コンパクトSUVは日本でも流行していて、2017年はトヨタ自動車「C-HR」が大いに売れた年となったが、その割にマツダ「CX-3」は大ヒット商品になっていない。その理由をマツダはどう分析し、今後の反転攻勢を狙うのか。大幅改良を受けたCX-3の試乗会で探った。
相手が悪かった側面もあるが……
コンパクトクロスオーバー車のマツダ「CX-3」は、3年前の2015年2月に発売となった。クロスオーバー車とは複数の車種の利点をあわせもったクルマを指すのだが、CX-3は小柄なSUVと見え、その寸法は日本の道路事情に最適なようだ。
しかしながら、2017年の国内販売台数は約1万5,000台で、月平均1,250台の水準にとどまっている。これに対し、欧州市場では同年に約5万7,000台が売れており、国内市場での不振が目立つ。その理由をマツダは、競合のホンダ「ヴェゼル」やトヨタ「C-HR」に圧倒されていると分析する。
ヴェゼルは2013年12月の発売でCX-3より先だが、C-HRは2016年12月の発売であり、ヴェゼル人気を見ての登場である。したがって、CX-3が市場導入で特に出遅れたわけではない。競合2車と異なる点があるとすれば、CX-3が当初、ディーゼルエンジン車のみで発売されたことだろう。それが販売に影響したのではないかと考えられる。
マツダは新世代商品群の第1弾である「CX-5」を発売した際、「SKYACTIVエンジン」としてガソリンとディーゼルの双方を刷新した。そのディーゼルエンジンはマツダの想像を超える人気となり、東京都が1999年に施行した「ディーゼル車NO作戦」以降のディーゼル乗用車の不振を払拭する勢いを得た。そしてCX-3では、ガソリンエンジン車を用意しない策をとったのだ。
ディーゼルのみで発売した戦略の是非
乗用車用ディーゼルエンジンとしての「SKYACTIV-D」は、排ガス対策も十分に行われ、ディーゼル本来の力強さをいかした走行性能が人気を集めた。とはいえ、その良し悪しではなく、ディーゼルエンジンそのものに対する好き嫌いは消費者にあったはずだ。
CX-3が登場した当時にも試乗したが、そのディーゼルエンジンは「ナチュラル・サウンド・スムーザー」の搭載により振動・騒音が低減されていて、CX-5と比べても洗練されているとの印象を受けた。しかし、CX-3が特長としたお洒落なデザインのクロスオーバー車という魅力に対しては、ガソリンエンジンが合うのではないかと思ったことも覚えている。
欧州市場では、CX-3の販売に占めるガソリンエンジン車の比率が6割に達するとのこと。これにはフォルクスワーゲンのディーゼル排ガス問題も影響しているだろうが、このクルマに適したパワートレインが選ばれているとの見方もできそうだ。
今回は、マツダが2017年に満を持してCX-3に追加したガソリンエンジン車に試乗し、大幅改良の成果と共にその感触を体感してきた。