フリーアナウンサーの加藤綾子が、嵐の二宮和也が主演を務めるTBS系日曜劇場『ブラックペアン』(毎週日曜21:00~)で本格女優デビューを果たし、注目を集めている。加藤が演じているのは、新薬や機器開発の治験の窓口となる治験コーディネーターの木下香織。最新医療機器の導入を巡るストーリーにおいて、その展開を左右する重要なポジションを担っている。
このたび、撮影真っただ中の加藤に前・後編のインタビューを実施。前編では、連ドラ初レギュラーの感想や演技への思い、香織としての役作りについて話を聞いた。
演技の難しさと楽しさ
――これまでの撮影を振り返っていかがですか?
もう半分が過ぎて早いようですが、毎日必死に挑んでいるという感じで、本当に濃い日々を送っています。
――演技は楽しいですか?
楽しいと思うときももちろんあり、難しさを感じるときもあります。でも難しいと感じることや、もっとこうした方がいいのかなとか、そういうことを思う日々も楽しい。悩んでいることも含めて貴重な経験をさせていただいているなと感じています。
――難しさはどういったところで感じますか?
セリフを覚えるということはできますが、それをどう表現するか。こういう気持ちを表現するためにはどういう仕草になるんだろうとか、アプローチの仕方がすごく難しいです。また、食事シーンが多く、演技をしている中で食べないといけない、だけど話すために急いで飲み込まないといけない、といった感じで難しいなと。食事のシーンで多くご一緒している内野(聖陽)さんをはじめ、みなさんにアドバイスをいただいて本当に助けられています。
――内野さんからはどういったアドバイスがありましたか?
核心を突くような質問は、相手が何か物を取ろうとか意識が少し違うところにいっているときに投げかけると、不意を突かれた演技になると教えてもらいました。自分の中で作り込んできた動きで頭がいっぱいになっていたんですが、相手を見てやらないといけないんだなとあらためて思いました。
――連ドラの現場で驚いたことはありますか?
いろんな角度から撮るから、ドラマを見ていてその場にいるような感覚になるんだなと。聞いてはいましたが、こんなに多く撮っているということに驚きましたね。あと俳優のみなさんの集中力もすごいと思いました。
香織への共感と役作り
――木下香織を演じる上で意識していることを教えてください。
相手に向かっていく芯の強さがあるんです。彼女がどういう思いで、どういうきっかけでこの仕事をしているのか7話(6月3日放送)で明らかになりますが、彼女はかなり強い女性で、芯も強いし気も強く、偉い先生にも向かっていくような強さがあるので、そこはしっかり表現しようと意識しています。
――加藤さんと香織の共通点は?
香織ほど強くないですが、芯の強さという部分は似ているかもしれないです。
――どういう時に、自分の芯の強さを感じますか?
アナウンサーをやっているときとかもそうですが、寝なくてもいいから仕事がしたい、プライベートはなくていいから仕事がしたい、という時期がありました。そういうときに感じます。
昼と夜のシーンの切り替え
――舞台挨拶のときに共演者の方たちが「エロい」とおっしゃっていましたが、ドラマを拝見していて私も色気を感じます。
「香織ってどんな人なんだろう」「どうしてこんなにいろんな人の味方についているんだろう」とみなさん思う謎めいた存在だったと思いますが、その裏には実は・・・というのが今後明らかになります。自分の信念に基づいて彼女は動いているんですが、もしかしたら色気というのも彼女の一つの武器になっているのかなと思います。
――色気を出すというのは意識しているのでしょうか?
特に意識はしていないのですが、病院内にいるときはジャケットでかしこまっている格好が多く、夜に食事に行くときはジャケットを脱いでいるので、食事のシーンは自然とそういう印象になるのかもしれません。また、ドラマ全体を見て、男性たちの熱い欲望の戦いが繰り広げられている中で紅一点っていう感じで、しかもその人がトップの方たちと食事をしているっていうだけでも、何かあるのかなという目で見ていただけるのだと思います。
――ジャケットを着ているか着ていないかで、気持ち的にも変わりますか?
自分としては「このときはどういう気持ちなんだろう」と考えることに集中しているので、ジャケットはあまり意識していませんが、気持ちの中で昼と夜は変えようと思っているので、そういう変化はあるかもしれないです。夜のシーンだし、これについて聞きたいという狙いがあるからグイッといくだろうとか、そういうことは考えています。
――アナウンサーとしての聞き出す力というのも生かされてそうですね。
取材のときは、相手の方にオープンになっていただけるように、私自身がオープンにいくようにしようと心がけています。でも、香織のような仕掛ける力は全然ないと思います(笑)
香織の謎が明らかになる第7話
――6月3日放送の第7話で、香織がどういう思いで治験コーディネーターの仕事をしているのか明らかになるようですね。
今まで「香織は何でこういうことをしているんだろう」というように、「何で」がついている役だったと思いますが、その答えが出てくる回なので注目していただきたいです。そして、全体を通してとても心が温かくなるようなストーリーになっているので、ぜひみなさんに見ていただけたらうれしいです。
加藤綾子
1985年4月23日生まれ、埼玉県出身。国立音楽大学を卒業後、2008年にフジテレビジョン入社。『めざましテレビ』『笑っていいとも!』など、数々の人気番組でレギュラーを務めた。2016年5月からフリーに転身。現在は『ホンマでっか!?TV』『MUSIC FAIR』(フジテレビ)、『世界へ発信! SNS英語術』(NHK Eテレ)などに出演中。『ブラックペアン』(TBS)で連ドラに初のレギュラー出演を果たし、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』で朝ドラにも初出演するなど、女優としても注目を集めている。
場面写真=(C)TBS