マツダで社長が交代する。6月26日の株主総会および取締役会終了後、現在は副社長の丸本明氏が代表取締役社長兼CEOに就任し、現社長の小飼雅道氏は代表取締役会長となる。社長交代会見では丸本新社長の課題認識などについて質問が飛んだ。

  • マツダの丸本明副社長と小飼雅道社長

    マツダの社長に就任する丸本明氏(左)と現社長で6月には会長となる小飼雅道氏

課題は山積みも「飽くなき挑戦」

マツダの社長に就任する丸本明氏は、1980年に同社に入社し、その後は主査室主査、商品品質本部長、プラットフォーム・プログラム担当開発推進本部長、経営企画担当の役員など、幅広い領域に携わってきた。直近では副社長として、社長補佐および米州事業・管理領域統括を務めていた。現社長の小飼氏は丸本氏の経歴に触れて、「各部門の専門性があり、各領域の強みと課題、つまり会社の強みと課題を熟知した人材」と評する。

  • マツダの丸本新社長

    趣味のゴルフは小飼現社長に勝てないことを理由に2年前にやめたと語った丸本氏。クルマで遠出することも趣味だそうで、今後はマツダでデザインを担当する前田育男常務が監修したレーシングスーツを入手する予定もあるという

当面の最重要課題について報道陣に聞かれると丸本氏は、「中長期で課題は山積みと認識している」と切り出し、「足元では、ここ2~3年は“稼ぐ力”が低下しているので、これを解決すること」とした。特に米国市場は「収益面、ブランド面で最重要市場と認識」しているそうで、この市場で収益性を改善することが大事と語る。

米国事業の改善で最大の課題は何か聞かれると、丸本氏は「米州事業統括を担当して3年になるが、なかなか成果を出し切れてないところがある」とした上で、「販売ネットワークの再構築が最優先課題」との考えを示した。「ディーラーの方々にブランド価値経営を浸透させて、ちゃんと利益を上げてもらって、マツダブランドに投資してもらう。このサイクルを回すべく、今期以降の向こう4年で400億円プラスアルファの投資を実行する」のが米国事業の強化策だ。

  • マツダの販売ネットワーク改革

    2018年4月27日の決算会見で小飼社長が使用した販売ネットワーク改革に関するスライド

マツダは先頃、2017年度の決算発表と同時に、中長期的な取り組みについて小飼社長が自ら説明する機会を設けた。その中では200万台体制を目指すことを宣言し、クルマづくりに新たな概念を導入することや米国をはじめとする販売ネットワーク改革の加速、トヨタ自動車など他社とのアライアンスの成功、成長に向けた投資などの方向性を提示した。2017年度に約163万台だった世界販売を200万台に引き上げるチャレンジングな目標が明らかになった直後に、丸本氏は社長職を引き継ぐこととなる。

そんな丸本氏が「座右の銘」に関する質問を受けた際、「座右の銘ではないが自分にも会社にも重要」として引いたのが、昨年の末に亡くなった山本健一マツダ元社長の「飽くなき挑戦」という言葉。「会社の規模を考えると、生き残るために、マツダは挑戦をし続けなければならない」というのが、この言葉を重要と考える理由だという。