社内会議で、部長が「このプロジェクトも潮時だな」って発言した。失敗したので終わりなのか? と思っていたら、周りは明るい顔で話し始めた。どういうこと?
今回のテーマは、勘違いされやすい言葉「潮時」です。みなさんは、「潮時」の意味を正しく理解できているでしょうか。早速、正しい意味と使い方を見てみましょう。
■「潮時」の意味と
「潮時」には、「潮が満ちたり引いたりする時」「物事をするのにちょうどよい時」「好機」という意味があります。私たちが普段聞き慣れた「潮時」は、二つ目の意味で用いられていることが多いでしょう。
「潮時」という言葉の由来を調べてみると、「漁師が漁に出るときに、船を出すのに最も適した時を潮の状況で判断していた」ことにあり、それが転じて、「物事をするのにちょうどよい時」という意味でも使われるようになったようです。
■潮時は「終わりの時」とは限らない
さて、本来は「ちょうどよい時」という意味である「潮時」ですが、今では「終わりの時」「引き際」といった意味で捉えている人が多いようです。
例えば、「そろそろ潮時」という言葉を野球選手がいえば「引退」、お店の店主がいえば「閉店」、恋人同士がいえば「別れ」を意味するものと思い込んでいませんか? ネガティブな言葉ばかりが並びましたが、潮時は「終わりの時・引き際」とは限りません。潮時の意味にもあるとおり、むしろ「好機(チャンス)」の時でもあるのです。
つまり、「そろそろ潮時」という言葉を野球選手がいえば「メジャーに挑戦の時」、お店の店主がいえば「新店舗開店の時」、恋人同士がいえば「結婚の時」かもしれないのです。話を適当に聞いて、うっかり早とちりしてしまう事のないよう気を付けましょう。
■「潮時」の使い方と例文
終わりの時、引き際の時に使う潮時
「後継ぎがいないのだから、もう店をたたもう。ここらが潮時だ」
「この商品はもう需要が少ない。そろそろ廃番にする潮時だろう」
「長年会長を勤めてきたが、今が引退の潮時だ」
ちょうど良い時、チャンスの時に使う潮時
「金が高騰しているようだから、そろそろ売る潮時だ」
「ドイツのチームからオファーがあった。移籍する潮時かもしれない」
「我が社の新製品を発表するなら、A社が発表する前の今が潮時です」
潮時は、あくまでも「物事をするのにちょうど良い時」であって、「終わりの時」に限定されるものではありません。何かをする際の「ベストタイミング」と覚えておくと良いでしょう。