米Intelは6月21日 (現地時間)、Brian Krzanich氏が同日にCEO (最高経営責任者)および取締役を辞任し、CFO (最高財務責任者)のRobert Swan氏が暫定CEOを務める人事を発表した。
同社のニュースリリースによると、Krzanich氏と従業員との過去の関係について、社内および外部のカウンシルメンバーによる調査が行われていた (現在も継続中)。合意に基づいた関係だったが、Intelが全ての管理職に課しているNon-Fraternizationポリシーに違反しているとカウンシルメンバーは判断、Krzanich氏に通知した。Non-Fraternizationポリシーは、社員同士の深い交歓や恋愛関係などを原則的に禁じる就業規則だ。機密保持、業務遂行への影響などを理由にNon-Fraternizationポリシーを設けている米国企業は多い。
Krzanich氏は、2012年にCOO (最高執行責任者)に、そして2013年にCEOに昇格した。PC市場の減速によってIntelの大黒柱であったPC向けCPUの出荷が伸び悩み始めた時期に、難しい舵取りを任せられたが、PCセントリック事業を基盤にデータ・セントリック事業などに投資し、非PC事業の成長を加速させる移行戦略を遂行した。その改革が奏功し、非PC事業の売上高が全体の50%近くにまで拡大、売上高の記録を次々と塗りかえる新たな成長期にIntelは突入した。優れたリーダーシップで新たな体制を作り上げたKrzanich氏だけに、辞任の影響が懸念される。
しかし、見方を変えるとIntelはすでに新たな成長の軌道に乗っており、トップの交代で改革が頓挫する心配は少ない。正式CEOの任命が今後の注目点になる。Intel取締役会は「Bob Swanなら、我々が安心して次期CEO探しを進められるようにIntelを導けると確信している」とコメントしている。次期正式CEOについては、企業トップ探しを専門とするエグゼクティブサーチファームと契約し、社内および社外の候補者から絞り込む。
Intelはまた、2018年4月〜6月期の見通しをアップデートした。3月期決算発表時点では6月期の売上高を163億ドルと予測していたが、それを169億ドルに引き上げた。予測通りになれば、6月期の売上高として過去最高。上半期の勢いが持続すれば、2018年は過去最高の年になる。