みなさんは、文章の中で接続詞を用いる際に、どんな事に注意していますか? 日本語には、「また、さて、ところが、ゆえに、しかし、あるいは」など多数の接続詞が存在しますが、その使い方にはそれぞれに決まりがあります。そこで今回は、接続詞の中から「だが」と「しかし」にフォーカスし、それぞれの使い方や違いについて調べてみました。

■「だが」「しかし」とは

「だが」も「しかし」も、句と句、文と文を結ぶ逆接の接続詞です。逆接ですから、前に述べたことと反対の内容を述べる場合や、前で述べた内容から予想される結果に反する場合に用いられます。「Aはこうなのに、Bはこうだ」とか、「こうなるはずが、そうはならなかった」ということを表します。

■「だが」「しかし」の違い

「だが」と「しかし」に大きな違いはありませんが、両者の違いについて調べてみたところ、使い方やニュアンスに多少の違いがあることがわかりました。

まず、「だが」は主に文章に用いられる文語であるのに対し、「しかし」は主に会話で使われる口語で、主観的な意味合いが強いとされています。もちろん、両者ともに文章でも会話でも使用されることもありますが、「だが」を会話で使用するのは男性に多く見られるようです。確かに、女性が会話の中で「だが」を使うことは滅多にないように思います。

また、「だが」を会話で使用するならば、「ですが」や「けれど」の方が自然で、より口語的になります。同様に「しかし」を文章で使用するのであれば、「しかしながら」の方がより文語的な表現になるようです。

もう一つ、両者の違いについてお話ししましょう。「だが」は基本的に「しかし」に置き換えることが可能ですが、「しかし」には、「だが」に置き換えることができない特別な使い方があります。それは、感情をこめて言いはじめる場合に用いられるもので、例えば、「しかし今日は暑いねぇ」「しかし素晴らしい製品だ」といった表現です。「それにしても」という言葉に置き換えると分かりやすいのではないでしょうか。

■「だが」と「しかし」の例文

前で述べたことと反対の内容の場合
・「私は朝はご飯派です。しかし、妻はパン派です」
・「日本酒は和食に合う。だが、中華には合わない」

前で述べた内容から予想される結果に反する場合
・「雨の予報だったので傘を持って家を出た。だが、全く降らなかった」
→(「雨が降る」という予想に反している)

・「来場者500名を見込んでカタログを600部用意した。だが、足りなかった」
→(「600部あれば十分」という予想に反している)

・「日本酒は和食に合う。しかし、フレンチにも合う」
→(「和食以外には合わない」という予想に反している)

感情をこめて言いはじめる場合の「しかし」
・「しかし大きいビルだなぁ」
・「しかし彼があれほど優秀とは」


今回は、逆接の接続詞「だが」「しかし」についてお話ししました。正しく使い分けるとなると、少々難しいと感じた人も多いのではないでしょうか。とは言え、一つひとつ使い方を確認しながら文章を作成していては仕事が捗りません。接続詞に限らず、自然と正しい言葉を選択できるような文章力を、身に付けたいものですね。