東洋館出版社は6月14日、『わたし、ADHDガール。恋と仕事で困ってます。』(税別1,400円)を刊行する。

  • 『わたし、ADHDガール。恋と仕事で困ってます。』(税別1,400円)

    『わたし、ADHDガール。恋と仕事で困ってます。』(税別1,400円)

同書は、日本のADHD研究の第一人者である医学博士・司馬理英子氏の最新作。同氏は、自らもADHD当事者でありながら、アメリカでADHD児の子育てをしてきたという経験を持つ。

書籍のタイトルにもなっている「ADHDガール」とは、ADHD傾向をもつ女性のことを指す。同氏は自身のクリニックで長年、ADHD傾向を持つ女性たちと話をする中で、ADHDの困り感は、仕事でのミスや日常生活に限らず、「ダメ男を選んでしまう」「上司とモメる」「遅刻ばかりで嫌われる」といった人間関係の悩みが多いことに気づいたという。

定型発達の人は目先の楽しさにとらわれず、より大きな大事な目標のために行動できるが、ADHD傾向が強い場合は「今すぐ遊びたい」「面倒くさい」「後回しにする」が優先されるケースが多いとのこと。

同書では、その楽しいことを優先する状態を「ヤンチャ君に乗っ取られている状態」に例えて解説。反対に誰の脳にも、合理的でまじめな判断をする「コーチ」も存在しているという。コーチは、過去の失敗から学び、よりよい判断をしようとする「大人の存在」であるとしている。

定型発達の人が目標のために行動できるのは、常にコーチが司令室でハンドルを握っているため、ヤンチャ君が「楽しいことをしたい」と誘惑しても、「今やらないと明日困る」などとやるべきことを確認し、先導しているからであると表現。一方、ADHD傾向がある場合は、ヤンチャ君が土壇場までハンドルを握っている状態であるという。

ADHDの特性である「不注意」「多動性」「衝動性」の中でも、特に「衝動性」は、ヤンチャ君がハンドルを握っていることに起因するとしている。ポイントは、自分はヤンチャ君に乗っ取られやすいことを自覚し、内なるヤンチャ君をなだめて、うまく付き合っていくことであるという。

  • ADHDの特性と対処法をわかりやすく紹介

    ADHDの特性と対処法をわかりやすく紹介

同書では、ADHD傾向を持つ当事者約450人の声をもとに構成。日常生活で起こりがちな人間関係のトラブルに焦点を当てて構成している。ナビゲーターののんちゃんの漫画で始まり、具体的な「ケーススタディー」をもとに、困り事を解決する対策を紹介。自身の特性に悩む女性に向けて、自分らしく生きるためのヒントをまとめた川柳も掲載している。