賃貸契約時、ほとんどの場合で必要な「保証人」。実はこの保証人には「保証人」と「連帯保証人」の2種類があります。それぞれどんな役割があるのか、不動産・住生活ライターの高田七穂さんに教えてもらいました。きちんと理解して準備しましょう。

Q 住まいを借りるときの保証人ってどんな役割があるの?

A 何か問題が起きたときに、借り主に代わって、責任をもつ人が保証人です。よくあるのは、借り主が家賃を払えなくなったときにそれを肩代わりすること。保証人と表現されることが多いのですが、賃貸借契約では、「連帯保証人」が一般的です。

保証人と連帯保証人はどう違う?

「保証人」と「連帯保証人」。名称は似ていますが、法律上は異なります。保証人は、たとえば借り主が家賃を支払わなかったときに代わりに支払う義務を負うものの、最初に保証人に請求がきたら「まず借り主に請求してほしい」ということができます。借り主に支払い能力があるのに、請求が来た場合にも「借り主の財産を差し押さえて払ってもらってほしい」ということもできます。また、保証人が複数いた場合、一人が全額を支払う必要はなく、全員で分割した分だけを払えばよいのです。

これに対して、連帯保証人にはこういったことが認められていません。借り主に支払える能力があっても、代わりに支払わなければなりませんし、「まずは借り主に請求してほしい」ということもできません。複数の連帯保証人がいても、一人が全額払う義務もあります。つまり、連帯保証人は、借り主と「一心同体」の立場にあるといえます。

ですから、賃貸借契約における連帯保証人は、両親など血縁関係のある人になってもらうことが一般的です。ただ、家賃を支払えるか、ということが重視されるので、親が定年で働いていなければ、働いている兄弟姉妹のほうが適しているでしょう。

■兄弟姉妹に頼みにくい時は?

ここで、「兄弟姉妹と長く連絡をとっていないので、頼みにくい」と思うことがあるかもしれません。そんなときには年金を収入とみなして、親を連帯保証人とすることを認める例もあるので、事前に不動産会社に尋ねてみましょう。なお、契約前の審査時には、連帯保証人の勤務先や収入証明、実印、住民票などが必要になることもあります。事前に必要な書類を不動産会社に尋ねておき、早めに準備してもらうようにしましょう。

友人や知人は、一般的には保証人になれません。結婚を前提に同居するのであれば、双方の親などに連帯保証人になってもらう必要が生じることもあるので、こちらも部屋探しの早い段階で不動産会社に伝えておきましょう。

■連帯保証人を頼める人がいない場合は?

もし、連帯保証人になってもらえる人がいない場合、保証会社を利用することになります。これは、保証会社に定められた保証料を支払って、連帯保証人の代わりになってもらうものです。家賃や敷金、仲介手数料のほかに、余分な費用がかかるので予算に入れておきます。目安は家賃+共益費の0.3~1か月分程度。「2年契約で2万円」などと金額が指定されていることもあります。不動産会社が保証会社を指定していることがあり、「あちらの会社は保証料が安いから変えたい」というのは、受け入れてもらえないと思っておきましょう。更新時には再び保証料が必要になります。

高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中