京成電鉄は19日、旧博物館動物園駅の駅舎の改修工事に7月から着手すると発表した。改修にあたり、新設する出入口扉に東京藝術大学美術学部長、日比野克彦氏によるデザインを使用する。

  • 改修後の「旧博物館動物園駅」イメージ

旧博物館動物園駅は1933(昭和8)年12月開業。当時は駅舎の建設予定地が御料地だったため、御前会議での昭和天皇の勅裁を受けての建設となったという。こうした事情が考慮されてか、駅舎内外の意匠は西洋風の荘厳なつくりに。開業後は帝室博物館(現・東京国立博物館)や恩賜上野動物園の最寄り駅として利用されたが、利用者の減少などで1997年に営業休止、2004年に廃止となった。現在も駅舎やホームなどに当時の姿が残っている。

同駅の改修は東京藝術大学との「連携・協力に関する包括協定書」にもとづく取組みの一環として実施。日比野氏による上野エリアの文化・芸術施設をモチーフとしたデザインを駅舎の外観に取り入れ、上野エリアにおける新たな文化シンボルの創出を図る。

改修工事では、上野エリアの9つの文化・芸術施設「上野の森美術館」「恩賜上野動物園」「国立科学博物館」「国立国会図書館国際子ども図書館」「国立西洋美術館」「東京藝術大学」「東京国立博物館」「東京都美術館」「東京文化会館」をモチーフに、日比野氏がデザインした駅舎出入口扉を新設。駅舎内部の漆喰やタイルなどの補修・清掃、駅舎内部の建具の改修、駅舎外部の清掃等も実施する。

  • 日比野克彦氏による扉のデザイン

工事期間は7月上旬から9月下旬まで。改修工事の完成後、秋頃をめどに駅舎を一部公開し、東京藝術大学と協働して歴史的建築物の魅力を伝える展示等を行う予定となっている。