アップルが主催する「WWDC 2018」(World Wide Developers Conference)の開幕が日本時間の6月5日に迫ってきました。iPhoneやMacなどの新OSや新サービスの内容が発表されるとともに、会場では新機能を詳しく解説する多くのセッションが開かれるなど、世界各国のアプリ開発者にとっては見逃せない重要なイベントとなっています。
WWDCは、応募者のなかから抽選で選ばれた人しか参加できないこともあり、チケットはプラチナチケット化しています。しかし、アップルは世界各国の学生を対象に、WWDCのチケットを無償で提供するスカラシップ(奨学金)の制度を設けており、将来を担う優秀な学生を積極的に支援する体制を整えています。
昨年のWWDCで日本からスカラシップに選出された関西学院高等部の佐々木雄司さんに続き、今年は東京大学の平井亨武さんがスカラシップの枠を勝ち取りました。そこで、2013年からWWDCに参加し「WWDCが楽しみでしょうがない」と語るマネーツリー社長のポール チャップマン氏を迎え、平井さんがスカラシップに選出されるまでの経緯や、WWDCに参加するにあたって期待していることを語ってもらいました。
今年の2月からiOS用アプリを作り上げた
――今回、WWDCのスカラシップに選ばれた平井さんですが、どのようなきっかけでスカラシップに応募しようと思ったのですか?
平井さん:WWDCの基調講演は、高校1年生ぐらいの時から毎回ライブで見ていたので、大人になったら一度は行ってみたいな…とは思っていました。今年の3月、iPhone用アプリを作成している時、たまたまスカラシップ募集の案内を見つけたんです。運よく目にしたのだから、これは挑戦してみないと…と思ったのが応募のきっかけですね。
スカラシップへの応募にあたっては、3分以内でひととおりの機能を試せるアプリをiPadのSwift Playgroundsで作成したうえで、アプリ作成時に工夫した点やWWDCに対する意気込みなどを英文でまとめて送らないといけないんです。苦労しながら作成して送ったのですが、正直なところ自信はありませんでした。
ところが後日、アップルの担当者から「ぜひスカラシップ枠でご招待したい」とメールで連絡が来たんです。まさか受かるとは思っていなかったので、「ドメイン名をアップルに偽装したフィッシングメールなのでは?」と疑ってしまいました(笑)。スカラシップの登録作業がすべて完了して、ようやく「あのWWDCに行けるんだ!」と実感が沸いてきましたね。
――制作したのはどのようなアプリなのでしょうか?
平井さん:イベントの参加者があと何分で来られるかを表示する待ち合わせアプリ「Arrit」です。大学生は時間にルーズな人が多いので……(笑)。私が通っている東京大学では、学内からさまざまなベンチャーを輩出しようというプログラムが用意されています。その一環として、アプリ開発で起業する練習として私とデザイナーの2人で作りました。
――古くからプログラミングを手がけていたのですか?
平井さん:中学2年生の時、親戚の方にMacBook Proを使わせていただく機会があったんですね。それが僕の最初のパソコンとなりました。当時、「プログラミングができる人はかっこいい!」という風潮があったこともあり、C言語やJavaなどでさまざまなプログラムを作成していました。人に見せられるプログラムを完成させたのは大学生になってからですね。iPhoneアプリの制作を手がけたのは、今年の2月からです。