蒸気機関車C56形160号機が27日の「SL北びわこ号」をもって本線(JR西日本営業線)での営業運転を終え、同日夕方から京都鉄道博物館の扇形車庫にて「ありがとうC56(シゴロク) 本線運転引退セレモニー」が開催された。

  • 京都鉄道博物館の扇形車庫で「ありがとうC56 本線運転引退セレモニー」を開催

今回のセレモニー開催を受け、京都鉄道博物館は開館時間を20時まで(入館は19時30分まで)延長。扇形車庫の転車台付近に多くの鉄道ファンらが集まる中、18時30分頃、EF65形に牽引されたC56形160号機が到着した。

EF65形から切り離されたC56形160号機は「SL北びわこ号」のヘッドマークを掲げており、自走して転車台へ進入。「ありがとうC56(シゴロク) 本線運転引退セレモニー」では、整備責任者を務めるJR西日本近畿統括本部 梅小路運転区の総括助役、長澤浩一氏が挨拶し、長年にわたり全国各地で活躍し、総走行距離が約141万kmに及んだというC56形160号機を労い、感謝の意を述べた。印象に残る走行シーンとして、1998(平成10)年に「海の上を走った」(瀬戸大橋線を走行した)ことも紹介していた。

セレモニーではC56形160号機の前面に特製の花輪が取り付けられ、転車台の回転に合わせて汽笛を鳴らす場面も。本線運転を終えたC56形160号機の「有終の美」を飾る汽笛吹鳴に、来場者から惜しみない拍手が起きた。給炭・給水作業の後、C56形160号機は扇形車庫の3番線に入り、2~5番線に4種類の「SL北びわこ号」のヘッドマークを取り付けた機関車(2番線からC61形2号機、C56形160号機、8620形8630号機、B20形10号機)が並んだ。

  • 「SL北びわこ号」のヘッドマークを掲げたC56形160号機が転車台へ。セレモニーでは整備責任者の長澤浩一氏が挨拶した

  • C56形160号機の前面に特製の花輪が取り付けられる

  • 給炭・給水作業の後、C56形160号機は扇形車庫の3番線へ。「SL北びわこ号」のヘッドマーク4種類を掲げた蒸気機関車が並ぶ

蒸気機関車C56形160号機は1939(昭和14)年に製造された、小型の旅客・貨物用蒸気機関車C56形の最終号機。C56形は「シゴロク」の他に「ポニー」などの愛称でも親しまれたという。北海道から九州まで全国で活躍し、梅小路蒸気機関車館および京都鉄道博物館で動態保存された後も、JR西日本エリアを中心にイベント列車などで運行された。

近年はおもに北陸本線米原~木ノ本間の「SL北びわこ号」、山口線新山口~津和野間の「SLやまぐち号」で活躍したが、5月6日に山口線での運行を終了。5月27日の「SL北びわこ号」をもって本線運転から引退した。今後は京都鉄道博物館の敷地内を走る「SLスチーム号」で運転予定となっている。

  • 転車台上に展示されたC56形160号機