どんな部屋に住みたいかを考えたとき、おしゃれなイメージのロフト付き物件を探したことはありませんか。上手に使えばスペースを有効活用できるロフトですが、憧れだけで決めてしまうと「こんなはずではなかった……」なんてことになりかねません。そんな失敗をしないために、不動産・住生活ライターの高田七穂さんにロフトのある部屋のメリット・デメリットについて伺いました。


ロフトつき物件のメリット

1、天井高があり開放感たっぷり

ワンルームのロフトは、室内に入ってすぐの天井上部に設けられることが多くなっています。その下は、浴室やトイレの場合が少なくありません。玄関では、部屋の広さを感じにくいのですが、室内に入ると天井が高く、空間の広がりを実感します。ロフトがない物件と比べると、ちょっとトクした気分になります。

2、冬が暖かい

暖かい空気は上部に留まりやすいため、冬に暖房をつけると、ロフト内がとても暖かくなります。寝室として利用するのであれば、「寒くて起きるのがツライ」ということが減りそうです。

3、もう一つ部屋があるイメージ

空間がもう一つあるので、別の部屋のように使用できます。「生活空間に寝床が見えるのはイヤ」という人であれば、寝室として使えます。友人が来ても、寝る場所を別々にすれば、気配を感じながらある程度のプライバシーを確保できます。また、自宅で仕事をしている人であれば、仕事部屋として利用すれば、仕事とプライベートな空間を分けることも可能になります。)収納スペースが増えるワンルームでは、収納が少ないと思っている方もいるのではないでしょうか。なかには、室内を少しでも広く見せるためにクローゼットがない部屋もあります。

ここで、ロフトがあれば、収納スペースとして利用できます。季節家電をはじめ、スーツケースやスノーボードなど、普段あまり使用しない荷物も保管できます。片付けが苦手な方にとっては、急に友人が来たときに、散らかしたモノを収める場所として利用できます。こうすることで、室内空間が広く使えます。

4、天窓や出窓などがあれば、隠れ家感も

物件によっては、ロフトや室内の上部に出窓や天窓がついているタイプもあります。こうなると、朝から日が差し込む空間になります。たっぷり太陽を浴びることができれば、一日を快適に過ごせそうです。

ロフトつき物件のデメリット

1、夏は暑い

冬がとても暖かいのがロフトのメリットですが、反面、夏はとても暑くなります。冷房をつけても、冷気が下に留まってしまうからです。ロフト内を快適な温度にしようとして冷房の温度を下げると、室内が寒くなってしまいます。下の部屋に降りたときは、とても寒く感じそうです。光熱費も割高になってしまうかもしれません。とくに最上階では、屋根に当たった太陽光の熱で温められた空気が、ロフト内に滞留しがち。夏場は寝室として使用するのは、難しいかもしれません。

2、上階の足音

物件の構造などによりますが、ロフトの上階が別の部屋になっており、天井との距離が近く、フローリング仕様の場合、上階の足音が聞こえてくることもあるかもしれません。上階の人と生活時間帯がずれると、寝ている間に音が気になる可能性もあります。

3、はしごの上り下りが大変

ロフトの上り下りは、はしごを使うのが一般的です。こうなると、重い荷物をもって上り下りするのは、そう簡単ではありません。なかにはロフトに上げられない荷物や家具などがあるかもしれません。寝室として使用したいのに、ふとんをロフトに持っていくこと自体が難しく、あきらめてしまう可能性があります。また、夜中にトイレに起きたとき、ねぼけまなこの状態ではしごから下りるのは、結構、つらいかもしれません。こうなると、せっかくの寝室や収納スペースとしての使い方ができなくなってしまいます。

4、天井が低いと使いにくい

部屋として使用を考えているのに、ロフト内の天井までの高さが十分でなければ、座って何かをするということができないかもしれません。また、あまりにも低いと頭をぶつけてしまうこともあります。下からみると開放的なのですが、ロフト内では腰をかがめる姿勢がきつく、圧迫感を覚えてしまうことがあるかもしれません。

 

ロフト付き物件に住むなら確認しておきたいこと

■居住後をイメージする

ロフトのあるお部屋に住みたいと考えるなら、まずどんな場所として使用するか、どんな暮らしがあるかをイメージしてみましょう。たとえば、寝室なのか、収納なのか。収納として利用するならば、どのような荷物をもってはしごを上がることになるのか、それは可能なのか。さらに、もし、その部屋に住んだら、一日に何回くらいはしごを上り下りするか、といったことをイメージしてみます。

■内覧の際の注意点

内覧の際には実際にロフトに上って内部で歩いてみましょう。どの程度、腰を曲げる必要があるでしょうか。大きな荷物を入れようと考えているのなら、折りたたんだダンボール1個や収納したい荷物を一つ持っていき、それをどう運ぶかをやってみましょう。空のダンボールを両手で持って運んでみると、荷物が入っている状態をイメージしやすくなります。

もう一つ。メジャーをもっていき、ロフト内の天井までの高さや、ロフトの空間そのもののスペースを測ってみます。ふとんを敷くために必要なスペースがわかりますし、自分にとって快適な天井高もわかります。

■物件を選ぶ方法

ところで、ロフトの上下階移動のデメリットを解消するには、数は多くないですが階段形式や、ある程度の天井高があるロフトを選ぶ方法があります。

■暑さ対策

夏の暑さ対策としては、扇風機やサーキュレーターを下の居室部分のエアコンの風が下りてくる場所に置いて、室内の空気をかきまぜる方法があります。また、ロフト内に窓があれば、風が抜けるはず。内覧のときには窓を開けて風の通り道になっているかを確認しましょう。さらに、夏だけは下のスペースで寝るという方法も考えてみてはどうでしょうか。

■生活音について

上階の生活音についてですが、これは本人の感じ方もありますし、住んでみないとわからないというのが実情です。ロフトがない住まいでも、音が気になることはあります。ただ、事前にできるだけ情報を集めるために、内覧する時間を休日の午前中や夕方にしてみる方法があります。人がいる確率が高いからです。また、掲示板などに「生活音への注意」などが貼り出されていないかをチェックしてみましょう。


高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中

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