自分で申し込みをして作るカードのほかに、クレジットカードには「家族カード」もあります。では、自分名義のカードと家族カードでは何が違うのでしょうか? また、家族カードにはどんなメリットがあるのでしょうか?
家族カードって何?
クレジットカードには、表面に必ず名義人が記載されます。一般的には名義人はカードを申し込んだ本人となり、これを「本会員」といいます。
一方家族カードは、本会員の家族が「家族会員」となることで、発行されるものです。多くは本会員と生計を共にしている配偶者・親・子ども(満18歳以上で高校生を除く)が対象で、家族に対しても1枚ずつカードが作られます※。また、家族カードの表面には家族の名前が記載されます。
カードの券面は家族それぞれに発行されますが、請求やポイントの付与は本会員を対象に行われます。そのため、家族カードでお買い物をした代金は基本的に、本会員のお買い物分と合わせて本会員宛に請求され、本会員の銀行口座から引き落とされます。
またお買い物代金に応じて貯まるポイントも、家族のお買い物分が合算され、本会員のカードに貯まります。
※一部のカードでは、家族カードを発行できないもの、制限があるものもあります
家族カードの審査・有効期限
家族カードを作るときは、家族全員が自動的に家族会員になるわけではなく、申し込み時に指定した家族のみが、家族会員になります。本会員がカードを申し込むときに同時に申し込むか、既に本会員がカードを持っている場合は後から家族カードの申し込み手続きをすることが必要です。
一部のカードを除き、家族カードを作るために家族についての入会審査はなく、本会員が審査に通っていれば、家族もカードを持つことができます。その代わり、家族カードでお買い物ができる上限額は、本会員のカード利用枠の範囲内です。本会員、家族カードを持つ家族全員のお買い物代金を合わせて、本会員のカード利用枠までとされています。
またカードの有効期限も、原則として本会員に準じます。本会員のカードと家族カードの有効期限は基本的に同じで、更新時期が近づくと、本会員のカードとともに家族カードも新しいものが発行されます。
家族カードのメリット
家族がそれぞれ本会員になってカードを持つのに比べて、家族カードには一般的に次のようなメリットがあります。
<1>家族の入会審査が不要
家族カードには一般的に、審査がありません。ですから、自分でカードを作ろうとして審査に通らなかった場合でも、家族に本会員になってもらい、自分が家族会員になれば、クレジットカードを持つことも可能かもしれません。
<2>ポイントをまとめることができる
家族がお買い物をした代金についても、本会員にまとめてクレジットカードのポイントが付与されます。1人で貯めるよりも効率的にポイントを貯められそうですね。
<3>年会費が割安
年会費がかかるカードの場合、家族会員は本会員に比べて割安なことが多いです。また、家族会員1人分までは、年会費が無料になるものもあります。
家族がそれぞれクレジットカードを申し込むよりも、毎年の年会費を節約できるかもしれません。
<4>本会員と同じサービスを受けられる
空港ラウンジや海外旅行保険など、クレジットカードに付帯しているサービスは、家族会員でも本会員と同様に利用できるものも多いです(カードにより、利用できないものもあります)。
家族カードのデメリット
逆に、家族カードを作る際には次の点に注意しましょう。
<1>利用枠が限られる
カードでお買い物をできるのは、本会員に与えられた利用限度額までです。この利用枠を家族会員全員でシェアすることになりますから、一度に家族みんなが高額のお買い物をすると、限度額を超えてしまう恐れもあります。
<2>何を買ったか本会員に知られてしまう
家族カードでのお買い物代金は、基本的には本会員に請求されます。その場合、家族会員全員分の利用明細が本会員に届き、すべての代金が本会員の指定した銀行口座から引き落とされます(一部、利用明細や引落口座を分けられるカードもあります)。
本会員に知られたくないものを買うときには、家族カードは使わない方が良いでしょう。
<3>本会員と同じ種類のカードしか作れない
家族カードは、あくまでも本会員のカードに付帯したサービスです。ですから、本会員のカードと同じ種類のカードしか作れません。たとえば本会員が一般カードで、家族会員がゴールドカード、といったような作り方はできません。自分の好みのカードが欲しいときは、自分で申し込みましょう。
本会員がカードを持っていれば、手軽に作れる家族カード。ポイントや年会費の面でも効率的に使えるのがうれしいですね。反面、制約もあります。ご自身やご家族のニーズに合わせて活用してはいかがでしょうか?
※写真と本文は関係ありません
加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。