内閣府は6月25日、40代の平均賃金の動向についてまとめた結果を発表した。それによると、正社員に相当する「雇用期間に定めのない労働者」の年齢階級別所定内給与について、2010年~2012年平均と2015年~2017年平均を比べたところ、40代の給与のみ5年前より減少していることがわかった。
労働者数増加により役職比率が低下
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」における年齢階級別の所定内給与について、2010年~2012年平均と2015年~2017年平均を比べたところ、全年齢平均では31.0万円から31.9万円に増加した一方、40~44歳では34.7万円から34.1万円、45~49歳では37.9万円から37.4万円に減少した。
40代の所定内給与について企業規模別にみると、常用労働者数10~99人の企業では28.7万円から29.4万円に増加。他方、100~999人では33.2万円から32.8万円、1,000人以上では41.6万円から39.9万円に減少し、大企業ほど減少幅が大きいことがわかった。
さらに常用労働者数100人以上の企業における部長級、課長級の役職比率を調べたところ、全体的に5年前より昇進が遅くなっていることが判明。一方、部長級、課長級の人数は比率が低下している中でも増加しており、「役職比率の低下は世代の労働者数の増加に起因している」ことが明らかになった。
実際に同規模企業における労働者数は、5年前と比べて40代~50代前半の世代で大幅に増えており、同調査では「2015~17年において、40代後半から50代前半は企業が積極的に採用を行っていたバブル期入社世代、40代前半から半ばにかけては世代人口の多い団塊ジュニア世代にあたるところ、労働者のボリュームゾーンとなっている」と分析している。
また「役職者数の増加は45歳以上の課長級が中心であることから、上級ポストが空かないことによるポスト待ちのような状況が多く発生している可能性がある」とし、「同一の年齢階級でも役職による給与の差は大きく、一部の年齢層に労働者が偏在することにより生じる役職比率の低下が、40代の平均賃金を下押しする一因になっている」と推測している。