Microsoftは2018年5月24日(現地日時)、Windows 10 Insider Preview ビルド17677をリリースした。筆者もSurface ProとSurface Pro LTE Advanceにインストールしたところ、Surface ProだけWindows Helloが使用する内蔵カメラが動作しない。

以前のビルドでも同様の現象を確認したため、デバイスドライバ回りの更新に失敗したと思いきや、今回は重症だった。無線LANドライバやグラフィックスドライバ、Bluetoothドライバも未インストール状態であった。

Insider Previewでドライバ周りのトラブル

Surfaceシリーズは各デバイスドライバとファームウェアをダウンロードできるWebページを用意しているので、別PCを使ってダウンロードしたファイルをSurfaceで展開して、前述したドライバ群は正しく認識された。ただし、いくつかの不明なデバイスが残ってしまった。

  • ビルド17677に更新した後のデバイスマネージャー。更新直後は無線LANドライバなども「ほかのデバイス」扱いだった

「不明なデバイス」はすべてHyper-V Virtual Ethernet Adapter。「Bluetooth周辺デバイス」はSurface Penのようである。前者はプロパティダイアログからWindows Update経由でドライバをインストールし、後者はデバイスが未接続状態でデバイス情報を検出できないため、デバイスを削除した後に「設定」から再ペアリングすることで解決した。

ちなみにもう1つのBluetooth周辺デバイスは、Surface Pro Signature Type Coverと思われる。原因は不明だが、Surface ProとSurface Pro LTE Advanceの違いは、Hyper-Vを有効にしているか否かで、これが影響を及ぼしたのだろう。

不具合が頻発するApril 2018 Update

さて、このトラブルで思い出したのが、Windows 10 バージョン1803(April 2018 Update)における機能更新プログラム適用時の現象だ。筆者の環境では複数の自作デスクトップPCを含め、目立ったトラブルはなかったが、ちまたではIntel SSD 600pシリーズや、Intel SSD Pro 6000pをメインストレージとしたPCに適用すると、Windows 10が正しく起動しないトラブルが発生していた。ちょうどマイナビニュース デジタルカテゴリの編集長が使っているメインPCが諸条件を満たしていたらしく、OSの再インストールを強いられたと筆者に愚痴っていた。

これらWindows 10 バージョン1803に関するトラブルは、各メディアも報じているが、有益な情報として紹介したいのが、コミュニティの活動である。「Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)のよくある質問」と題したスレッドでは、個別の問題を投稿しているスレッドにリンクを貼り、対処方法がある場合は修正プログラムへのリンクや情報をまとめていた。Windows 10 バージョン1803インストールにともなうトラブルに見舞われている方は、ご一読をおススメしたい。

  • 「Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)のよくある質問」では、現象ごとに立てられたスレッドや解決策をまとめている

改めて本スレッドを眺めると、日本語など2バイト圏に関する問題は米国で使われていないため、しかたないと思う節もある。インサイダーの環境で同様の環境がなかったのか、以前のように大量のPCをMicrosoft社内に持ち込んで行う動作検証プロセスを割愛したのか分からないものの、被害に見舞われたユーザーとしては目も当てられないだろう。

以前とある関係者と、Windows 10 バージョン1803に至るInsider Previewの安定性について話したことがある。開発も終盤に差し掛かり、新規機能の実装はクローズしていた時期だが、「最近はようやく安定してきた」と述べていた。

確かにSurface上のInsider Previewは目に見えて安定性が高まっていたが、筆者の自作PCではBSoDならぬGSoDが多発し、前ビルドに差し戻すような状況である。この日本マイクロソフト社内とユーザー環境の温度差は、Windows 10 バージョン1803に関するトラブルの類似しているように感じるのだ。

コード量の増加とバグの発生率は比例する。Windows as a Serviceとして常に進化するWindows 10は、既存コードの変更や新たなコードの追記などバグの発生を避けて通れない。とはいえ、企業内のクライアントPCをWindows 10一色に染め上げるためには、安定性や不変性が重要だ。Microsoftはシェア拡大とエンドユーザーの利益を踏まえ、さらなるテストプロセスの追加を考慮すべきだろう。

阿久津良和(Cactus)