遠隔操縦無人機の大手企業である米ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社(General Atomics Aeronautical Systems, Inc.、以下「GA-ASI」)は5月10日、長崎県壱岐市 壱岐空港において同社製大型遠隔操縦無人機「ガーディアン」を使用したデモフライトを開始した。デモフライトはデータ収集や科学研究分野での利用を主目的とし、今後約3週間にわたって行われる予定となっている。

  • 大型遠隔操縦無人機「ガーディアン」のデモフライトを実施

    大型遠隔操縦無人機「ガーディアン」のデモフライトを実施

同フライトに先だって、5月9日に記念式典が行われ、GA-ASI CEOリンデン・ブルーの挨拶、および白川博一壱岐市長からの祝辞の後、GA-ASIと壱岐市の友好の証として記念品の交換が取り行われた。5月10日にはガーディアンが初の実証実験に向けて、壱岐空港の滑走路を11時20分に離陸し、約3時間のフライトの後、壱岐空港に帰還した。

デモフライトによってガーディアンが収集したデータは、日本での科学研究に役立てる目的で、研究機関に提供される。また、飛行データは国際民間空域での無人機飛行許可制度の確立を支援するために、関係機関に提供される。なお、5月13日10時からは、ガーディアンの一般開放も実施する。

  • 離陸直後のガーディアン

    離陸直後のガーディアン

今回のデモフライトは民間企業では日本初となる、長距離航続が可能な無人機の飛行となった。航空機のセンサーには、長距離用海上探索レーダー、自動補正光学赤外線ビデオカメラ、短距離空対空レーダーを含む衝突防止システムなどがあり、これらは米国の国土安全保障省が海上観察のために搭載しているセンサーとほぼ同様の構成となっている。

実証試験は長崎県・壱岐空港を運航拠点とし、約3週間の期間に1回あたりおよそ5時間のデモフライトを10回程度行う予定。「気象・災害・海洋観測支援」「海難・救助支援」「航空・通信・産業利用支援」の3つを目的としたデータ収集のデモフライトを行う。デモフライトの運航に際し、GA-ASI本社より飛行実績において経験豊富なパイロットおよび整備担当者を含むチームが来日し、あらゆる状況を鑑みて安全運航にあたる。

  • (左より)壱岐市長の白川博一氏、リンデン・ブルー GA-ASI CEOのリンデン・ブルー氏

    (左より)壱岐市長の白川博一氏、リンデン・ブルー GA-ASI CEOのリンデン・ブルー氏

今回のデモフライトの実現にあたってGA-ASI CEOのリンデン・ブルー氏は、「この度、このプロジェクトの実現にあたり、多大なご協力をいただいた壱岐市長、及び関係省庁、関係自治体にお礼を申し上げます。大型遠隔操縦無人機を日本の海洋環境で使用することによって、貴重なデータが取得できると確信しております。収集したデータを、今後の研究に役立てていただけることをとても楽しみにしています」とコメントしている。

白川博一 壱岐市長は、「この度、日本初となる遠隔操縦航空機の実証試験が、実りの島壱岐で行われることを大変ありがたく思っております。様々な平和的な利用、例えば海難時等の災害支援や海洋等の観測、調査、研究など国境に位置する離島にとって極めて重要な内容であり、さらに壱岐市の国内外へのPR、交流人口の拡大等壱岐市で行われる意義は極めて大きいと考えております」とコメントしている。

ガーディアンの特性
翼幅: 24m(79ft)
全長: 11.7m(38ft)
最大離陸重量: 5,670kg(1万2,500lb)
ペイロード容量
 全体: 2,177 kg(4,800 lb)
 ハードポイント: 9カ所(翼: 8、胴体中心線: 1)
 内部: 363kg(800lb)
 外部: 1,814 kg(4,000lb)
最高高度: 海抜1万2000m以上(4万ft)
最大航続時間: 40時間
最大飛行速度: 210ノット(真対気速度)