ビジネススタイルにおいて、最も大切なアイテムは靴です。「足元を固める」という言葉にもあるように、良質な靴は格安スーツさえも良質に見せてくれます。しかしその逆はありません。頑張って働いたご褒美であるボーナスで、安物の靴を脱ぎ捨て、「かっこいいビジネスマン」になるための自己投資に活かしてみませんか?
靴は、私たちが想像する以上のパーツ数と製造過程を経て作り上げられる、とても奥の深い商品。良質な靴には、それぞれに歴史やこだわりが詰まっているのです。今回は、以下のポイントをもとに、オススメのビジネスシューズブランドを5つご紹介します。
- 日本人の足型に合った靴であること
- ブラックとブラウンの2色をまとめ買いできる価格帯
- 修理体制がしっかりしていて永く付き合えること
- 語るべきストーリーがあること
リーガル
1902年、日本の靴製造のルーツとも呼べるいくつかの会社を統合して創業。1961年にアメリカとの技術提携にて、「リーガル」ブランドの製造販売をスタートしました。まさに日本の靴の歴史を刻んできた、日本を代表するブランドと言えます。1969年に発売した定番商品NO.2504は現在でも販売されています。
オススメは、時代を超えて支持されてきた定番中の定番「リーガルベーシックライン」と、今年の春の新作です。
・ラバースポンジソールのUチップ(品番JU15AG)
ステッチダウン式製法なので、軽くて履きやすい。値段も手頃で、外せない一足。雪道対応もあり。価格22,680円(税込)
・型押し加工の革底ウイングチップ(品番2235NA)
グッドイヤー・ウエルト式製法独特の履き心地の良さが特徴。長時間歩いても疲れにくく、履きはじめは少し堅く感じるものの時間と共に足裏に馴染む。35,640円(税込)
・ハイヒール仕様のストレートチップ(品番21PRBC)
新作のドレスシューズには珍しい30mm超のハイヒール仕様。伝統的でありながらもスタイリッシュな印象で、痩せ型や身長が気になる人にとくにオススメ。24,840円(税込)
ジャラン・スリウァヤ
このブランド名を初めて聞く人も多いかもしれません。しかしその歴史は長く、1919年にオランダ領時代のインドネシアにて軍靴製造業として創業。その後、創業一族がイギリスのノーサンプトンで靴の生産、フランスで皮革の製造を学び、人脈を培いました。
2003年にスタートした現ブランドの最大の特徴は、革靴生産方法の真骨頂と呼ばれるハンドソーンウェルテッド製法です。手縫いでしかできない「すくい縫い」で、アッパーとインソールをウエルトで挟んで縫い付けます。この工程で、インソールに厚みのある素材を使用するため、フィット感も増します。素材にも妥協は見られません。品格ある製品にもかかわらず、その価格には驚嘆させられます。
・ストレートチップ(品番98317)
基本中の基本ながら、内羽根に走らせた同色の一文字のステッチが魅力。誰も気づかない程の一本が靴好きにはたまらない一足。価格30,240円(税込)
・メダリオンストレートチップ(品番98441)
同じストレートチップでも、つま先にメダリオン(穴飾り)、内羽根周りからブローグ(穴飾り)が一周。ぐっと華やかさが増す一足。価格32,400円(税込)
マドラス
1921年に創業された日本の靴製造会社。1946年にイタリア・ヴェネツィアの郊外ヴァッサノで創業した「マドラス社」と1965年に技術提携。イタリアの伝統的クラフトマンシップと洗練されたデザインを持ち込み、国内生産でスタートしました。
日本の年間降水日は100日程度です。雨の日の出勤日は少なくありません。雨の日でも心強い、防水対応のものも入れておきます。
・内羽根ストレートチップ(品番M752S)
一見何の変哲もないストレートチップだが、防水加工された素材。靴底はゴアテックス素材で湿気を放出してくれる。雨の日の強い味方。価格34,560円(税込)
・ホールカットシューズ(品番M351)
フォーマル度の高いドレスシューズ。船の舳先をイメージしたトゥがイタリアンテイストの一足。革本来の質感が秀逸。価格30,240円(税込)
ヒロシツボウチ
日本を代表するシューズデザイナー坪内浩が、2008年に満を持して立ち上げた自身の国産ブランド。業界での永い実績と深く培われた広範な知見に、独特の遊びをプラス。ビジネスシューズにスニーカーのソールを合わせた革命的なハイブリッドシューズを実現するなど、時代を先取りするブランドとして目が離せません。
・ウイングチップスニーカー(品番HT-0210)
クラシックなアッパーにスニーカーソールを融合したハイブリッドなビジネスシューズ。営業職で外回りが多い人に最適。カジュアル過ぎず、ノーネクタイや若いビジネスマンにもオススメ。価格30,240円(税込)
・スウェードウイングチップ キャメル(品番HTO-0231)
同型のイタリアンスウェード素材のアッパーとのハイブリッド。靴紐とシューホールがホワイトになり、カジュアル度がアップしている。今や年間を通して履ける素材で、中級者にはマストなアイテム。価格30,240円(税込)
ジョセフ チーニー
今年、創業132年を迎える老舗ブランド。1896年から現在までイギリス・ノーサンプトン州デスバラーの工場で製作されている正統派英国靴です。しかし伝統に固執することなく、コンテンポラリー性も併せ持つ注目のブランドです。現在の経営者は名門チャーチ一族ですが、クオリティと価格のバランスが良いことも人気のひとつです。
・ホーリーロード(Wモンク)
ブランドの最高峰のインペリアルコレクションからのWモンク。上質な素材を使い、隅々までの職人技が光る逸品。品格を体現するまさに本物。価格92,880円(税込)
・フォークス(スウェードブーツ)
スーツスタイルでもカジュアルでも、オケージョンを選ばずに合わせられる強い味方。サイドゴアタイプなので意外と脱着も楽で、初めての1足には最適。価格64,800円(税込)
いかがでしたか? 「どんな服を着ればいいか分からない」という人は、一度靴にこだわってみてください。なりたい自分に相応しい靴を身に着け、本物の靴に負けない自分を目指しましょう。お気に入りの靴はあなたの応援団。ここぞと言うとき、足元を見ると、伝統のある靴がきっとあなたを励ましてくれます。
筆者プロフィール: たかぎこういち
スタイルアドバイザー。タカギ&アソシエイツ代表。1952年大阪生まれ。若くして輸入服飾雑貨卸業を大阪で起業。その後1998年現フォリフォリジャパングループとの合弁会社取締役に就任して以来、アニヤ・ハインドマーチ、オロビアンコ、リモワ、マンハッタンポーテージ等の海外ファッションブランドを日本市場に紹介、成功させる。
また、「東京ガールズコレクション」「デザイナーズ&エージェント」など国内外のファッションイベントにも参画。現在は日本のビジネスパーソンのファッションリテラシー向上を目指して体系化したオリジナルの「6ポインツ・メソッド」を伝えるべく、「日経DUAL」「WEDGE Infinity」などへの記事執筆や文化服装学院、東京モード学園で講師としても活動中。
著書に「オロビアンコの奇跡」「LIKABLE GUY STYLING FILE」共に繊研新聞社刊「一流に見える服装術」日本実業出版社他。