2018年6月14日(以下すべて米国時間)にMicrosoftがリリースしたWindows 10 Insider Preview ビルド17692には、タッチキーボードによるSwiftKeyのサポートや、アクセシビリティによるテキストサイズの調整機能が加わった。だが、注目すべきは、同社が説明する「本ビルドからWebDriverによるMicrosoft Edgeの自動化が容易になった」点である。
WebDriverは、元はWebアプリ用テストツールの1つ「Selenium WebDriver」をベースにしたものだ。現存するSelenium版とW3C版は似て非なるもので、2018年6月5日にW3Cが勧告したことで、WebDriverは標準的なWeb技術となった。
Microsoft EdgeによるWebDriverのサポートは比較的古く、Windows 10リリース前となる2015年7月23日の時点でMicrosoftは、WebDriverへの対応を表明している。ただ、同機能を有効にするにはWebサイトから個別にパッケージを入手しなければならず、煩雑な状態だった。
ここを大きく改善したビルド17692は、「機能の追加」から追加可能となり、自動的にMicrosoft Edgeのバージョンに合わせて最新の状態を保つという。
さて、話は2018年5月31日リリースのWindows 10 Insider Preview ビルド17682までさかのぼる。同ビルドでは、RSAT(リモート サーバー管理ツール)も同じようにオンデマンド機能(FOD: Features on Demand)に含めている。RSATはクライアントOSからWindows Serverの役割と機能をリモート管理するツールとして使われてきたが、個別にダウンロードし、インストールしなければならず、IT管理者に負担がかかっていた。
このようにWindows 10に付与される機能が、1カ所に集約しているのは実に便利だ。従来は「Windowsの機能」が同様の機能を担ってきたが、Windows PowerShellの登場でバッチ処理が可能になり、今回のようにFODへ移行しつつある。
一方でHyper-Vなど多くのユーザーが利用する機能はFODに並ばず、Windowsの機能(もしくはWindows PowerShell)から操作しなければならない。統一感のなさは目立つものの、コントロールパネルから「設定」へWindows 10の設定項目が順々に移行していくように、Microsoftは各機能の管理もFODにまとめる考えがあるのだろう。ただ、コントロールパネル→設定の話はWindows 10リリース直後に同社エンジニアがセッションで語っていため、既に3年の月日が経つ。
個人的にはなかなか進まない印象を持っているが、回りのユーザー、特に法人ユーザーからすれば、"変化は悪"のようである。しかし、Windows 10は常に進化し続けるOSだ。5回の機能更新プログラムを経たWindows 10 バージョン1803を目にすると、ファーストリリース版となる同バージョン1507は野暮ったく見えるだろう。我々はそろそろマインドセットを変えるべきだ。
阿久津良和(Cactus)