トライアンフ モーターサイクルズ ジャパンは6月14日、トライアンフ東京(東京都武蔵野市)にて、6月9日より販売が開始された新型「スピードトリプルRS」の発表会を行った。当日はモータージャーナリストの佐川健太郎氏をゲストに招いてトークショーも開催。また、「スピードトリプルRS」のほか、「タイガー800XC」をベースにパン・アフリカ・ラリー参戦のために製作された1台限定のワンオフ車「タイガー トラモンターナ」も公開された。
新モデルのエンジンサウンドでイベントがスタート
発表会は、黒のライディングギアとフルフェイスヘルメット姿で登場した同社代表取締役社長・野田一夫氏による、「スピードトリプルRS」のアンベールでスタート。野田氏は公開された新型RSの前でポーズを決めるとおもむろにまたがり、3気筒1050ccのエンジンサウンドを会場に響かせた。
登壇した野田氏が「トライアンフにとって非常に重要なモデル」と語った「スピードトリプル」は、1994年に初代モデルがデビュー。軽量なボディとパワフルなエンジン、クールなデザインが支持され瞬く間にヒットするとともに“メーカー製ストリートファイター”という新たなジャンルを切り開いた、トライアンフのフラッグシップ的な存在に位置付けられるモデルだ。
初代のデビューから数えて24年、常に改良を施され進化を遂げてきた「スピードトリプル」。7代目となる「スピードトリプルRS」は、史上最も高いレベルに昇華した最上位モデルとして登場した。カラーバリエーションは、クリスタルホワイトとマットジェットブラックの2色が用意され、価格は税込185万7,000円となる。
なお、トライアンフでは7月1日(日)まで、全国の正規取扱店にてスピードトリプルRSデビューフェアを実施。期間中に来店アンケートに答えるとオリジナル車検証ケースが、「スピードトリプルRS」を成約するとオリジナルヘルメットバッグが贈呈される。
走行性能を追求しエンジンを大幅刷新
当日は、スペイン・アルメリアサーキットで行われたスピードトリプルRS試乗会やMoto2テスト車両のシークレット試乗会で実際に試乗したモータージャーナリスト・佐川健太郎氏も参加。
佐川氏は新型「スピードトリプルRS」の印象について「熟成されたモデル」と語り、その意図を「ぱっと見は劇的に変わったという感じはない。スピードトリプルはもともとレベルの高いモデルだったが、アラを見つけるのが難しいレベルにまで完成されていた」と説いた。
新型RSは「スピードトリプル」らしさを残しつつ、走行性能が高められているのが特徴だ。105項目におよぶパーツの刷新が行われた1050cc水冷並列3気筒DOHC12バルブエンジンは、先代モデルと比べて10馬力、5Nmアップとなる最大出力150PS、最大トルク117Nmへと性能を強化した。
加えて、見やすさを追求した角度調整式の5インチフルカラーTFTディスプレイを搭載し、スロットル操作を電気信号で制御する最先端のライドバイワイヤシステムは、「ROAD」「RAIN」「SPORT」「RIDER」「TRACK」の最大5種類まで設定できるライディングモードと連動。そのほか、シャーシや前後足まわりなどを見直すことで実現した3kgの軽量化と合わせて、操作性を高めている。
テストライドしたジャーナリストの評価も上々!
これらの変更について佐川氏は、「中間トルクがすごくあるので、ストリートでも加速性能などですぐに感じ取れると思います。サーキットでは、トップスピードの伸びもまったく違いました。あとはフィーリングなんですけど、もともとあった鼓動感は継承しながら、なめらかさというか回転のスムーズさがより際立っている。エンジンサウンドも官能的」と評している。
また、Moto2エンジンを積んだプロトタイプにも乗車している佐川氏は、「Moto2マシンは軽くてレーサーとしての速さはすごいんですけど、ただやっぱり難しいですよね。その点、スピードトリプルRSは排気量もあって、基本的にストリート向けにチューニングされている。Moto2マシンは何の制御も入っていないので、こちらの方がイージーに速い」と操作性の違いにも言及した。
ライダーをサポートする電子制御がもたらす快適性と、レーシングマシン顔負けの走行性能を備えた「スピードトリプルRS」。ツーリングからサーキット走行までさまざまなニーズに応えてくれることは間違いなさそうだ。