速報の形で、プレスカンファレンスの内容をお届けしたが、その後、AMDにRyzen ThreadRipperや今後のロードマップについて詳細を聞けたので、その内容をお届けする。応えてくれたのは、James Prior氏(Photo01)とSasa Marinkovic氏。
まず、第2世代ThreadRipepr(Photo03)について。Prior氏によれば、第2世代は第1世代の後継ではなく「上位モデル」としての位置付けであり、第1世代の製品は引き続き販売するという。そのため、第2世代の投入に合わせて、第1世代の値下げや価格改定の予定はないとしている(筆者注:これは残念)。
第2世代Ryzen ThreadRipperは、既存のX399マザーボードでそのまま利用できる。しかも、BIOS UpdateをUSB Flash Driveから直接行える。例えばX399マザーボードと第2世代Ryzen ThreadRipperを購入した場合、マザーボードメーカーが提供するBIOS Updateを第1世代のRyzen ThreadRipperなしで利用できる。
また、TDP枠も既存のX399マザーボードで提供できる枠内(250W)に収まっている。なお、第2世代Ryzen ThreadRipper向けの新チップセット(X499)は存在しない。X399のままとなる。
今回、Cooler Masterと共同で、Ryzen ThreadRipperに対応したCPUクーラー(Photo04~07)を開発したという。これは別売りではあるが、第2世代のRyzen ThreadRipperでもこれを利用して空冷で運用可能とのことだ。
ダイの構成はどうなる?
第2世代のRyzen ThreadRipperは「最大で」4つの実働ダイを搭載することになるが、より少ないコアのモデルの構成がどうなるかは現時点で明かされなかった。例えば3ダイとか2ダイも「理論上は」ありえるが、どうなるかはまだ言えないという。
同様に、4ダイ構成の場合、Memory ChannelやPCIeは第1世代同様に2つのダイに集約する(図1)のか、4つのダイに分散させるのか(図2)についても、現時点ではまだ公表できない、と返ってきた。
Intel対抗? なぜ32コアを実装するか
さて、なぜ第2世代Ryzen ThreadRipperでは最大32コアをラインナップしたかといえば、特にWorkstation向けの用途で、メモリ帯域とかI/O帯域はそれほどなくても良いから、とにかくCPU性能を高く、かつ廉価でというニーズがあることが分かったからだという。
こうした用途に向けたのが第2世代Ryzen ThreadRipperで、メモリやI/O帯域が必要な用途にはEPYCの1Pが提供されることになる。別にIntelの28コアに対抗したわけではない、とした。
とりあえず、Ryzen ThreadRipperについてはこんなところだ。価格やラインナップ、動作周波数などは正式な製品発表まで明らかに出来ないとのことで、もうしばらく待つ必要がある。
B450チップセットは廉価版だがStoreMI対応
ところで発表会ではさらっと流されていたが、今回B450チップセットが新たに追加された。会場でもMSI(Photo08)やASRock(Photo09)のマザーボードが展示されていた。
このB450チップセットは、(X470と比較して)低価格向けであり、4層基板でも製造できる(6層にすることも可能ではあるとか)ほか、SATAやPCIeレーンの数を抑え、また(X470より)少ないVRMに対応した製品、という話であった。要するに廉価版という扱いだ。
B350と何が違うのか? というと、StoreMIへの対応だとか。もっとも既存のB350は引き続き供給するそうで、そういう意味でもちょっと位置付けが不明確ではある。
またDual Discrete GPUについて、公式には対応しない(つまりPCIe x16をPCIe 2x8構成には出来ない)が、B450側から出るPCIeレーンを使ってDual Discrete GPU構成にすることはマザーボードメーカー側の裁量の範囲だし、(SLIはともかくとして)CrossFireはそうした構成もサポートする、という返事であった。