなが打ち解けていくというか、ひとつになっていく感じが見られます。毎日、とても楽しい日々を送っています」と、本作の特色である「ホームコメディー風味」の核となる湊家のチームワークが培われていることに満足げな様子を見せた。
明るく前向きなムードメーカー的性格の湊イサミ役・小池亮介は「まったくふつうの兄弟を演じますので、ウルトラマンに変身してからもケンカはするし、間違って兄貴を攻撃してしまうとかありますし(笑)。でも、最終的には2人で協力して目標を達成していく、兄弟の絆を感じながら撮影が進んでいきます」と、こちらは弟らしく、兄・カツミとのコンビネーションについて、確かな手ごたえを感じながらコメントした。
湊兄弟の妹で、争いごとを嫌う平和主義者の明るい女子高生・湊アサヒを演じる其原有紗は「観てくださる方がハッピーになるように、笑顔いっぱい頑張ります!」と、役にかける意気込みを天真爛漫そのもののまぶしい笑顔で語った。
湊家の父親で、セレクトショップ「クワトロM」の経営者。さらに自身のブランド「Ushio Minato」のデザイナーをも務めている湊ウシオを演じる山崎銀之丞は「撮影初日から、カツミもイサミもアサヒも本当の息子や娘のようにそこにいてくれて、心強かったです。現在の撮影は半分が終わったあたりで、これから半分、まだまだ楽しい撮影の日々が過ごせそうです」と、まるで実際の親子関係のごとく、平田、小池、其原という若いキャストを優しく見守る父の表情を浮かべながら話していた。
綾香市の名士であり、宇宙開発や未知のエネルギー開発などで世界から注目されている大企業・アイゼンテックの社長を務める愛染マコトを演じる深水元基は「どうです、この衣装! お金持ってそうでしょう?(笑)」と、登場の時からテンション高めな大声でスピーチを行った。愛染の役については「愛染マコトはすごいハイテンションで演じないといけないので、撮影が終わったあとはグッスリ眠れます。どんな人物なのかは、放送を楽しみにしてください!」と、やはりエネルギッシュな愛染を演じるためにかなりのカロリーを使っていることを明かしつつ、謎めいた役柄を楽しんでいる様子だった。
続いて、この日完成したばかりという『ウルトラマンR/B』第1~3話の見どころを凝縮した「スペシャルムービー」がスクリーンに上映された。
そして、本作の音楽情報が明らかとなった。主題歌「Hands」を歌うのは、アーティスト・作詞作曲家として活躍するオーイシマサヨシ。エンディング曲「夢飛行」を歌うのは、前作『ウルトラマンジード』で地下基地「星雲荘」の報告管理システム「レム」の声を務め、第19話ではレム人間態として出演も果たした人気声優の三森すずこ。そして音楽を担当するのは、ハードロックとオーケストラを融合した重厚かつ華麗なサウンドを得意とする高梨康治(Team-MAX)。これら豪華な布陣で、『ウルトラマンR/B(ルーブ)』の音楽世界が作り出されるのだ。
最後に一言コメントを求められた小池は「今回の作品は“家族愛”がテーマ。ウルトラマンを通じてどのように兄弟や家族の絆が深まっていくのか、ぜひ楽しみにしてください。みなさんが湊家を愛していただけたらな、と思います」と笑顔で語った。そして平田は「この作品は、ウルトラマンへの情熱が熱いスタッフたちが集まって作っています。『R/B』では、今までにない新しい設定、新しい要素が多いように思います。それだけに、常に試行錯誤しながらみんなで頑張って、前身していく毎日を過ごしています。放送が始まったら、ぜひ多くの人たちに楽しんでいただきたいですね」と、スタッフの「ウルトラマン愛」をアピールしながら、たくさんの人たちに視聴してほしいと熱く呼びかけていた。
新番組『ウルトラマンR/B』は2018年7月7日より毎週土曜日あさ9時~9時30分、テレビ東京系にて放送される。全25話。
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンR/B製作委員会・テレビ東京