ファーウェイ・ジャパンが発表したノートPCの新製品「MateBook X Pro」とAndroid搭載タブレット「MediaPad M5/M5 Pro」。スマートフォンでは世界3位のシェアを誇る同社のPC戦略について、デバイス部門の日本・韓国リージョンプレジデントである呉波(ゴハ)氏に話を聞きました。今回のインタビューは、報道関係者を集めたグループ形式です。

  • MateBook X Pro

―― 日本におけるPC製品、これまでの売れ行きはいかがでしょう?

呉波氏 : 具体的な台数は明らかにできませんが、売れ行きとしては予想通りです。MateBookを日本に投入してから多くのフィードバックが得られたので、今回のMateBook X ProやMateBook Dでは、ユーザーからの要望を採り入れました。今までのモデルよりも、日本の消費者ニーズに合致したものになっていると思います。

販売目標は、明確にどれくらいのシェアを取る、というものはありませんが、一歩一歩邁進していくという気持ちでやっています。PC製品も、これまでの我が社のSIMフリースマートフォンやタブレットと同じように、(消費者に)気に入られるような製品になっていくはずです。

―― 新製品に対して、どんな期待を持っていますか?

呉波氏 : MateBook X Proについては楽観しています。タッチスクリーンや画面占有率90%以上、日本語キーボードなど、まさに日本のユーザー向けに作ったような仕様です。

ファーウェイでは2つのポイントを重要視しています。「製品のイノベーション」、「市場ニーズを満たすこと」です。この2点に対して、R&Dでも大きな金額を投資してきました。顧客第一を掲げて、消費者のニーズを満たせるような製品を提供しています。

  • ファーウェイの呉波氏

―― 日本の法人市場に対しては、どのようにお考えでしょう。

呉波氏 : 日本のPC市場について、社内調査では「2つの60%」という結果を得ています。1つ目は、「PC全体の販売台数の60%がB2B」、もう1つが「売れているPCの中で全体の60%が15インチ以上」というものです。

この2つの数字を持って、法人市場に切り込みたいと考えています。今のところB2Cに目を向けてはいますが、B2Bも諦めているわけではありません。今年(2018年)はB2Bの販売でいくつかの成功ケースが生まれました。

Windows 7のサポート終了もあるし、Windows 10をメインにして製品を出しているファーウェイにとって大きなチャンス。PCのB2Bだけでなく、Androidタブレットの法人向け販売でも大きな進展があるでしょう。

―― グローバルにおける日本市場の位置づけに変化はありましたか?

呉波氏 : 製品統括は楊勇(端末統括本部プロダクトソリューション統括部のヤンヨン氏)ですが、日本に来て1年になります。日本に来る前は、(中国)本社でグローバルのPC・タブレットのプランニングをしていました。その大物を呼び寄せられたんです(笑)。

本社で7~8年、PCのプランニングをしていた人間に、日本市場の声をじかに聞いてもらうことが重要でした。あえていうなら、日本は他の国よりコンシューマー・インサイトを深くやってきたので、説得力があったのでしょう。それが日本市場のニーズの裏付けになって説得力できて、人(楊勇氏)も来てくれました。

  • ファーウェイの楊勇氏

呉波氏 : 日本のPC、タブレット市場は、世界でもトップ3に入る重要な市場と認識しています。PCに関しては、(ファーウェイのラインナップには)クラムシェルと2in1がありますが、日本1カ国の市場は東南アジア10数カ国より大きいのです。

私が知る限り、PCを作っている大手メーカーは、本社は別の国にあっても、PC部門のR&Dやプランニングのオフィスを日本に構えることが多くあります。この分野における人材の数は、日本が他の国より抜きんでていることが理由でしょう。

―― MediaPad M5 Proでは、グローバルモデルにキーボードカバーが用意されていましたが、日本向けモデルではどうなるのでしょうか。

呉波氏 : すでに、市場には多種多様なキーボードがあり、タブレット用にBluetooth接続のキーボードを持っているユーザーも多いでしょう。そこに、英語キーボードカバーを持ち込む必要はないと判断しました。

日本のパートナー事業者とも話をしていて、日本市場限定のキーボードなど、アクセサリが出てくると思います。これを機に、パートナー企業に多くのチャンスをつかんでもらえれば。消費者が求めているさまざまなことは、現地の事業者のほうがより良く理解しているものです。すべてをファーウェイがやる必要はなく、得意分野で(パートナーに)力を発揮してもらいたいと考えています。

  • MateBook X Proのキーボードは防滴仕様

―― MateBook X Proは、日本語キーボードのみでしょうか。

呉波氏 : はい。現時点で、英語キーボードモデルを投入する計画はありません。

―― PC、スマートフォン、タブレットなどが連携するにあたっては、クラウドサービスが重要です。計画の進み具合を教えてください。

呉波氏 : クラウドサービスを日本で提供するための準備は、順調に計画通りに進んでいますよ。今年(2018年)の頭に計画を立てましたが、今年中には日本でサービスをスタートできる予定です。ただし一部の製品向けで、すべての製品でクラウドサービスを開始するわけではありません。まずはパイロットローンチという形式です。

製品に限らず、クラウドサービス自体も全面的には開始せずに、当初は一部の機能のみになります。徐々に他の製品、クラウドサービスに拡大していく計画です。

―― クラウドサービスでは、決済サービスのHuawei Payは日本で使えるようになりますか?

呉波氏 : Huawei Payが日本市場で利用できるようになるかどうかは、私も注目しているところ。現時点では、Huawei Payを提供できるかどうか、提供するとしたらいつになるか……といったことは申し上げられません。

Huawei Payは、ファーウェイのクラウドサービスの中でも重要な機能ですし、しかも他の多くの国でサービスを展開しています。すでにサービスを展開している国のノウハウもあるし、適したタイミングで提供したいと考えています。

―― auに引き続き、ソフトバンクからHUAWEI Mate 10 Proが発表されました。

呉波氏 : 1月のau(HUAWEI nova 2 HWV31)、今日のソフトバンクと製品が発表されたのは、日本の消費者からもファーウェイが認められているということではないでしょうか。Mate 10 ProはSIMフリー市場の端末をそのまま販売するのではなく、ソフトバンクの要望通りカスタマイズをしています。

そのため、地震速報やソフトバンクのアプリもあらかじめ入っています。また、SIMフリーのMate 10 ProはデュアルSIM仕様ですが、ソフトバンク版はシングルSIMモデルになっているという違いもあります。

私が日本に赴任してから、ソフトバンクでファーウェイのフラッグシップ機が発売されるのは3回目。今回もいい結果になるよう期待しています。Androidスマートフォンがキャリア市場で大きなシェアを獲得できるよう貢献していきます。