日本コカ・コーラのスマートフォンアプリ「Coke ON」に新サービスが追加された。歩くだけでドリンクがもらえる「Coke On ウォーク」というサービスだ。利用者にはうれしいが、日本コカ・コーラにはメリットがなさそうなこの取り組み。何を目指しているのか。
使命を帯びたCoke ONアプリ
Coke ONは、日本コカ・コーラがデジタルマーケティングを進めるために導入したスマートフォンアプリ。ユーザーに向け、製品関連情報などを配信し、エンゲージメントの向上を期待するほか、購買履歴の有効活用を進め、最終的には収益につなげたい考えだ。
ユーザーもメリット大きい。スマホ対応自販機でドリンクを1本買うと、アプリにデジタルスタンプが刻印される。それを15個集めると、対応自販機でドリンクが1本もらえるようになっている。
今では、多くの人に受け入れられるまでに成長したが、ここにきて、不思議な新サービスを始めた。それがCoke ON ウォークだ。
Coke ON ウォークは、1日あたりの歩数目標を候補の中から設定し、1週間の歩数目標や累計歩数の目標を達成するごとに、スタンプを獲得できるというサービス。スマホ対応自販機でドリンクを購入した際と同様にスタンプが獲得でき、それを15個集めるとドリンク1本と交換できるようになっている。
いわば、歩くだけでもドリンクがもらえてしまう。そういった見方をすると、日本コカ・コーラのメリットが見えにくくなるが、新規のファン獲得のため、と考えると納得がいくだろう。
Coke ONはすでに850万ダウンロードを達成。多数のコカ・コーラファンがダウンロードしているだろうと思われる数値だ。ここからより一層のファンを獲得するには、間口を広げる必要がある。そこで誕生したのがCoke ON ウォークだ。
日本コカ・コーラ広報部は、Coke ONアプリをリリースしてから「スマホ対応自販機と従来の自販機を比べると、2-3ポイントほど売れ行きに差がある」とし、アプリを活用したほうがビジネス上もメリットがあり、日本コカ・コーラとしては、Coke ONの利用促進を進めたい考えのようだ。
先々はどうなるのか。こうしたコンテンツは増えていくのだろうか。その点について「そもそもの開発のコンセプトとして、日々、接してもらえるデイリーユースなアプリを目指していた」(同上)とし「アイデアに制限をかけず、エンタテインメント性が高く、飲料とは一見、無関係に見えるコンテンツの提供にも取り組んでいく」(同上)としている。
新規ユーザーの取り込みと、エンゲージメントの醸成。Coke ON ウォークの取り組みを見ると、どのようにファンの獲得を目指し、実践していこうと考えているのか。新規ファン獲得のプロセスの参考になりそうだ。