「クレジットカード機能付きポイントカードを作ればポイント還元」などのうたい文句に惹かれてカードを作るうちに、何枚もクレジットカードを持っていた、なんて経験がある方、多いのではないでしょうか。しかし、あまりにもたくさん持っていると管理が面倒になることもあります。
クレジットカードは何枚持ちが良いのでしょうか? カードの整理や選び方とともに考えてみましょう。
クレジットカードの平均保有枚数は?
日本クレジット協会の調査によると、クレジットカードを持っている人の平均保有枚数は「2.9枚」(※1)。また、社会人5年目までの人を対象にした調査では、「1枚」(33.3%)、「2枚」(29.2%)が最も多いというデータがあります(※2)。
クレジットカードの多くは18歳から作ることができますが(※3)、若いときには1~2枚だったものが、年を経るごとにもう1枚、2枚と増える人が多いのかもしれません。
また、カードを利用する理由(複数回答)を見ると、「ポイントや割引等の特典」(64.4%)を挙げる人が最も多いことが分かります。お買い物での特典を目当てに、カードを新しく作るケースもあるでしょう。
近年、キャッシュレス決済が普及し始めている背景もあり、「現金を持ち合わせていなくても買物できる」(57.0%)、「決済が簡単にできる」(49.7%)ことを理由に、クレジットカードを利用する機会が増えている状況もうかがえます(※1)。
※1 日本クレジット協会「クレジットに関する消費者向け実態調査結果の公表について」(平成29年11月7日)より引用
※2 日本クレジット協会/マイナビ学生の窓口調べ「クレジットカードに関するアンケート調査」より引用
※3 学生カードの場合は高校生を除く、所定の学校に通っている場合、その他は安定した収入があることが要件。申し込みには審査あり
クレジットカードを複数枚持つメリット
クレジットカードにはそれぞれに特徴があります。
・年会費がかかる、かからない
・お買い物額に応じて貯まるポイントの還元率が高い
・貯まったポイントが交換できる
・航空会社のマイルが貯まる
・特定のお店で利用すると割引が受けられる
・電子マネーと連携できる、一体になっている
・キャッシュカードと一体になっている
このように、さまざまな「売り」を持っているのです。
その中から、自分にとって最も有利なカードを1枚だけに絞るのは難しいもの。毎日の通勤では電車に乗るし、時々出張で飛行機にも乗る、お買い物ではスーパーにも行くけれど、コンビニも使う……といったように、私たちはあらゆる生活シーンでお金を使っているからです。
それぞれの決済でクレジットカードの利便性を最大限に享受するためには、複数のカードを持つ方が良いでしょう。
電車に乗るときは電子マネー一体型のカードを、ネットショッピングをするときはそのサイトのポイントが貯まるカードを使うなど、何枚か持つことで、各カードの強みをいかした使い分けができるはずです。
クレジットカードを複数枚持つデメリット
しかし、あまりにもカードの保有枚数が多くなりすぎると支障が出ることもあります。特に次の3点は、多くの人が陥りがちです。
<1>うまく使い分けられない
生活シーンに合わせてカードを使い分けようと思っても、あまりに多くのカードを持っていると、結局使い分けられないこともあります。
「このお店はどのカードがいいんだっけ?」と忘れてしまったり、お財布の中に詰め込んだ大量のカードの中からお目当てのカードを探すのに手間取ったりするためです。
あれもこれも使おうとせず、使い分けのパターンを自分で覚えていられる、お財布からさっと出せる程度の枚数にとどめておく方が、結果的には上手に使いこなせるでしょう。
<2>ポイントが貯まりにくい
多数のカードでお買い物をすると、ポイントも分散してしまいます。貯めたポイントを使いたくても、一般的には100ポイントなど、まとまった単位にならなければ使うことはできません。
また一部のカードを除き、付与されるポイントには有効期限がありますから、使わないうちに期限が切れてしまうことも。
1~2年以内には使えるくらいのポイント数を貯められるよう、利用するカードも集約しておく方が有利です。
<3>年会費がかさむ
年会費がかかるカードの場合は、持っているだけでも毎年コストがかかります。貯まるポイントや使える会員特典以上に年会費がかかっては逆効果。入会した初年度は年会費がかからないものの、2年目からはかかるものもあります。
「今作ればこのお買い物がお得になる」と、とりあえず作ったカードはそのまま放置せず、その後も使っているかどうか定期的にチェックするのがオススメです。
クレジットカードは何枚持ちが良い?
自分に最適なクレジットカードの種類や枚数は、ライフスタイルによって異なります。管理やポイントの貯めやすさを考えると、一般的には2~3枚程度、多くても5枚程度までにおさえるのが良いのではないでしょうか。
例1: ネットショッピングをよくする/夜間&コンビニATMでお金を引き出すことが多い人
ネット系と銀行系のカードを1枚ずつ持つのがオススメ。ネット系のカードはポイント還元率が高く、年会費が無料のものも多いです。また銀行系のカードは、ATMの時間外手数料や提携先のコンビニATMの利用手数料が無料になるものもあるので、節約効果が期待できます。
例2: 平日は鉄道での移動が多いが、休日は飛行機での旅行が趣味の人
鉄道系と航空系のカードを1枚ずつ持つのがオススメ。鉄道系のカードは乗車ごとにポイントが貯まり、提携先のマイルに交換できるものもあります。また航空系のカードには、対象の航空会社での航空券、旅行代理店でのツアー代金の支払いで利用するとポイント還元率がアップしたり、無期限でマイルに交換できたりするものもあります。
このように、自分のライフスタイルや、日頃お金を使うシーン、お買い物金額が多いところで優遇を受けられるカードを優先的に選ぶと良いでしょう。そして、それ以外のお買い物も手持ちのカードで決済すると、日頃のお買い物で自然とポイントを貯められるようになりますよ。
※写真と本文は関係ありません
加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。