国土交通省は15日、重大事故につながりやすい暫定二車線区間での高速道路の正面衝突事故の緊急対策として、2017年度からラバーポールに代えてワイヤロープを設置することによる安全対策の検証を行ってきたが、「高速道路の正面衝突事故防止対策に関する技術検討委員会」での検証状況を踏まえ、土工区間について本格設置を進めると発表した。

  • ワイヤロープの概要(出典 : 国土交通省記者発表資料)

  • 高規格幹線道路の暫定二車線区間(出典 : 国土交通省記者発表資料)

今後、ワイヤロープが設置(予定)されるのは四車線化や付加車線の事業実施箇所を除く土工区間で、おおむね5年の設置をめざし、高速道路会社管理区間はおおむね3年の設置をめざす。また、これから暫定二車線で開通する土工区間にも標準設置するとのこと。

高速道路の正面衝突事故防止対策に関する技術検討委員会による「ワイヤロープに関する技術的検証結果中間取りまとめ」によると、ワイヤロープは土工区間・中小橋ともに飛び出し防止性能についての信頼性は高く、高い事故防止効果を発揮しているという。土工区間については、走行性・維持管理・緊急時対応において大きな課題が生じておらず、技術的に実用化が可能とのこと。

留意点としては、これまでラバーポール区間では顕在化していなかった、ワイヤロープへの接触による車両損傷および通行止めが増えていることから、接触率の低減が確認された導流レーンマークを適切な走行位置となるよう設置することを挙げている。その他、接触車両の損傷軽減化を図るため、もしくは復旧時間を短縮するため、積雪時における開口部設置の時間を短縮するためにさらなる技術開発が必要としている。

土工区間以外では、中小橋についてとくに曲線部において支柱の固定方法に課題が見られるため、試行設置箇所を拡大して夏期の高温下も含めた舗装との定着部の耐力確保など、実用化に向けた取組みを進める必要がある。長大橋・トンネル区間については、現在実施している公募選定技術の性能検証を引き続き進めるとしている。