COMPUTEX初日の6月5日に行われたOpening Keynoteで、Intelは数々の新製品や新技術を発表したので、まとめて紹介したい。ちなみに28コアのSkylake-SPについては別に記事が上がっているので、そちらをご覧いただければと思う。

i8086誕生40周年記念のCore i7-8086K

2018年はi8086(1978年発表)の40周年ということもあり、アニバーサリーモデルということでCore i7-8086Kが発売されることになった(Photo01,02)。コアそのものは既存の6コアCoffee Lakeベースで、Base 4GHz/Max Turbo 5GHzという製品である。

  • Photo01:壇上のテーブルの右側のケースでCore i7-8086Kが動いている

  • Photo02:Intel提供の写真より。i8086は5MHz駆動(後に8MHzとか10MHzの製品も投入された)ということで、Core i7-8086はTurbo時5GHz駆動になったらしい

面白いのはこの製品を全世界で8,086個抽選でプレゼントするキャンペーンが行われることで、日本居住者の場合はこちらの特設サイトで、2018年6月8日の朝9時(日本時間)から24時間だけ応募可能である。

ちなみに日本に割り当てられた数量は500個だそうで、激しい争いになりそうだ。これとは別に、普通に購入することも可能とされるが、価格などは現時点では明らかにされていない(上のark.intel.comのリンクでもRecommended Customer Priceは未定となっている)。

このCore i7-8086Kは「空冷でも運用可能」という話ではあったが、壇上で紹介されたマシン(Photo03)はがっちり水冷(Photo04)だった。別の場所で行われた動作デモではケースに収まりきらない巨大ファンが付いた状態だった(Photo05)。

  • Photo03:In Winのミニケースの模様

  • Photo04:輝度を上げて見ると、水冷ヘッドや配管が。右に見える緑のファンがラジエターではないかと思われる

  • Photo05:型番は確認できなかったが、多分GIGABYTEのATC700と思われる。200WオーバーのTDPに対応可能なクーラーが必要ということか?

ちなみにパッケージ表・裏ともにCore i7-8700Kと違いはほとんど見られないので、既存のCore i7-8700Kが動作する環境ならCore i7-8086Kを動かすことに支障はなさそうだ。ちなみにパッケージ(Photo08)は今回のキャンペーン用のもので、リテール販売の際のパッケージはまた変わる、という話であった。

  • Photo06:型番はPhoto02とまったく同じになっている

  • Photo07:チップコンデンサの種類や配置はCore i7-8700Kと同一

  • Photo08:Intelの従来のCPUのみのパッケージよりも更に小型。ちなみにCPUクーラーは付属しないのもCore i7-8700Kなどと同じ

Optane SSD 905PをM.2フォームファクタで

次がOptane。従来16GB/32GBのOptane Memoryはあくまでもアクセラレータ扱いとしてM.2フォームファクタで提供されてきた。

なぜアクセラレータ扱いされたかといえば、理由はその容量の小ささにある。実際このサイズだと64bit版のWindows 10をインストールできない(最低20GBなので、32G版ならインストールはできるが、Windows Updateに十分な容量が確保できない可能性大)程度だから仕方がない。

もう少し容量の大きなものとして、58GB/118GBのOptane SSD 800Pもあるが、昨今3D NAND Flashを使ったM.2 SSDの容量が1TBに届こうという状況を考えると、これも十分とはいいにくい。

これを超えるものとしてはOptane SSD 905Pがあるが、こちらはこれまで、U.2あるいはHHHLのフォームファクタでの提供となっていた。

今回発表されたのはM.2フォームファクタで380GBの容量を持つ製品である(Photo09,10)。問題は価格なのだが、こちらも現時点では明らかにされていない。

  • Photo09:壇上では同社のIntel SSD 760PとIntel Optane SSD 905Pを利用したシステムをそれぞれ並べ、Optane SSD 905Pの性能の高さをアピールした

  • Photo10:Optane SSD 905P M.2をアピールするGregory Bryant氏(SVP&GM, Client Computing Group)

パッケージではOptane Memoryが3チップに見える(Photo11)が、これは大容量チップを開発したのではなく、既存のチップを積み重ねただけであろう。Neweggだと960GBのものが1299.00ドル480GBのものが599.00ドルということで、380GBだと500ドル前後ではないかと筆者は想像している。

  • Photo11:Intel提供の写真より。チップ1個あたり128GBほどの容量になるということは、おそらくOptane Memoryのチップを複数(16個?)、SIPの形で積層しているものと思われる

ただ、同じ500ドル程度だとSamsungの970 Pro M.2 1TBが購入できるあたり、性能を取るか容量を取るかで結構悩みそうだ。

Wiskey LakeとAmber Lakeは2018年秋

Mobile向けに関しては、今回Whiskey LakeのUシリーズ(TDP 15W)とAmber LakeのYシリーズ(TDP 5W)がアナウンスされた。

もっともどちらの製品もまだ製品出荷ではなく、あくまでも製品の予告レベルの話であり、市場投入は秋以降とされる。Wiskey LakeはKaby Lakeの改良版(製造プロセスは14nm++といわれている)で、4コア/8スレッド構成であるが、新たにGigabit WiFi(恐らくIEEE 802.11ac 2x2)を搭載している点が違いとなる。

会場ではAcer/ASUS/HP/Lenovoから、これを搭載した製品のプロトタイプと思しき製品が発表された(Photo12)。一方のAmber Lakeの方は、名前こそ挙げられたものの、それを搭載した製品は明示的には紹介されていない。

  • Photo12:左からAcer/ASUS/HP/Lenovoの順となる

ちなみにAmber Lakeはコード名一覧にも挙がっていない製品であるが、こちらは言ってみればWiskey Lakeのさらに省電力版ということになるようだ(構成は2コア/4スレッド程度だろうか?)。

液晶パネルの消費電力を1Wまで落とせるIntel Low Power Display Technology

これに絡んで5GのConnectivityについてSprintと協業を発表したほか、会場では5Gの動作デモ(Photo13)も行われた。またASUSのProject Precog(Photo14)というコンセプトモデルや、LenovoのYogaBook 2のプロトタイプ(Photo15)なども示された。

  • Photo13:手に持っているTabletの後ろに突き出しているのが5Gのアンテナらしい

  • Photo14:Project Precogを抱えるJerry Shen氏(ASUS CEO)

  • Photo15:MovidiusのAI Processorも搭載しているとか

ACPC(Always-Connected PC)のためには、さらに長いバッテリー寿命を確保する必要があり、このための策の1つとしてIntel Low Power Display Technologyを発表した。要するにバックライトを積極的にコントロールすることにより、液晶パネルの消費電力を従来比半分以下(会場では1Wまで落とした例が示された)にするためのものだ。

INNOLUXとシャープがこのIntel Low Power Display Technologyに対応したパネルを供給することになったそうだが、デモ映像(Movie01)を見ると、かなりフリッカーが発生するのは避けられないところで、このあたりは品質と消費電力のトレードオフになるのは仕方ないようだ。