LDHが今、ショートフィルムに挑戦している。HIROと俳優・別所哲也、そしてEXILE、三代目 J Soul Brothers、E-girlsなどに歌詞を提供してきた作詞家・小竹正人の三者によるコラボ企画として、今年1月に第一段『CINEMA FIGHTERS』が公開された。
『萌の朱雀』『殯の森』などで海外から高い評価を受ける河瀨直美を筆頭に、気鋭の監督たちがLDH楽曲の世界観を映像化。AKIRA(EXILE/EXILE THE SECOND)、岩田剛典(EXILE/三代目 J Soul Brtohers)や鈴木伸之、町田啓太(共に劇団EXILE)らLDH所属の俳優たちに加え、山田孝之、倍賞美津子、桜庭ななみ、鹿賀丈史ほか、他事務所からも幅広い顔ぶれが出演していた。
そして6月22日から、第二弾となる『ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project-』が公開になる。今回も、松永大司(『トイレのピエタ』ほか)、石井裕也(『舟を編む』ほか)、安藤桃子(『0.5ミリ』ほか)など、注目の監督たちが参加した。今回、6作品の中から『アエイオウ』に主演した白濱亜嵐と、『Our Birthday』に主演した青柳翔に、話を聞いた。
監督と綿密な話し合い
――この組み合わせは、なかなか珍しいツーショットですね。
青柳:いや、実はそうでもないんですよ。
白濱:昔から結構仲が良くて。ドラマや舞台も一緒にやっていましたし。
――初期の劇団EXILEでは一緒でしたよね。青柳さんが「華組」、白濱さんが「風組」で。
青柳:そうなんです。それ以外の場で一緒になることも多くて。
白濱:15〜16歳で上京した頃からずっと、一時期よく一緒に食事に行ってました。
――今回の『ウタモノガタリ』では、それぞれまったくタイプの異なる作品で主演されています。特に白濱さんの『アエイオウ』(安藤桃子監督)は、世界大戦の開戦が迫る日本で、それを阻止すべく特命任務に抜擢される自衛隊員が主人公で、全体にかなり抽象的な作品だったと思います。安藤監督とは、どんな話し合いを重ねられたんですか?
白濱:クランクインする前に「話したい」と安藤さんに言われて、いろいろざっくばらんに話をしました。それから安藤さんが脚本を書かれて、いただいたものを読んだときはなかなかすぐには理解ができなかったんです。だから「ここはこうなんだろうな」って1シーンずつ僕なりの解釈を決めたり、「どういう意味なんだろう?」と思った部分を現場で監督に質問したりしてつくっていきました。
青柳:亜嵐は普段は明るいから、孤独な青年を演じている目の演技がすごく素敵だなと思いました。あと、お手洗いに行っているシーンもあったりして。
白濱:序盤にありました。そこ注目ですか?(笑)
――青柳さんは『Our Birthday』(Yuki Saito監督)で、結婚を約束しながらいなくなってしまった恋人に囚われている若き社長役を演じられました。
青柳:今回の作品は、過去と現在が交錯するシーンがたくさんあるので、それを二役やるつもりで演じられたらいいね、と監督とお話をしていました。順撮りではないので、バラバラに撮る中でも工夫しながら撮影に臨めたのはすごくよかったと思ってます。英語芝居があったので、そこが毎日吐きそうになってましたね。英語芝居が終わった後、スタッフさんが気を使ってくれて「青柳さん、英語クランクアップで~す」って拍手してくれて。温かい人たちに見守られながら、作品に取り組めたのはすごくよかったと思ってます。
――流暢な英語に聞こえましたが……。
青柳:いや、全然流暢じゃないですよ(笑)。毎日えづいてましたよ。
曲から生み出された物語に感心
――今回の『ウタモノガタリ』は、楽曲からインスパイアされて映像が生まれています。白濱さんの『アエイオウ』の原作曲「何もかもがせつない」は、ご自身のグループGENERATIONSの楽曲です。楽曲と映像のリンクを、お二人は演じていてどのように感じられましたか?
白濱:この歌を聴いて、この世界観を想像した安藤さんのセンスにまず驚きました。自分たちの曲ではありますが、監督が歌からインスパイアされているので、僕もまずは聴き込もうと思って、インする前も撮影中もずっと繰り返し聴いていました。最後のほうには、監督がこの曲からこの作品をつくった気持ちがわかったような気がしました。「とにかくせつなくてたまらない」みたいな歌詞なのに、曲調はちょっと勢いがあるトラックなので、重たいだけではないメリハリの部分が作品にも現れていると思います。
青柳:僕も、「よくこの曲からこの物語を生み出したな」と思いました。どういう物語があって出演者をどう活かすかを考えてくれた上で『Our Birthday』という作品が生まれていると思うので、監督の手腕がすごいと思いました。原作になった「How about your love?」はそんなにハッピーな曲ではないというか……結末は言わないほうがいいんでしたっけ?
――言わないでください(笑)。
青柳:物語が全部終わってこの曲が流れると、ある種虚無感に包まれるというか、心がぽっかりする作品に、曲のおかげで仕上がっていると思います。