読者のみなさんは、日々のニュースをどこから得ているだろうか。忙しい日々を送る方々の行動をかんがみれば、電車などの移動中で手にするスマートフォンだろう。この分野には多くのアプリが点在しているが、Microsoftは再び、このレッドオーシャンに飛び込もうとしている。

Microsoftが2018年6月20日(米国日時)に発表した公式ブログでは、「Microsoft News」をiOSとAndroid向けにリリースしたと明らかにした。

こちらのリンクに電話番号かメールアドレスを入力すると、各OSのダウンロードリンクを送信する仕組みだが、iOS版Android版ともにそれぞれのストアからも直接ダウンロードできる。

  • Android版「Microsoft News」

  • iOS版「Microsoft News」

上図はAndroid版とダークモードを有効にしたiOS版だが、ご覧のとおりニュースコンテンツはMSN.comと同じだ。Microsoftアカウントに紐付けたカスタマイズ情報を基に、特定のニュースをピックアップするのは、旧ブランドのBingニュースやWindows 10の「ニュース」と同様である。

  • msn.comのニュースページ。「テック」のページを開くと、同じニュース記事がトップに並ぶ

筆者は冒頭で"再び"と述べたが、これは正確な表現ではない。Microsoftは23年わたり、ニュースビジネスに携わってきた。Microsoft Newsも一時期引き上げていたスマートフォン用アプリを、また提供しはじめたという位置付けだ。

ただ、新たに登場したMicrosoft Newsは、ニュースアラートの設定やダークモードを新たに備えている。筆者はiOS上でベータ版を数カ月使ってきたが、当初は自宅の無線LAN環境でも記事の写真が正しく表示されないなど問題が多発していたものの、最新版ではパフォーマンスも改善し、日々の報道を確認できるようになった。

ピックアップする報道記事は、鮮度やカテゴリ、トピックタイプ、意見コンテンツ、潜在的人気などのポイントをAI(人工知能)が精査し、10万件以上の記事から厳選する。その上でニュースコンテンツ担当編集者がチェックした上で、Webやアプリに配信しているという。つまり、AI+人間のキュレーションだ。

  • インドのデリーにあるMicrosoft Media Center(公式ブログより抜粋)

Webコンテンツを特定のテーマに沿って人が精査し、新たな価値を生み出すキュレーション目新しいものではない。すでに多くのニュースアプリが存在し、Microsoft Newsはそれらが持ち得ない独自色を供える必要がある。とある国内アプリランキングサイトによれば、ニュースカテゴリの1位は「スマートニュース」、5位は「Yahoo!ニュース」が並び、Microsoft Newsは95位だった(Twitterなど非ニュースアプリは割愛)。

  • こちらはiOS版の「Google News」

もちろんリリース直後のため、ランクの差をそのまま批評する意味は持たないが、使い慣れた物を置き換える作業は、よほど変更先が魅力的でなければ実行できない。筆者は国内用ニュースアプリとしてGoogle NewsとMicrosoft Newsを併用しているが、多くのユーザーが、複数のニュースアプリを利用する可能性は低い。Microsoft Newsの普及には、さらなるプランが求められるだろう。

阿久津良和(Cactus)