大阪・道頓堀の食とエンターテインメントの情報発信&交流拠点「道頓堀スクエア」が、6月1日にオープンする。昨今、外国人観光客が急増し、今や日本を代表する世界的な観光都市として認知されている道頓堀だが、その歴史を辿れば、芝居町として上方芸能の中核を担ってきたという文化的魅力も持ち合わせている。そんな道頓堀のハブとして、道頓堀スクエアは"食とエンターテインメントのまち・道頓堀"を加速させる。
カフェ併設の情報拠点と劇場の2大看板
道頓堀スクエアは、2017年10月に道頓堀商店会とJTBとの間で締結した「エリアマネジメント分野の連携に関連する協定」に基づく具体的な取り組みとして開設される。その目的は、観光の視点で道頓堀の価値を高めることだ。
インバウンド需要に沸く道頓堀だが、その一方で、「外国人観光客が求める店舗に辿り着けていない」「常に混雑している」「外国人観光客が楽しめるエンターテインメントが少ない」等といった課題も横たわっているとJTBは考察している。
これらの課題を解消すべく開設される道頓堀スクエアは、カフェを併設したインフォメーションセンター「TONBORI BASE Cafe&Info」とエンターテインメント劇場「道頓堀ZAZA」で構成。上方芸能を支えた「道頓堀五座」のひとつ「中座」跡地、中座くいだおれビル地下1階という道頓堀の記念碑的な立地も見逃せない。
多言語で情報発信! 「トンボリ学」で道頓堀ぶらりも
「TONBORI BASE Cafe&Info」では、デジタルサイネージによる情報発信およびエンターテインメントチケットの販売を行う。入口に設置されたタッチパネル式の券売機では、道頓堀スクエア内「道頓堀ZAZA」で上演されるフードミュージカル「GOTTA」や、訪日外国人向け「OSAKA NIGHTCLUB PASS」など、大阪キタ・ミナミエリアのナイトクラブやエンターテインメント劇場など"今からでも楽しめる"ナイトタイム(21時以降)に関するものも含め、道頓堀周辺のエンターテインメントチケットを購入できる。
また、日本全国のエンターテインメントチケットを購入できる「Tickets Today」を設置。カウンタースタッフに希望の公演を伝えれば、予約の手配からチケットの発券まで対応してくれる。大阪最大の観光集客エリアである道頓堀を起点に、日本各地へ人流を創造していくのが狙いだ。
奥にあるのは、デジタルインフォメーションボード「トンボリグラフィー」。道頓堀周辺の店舗情報に加え、食の豆知識や道頓堀の歴史や文化について学べる「トンボリ学」を提供。より深く、道頓堀の町歩きを楽しんでもらいたいという。
併設されるカフェでは、ソフトドリンクやアルコールを中心に、ソフトクリームやカップヌードル、駄菓子などを券売機で販売(各300円~/税込)。なお、持ち込みも可能のため、道頓堀の食をゆっくりと味わうこともできる(カフェスペースの利用には、ひとりあたり1ドリンクの購入が必要)。
110インチの大型プロジェクターでは、世界的スポーツイベントのパブリックビューイングも放映予定。ファッションやアートなど、様々なイベントを開催し、国境や文化を越えたバラエティ豊かな交流拠点としての活用が見込まれている。
第3の劇場、フードミュージカルとは?
一方のエンターテインメント劇場「道頓堀ZAZA」はどんな空間なのか。エリア内には3つの劇場が設けられており、すでにお笑いライブなどを開催している「ZAZA HOUSE」「ZAZA POCKET'S」に加え、6月1日に新たにオープンするのが「ZAZA Box」だ。
ここで上演されるのがフードミュージカル「GOTTA」。「たこ焼き乃丞(たこやきのじょう)」「串カツ男爵」といったフードキャラクターが登場する。道頓堀の歴史とファンタジーをテーマに、歌舞伎や和楽器といった伝統芸能にプロジェクションマッピングなどの最新技術が融合。様々な素材を合わせる"ごった煮"のように体験できる新感覚のライブエンターテインメントだ。
このフードミュージカル「GOTTA」は、6月1日より毎日、11:00、13:00、15:00に上演される(上演時間45分・火曜日休演)。「食とエンターテインメントのまち・道頓堀」を象徴するような公演に育てていきたいと意気込む。
次の100年も道頓堀がにぎわい続けるために
道頓堀スクエアは、月間1万5,000名ほどの来場者を当面の目標に掲げている。今後、JTBでは「エースJTBお休み処」の設置(10月予定)や、「GOTTA」鑑賞券付きの26店舗で使える「道頓堀エンタメ満喫クーポン」、若手芸人や商店会関係者の解説と案内で道頓堀を歩くプログラム「知恵のたび道頓堀」の販売などを予定している。
また、「ZAZA Box」では、ナイトエンタメが少ない日本の現状を鑑み、ナイトカルチャー創出により外国人観光客のニーズに応えようと意欲的だ。
1615年の道頓堀開削から2015年に400年を迎えた道頓堀。次の100年もにぎわい続けるため、どのように変わっていくのだろうか。「食とエンターテインメントのまち・道頓堀」のこれからが楽しみである。