NTTドコモは16日、スマートフォンの2018年夏モデルと新サービスを発表した。ドコモ端末としては5年ぶりとなるファーウェイのスマートフォン「HUAWEI P20 Pro」など11機種が発表されたほか、新サービスとしてAIエージェント「my daiz(マイデイズ)」、ポイント投資サービスなどを提供する。
ドコモの吉澤和弘社長は、「より多くのお客様に、便利、楽しい、お得を提供していく」と意気込んでおり、携帯回線の契約者だけでなく、他社のユーザーも会員として取り込んでいきたい考えだ。
お豆腐? 白い箱? 四角につぶらな瞳のキャラクター
新サービスの「my daiz(マイデイズ)」は、ユーザーとの音声対話やPush配信などを行う、同社のAIエージェントサービス。GoogleのGoogleアシスタント、アップルのSiri、アマゾンのAlexaなどと対抗するAIサービスで、ドコモがこれまで培ってきた「しゃべってコンシェル」のような対話エンジンや、ユーザーの行動に合わせて適切なタイミングで情報を提供する先読みエンジンなどを組み合わせて開発された。
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「パーソナライズ」と「先読み」が、他サービスとの大きな差別化のポイント。ドコモの回線契約情報や、スマートフォンをベースにした位置情報や行動学習などを組み合わせ、ユーザーそれぞれに合わせた適切な情報を、適切なタイミングで提示することができるという。
例えばいつもの帰宅時間を学習して天気や交通情報を提示するといった具合で、使えば使うほど、ユーザーのことを理解し、必要なサービスを提供する。ドコモのdマーケット系のコンテンツサービスやショッピングやトラベルなどの各種eコマースなど23サービスに加え、パートナーと連携した33サービスを用意。計66の公式アカウントを「メンバー」として、各種情報を提供できるようにした。
情報に基づくパーソナライズで差別化
my daizを起動しておくと、ユーザーに即した情報を四角いキャラクターが提示するので、タッチすれば詳細を確認できる。音声対話も可能で、スマートフォンに「my daiz」と呼びかけると対話が開始。質問をすれば、各アカウント(メンバー)から情報を検索するなどして、必要な情報を受け取ることができる。画面オフでも音声で起動できるが、現時点で音声認識によって個人を区別することはしていないそうだ。
例としては、「赤坂のレストラン」と呼びかけると、ぐるなびから検索されたレストランの候補が表示。レストランを選ぶと、予約するかどうかを聞かれるので、時間、人数といった情報を声で指定していくと、最終的にぐるなびの予約サイトに飛ばされる。最初に「my daiz」と呼びかければ、あとは連続して対話できる点は優れている部分だ。
ドコモではキャリアとして大量のユーザーデータを抱えるほか、これまで提供してきた各種サービスによっても利用者データを取得している。スマートフォンやタブレットから得られる行動履歴を組み合わせることで、質問に答えるだけでなく、ユーザーに「価値を提案する」という方向性を重視。こうした点で他社のエージェントサービスと差別化できるとしており、Googleアシスタントなどに対抗していく考えだ。
ドコモ吉澤社長「API課金も視野に」
my daiz自体はAPIとしてオープンにしており、パートナーが対応サービスや対応機器を開発することができる。ドコも自身は、現時点でスマートスピーカーの開発はしないというが、他社が「my daiz対応スピーカー」を開発することはできるそうだ。APIはオープンなため、吉澤社長は「個人は無理だと思う」としつつ、幅広いパートナーの参画を期待する。
当初パートナーは33サービスだが、2020年までにこれを150まで拡大する。現時点で、パートナーからの収益は求めず、月額料金も100円と安いが、今後の収益化も視野に入れる。パートナーへ顧客を誘導し、そこでdカードやd払いなどの決済を利用してもらうことによる収益も期待できるほか、「API課金も検討している」(吉澤社長)という。
ほかのプラットフォーマーのように売上の何%、といった料金体系にするといった方向性も考えられるが、現時点では検討中で、当初はパートナーへの課金は行わず、まずは裾野を広げていくことを目指す。
回線契約を問わず利用できるサービスであり、20年までに1500万契約を目指す。現在の似たようなサービスであるiコンシェルは、基本的にmy daizへの切り替えになるそうだ。