米Googleが開発者カンファレンスGoogle I/O 2018 (2018年5月8日〜10日)において、Androidの次期メジャーバージョン「Android P」(コードネーム)の新しいインターフェイスやナビゲーション、新機能を説明した。今年は初のAndroidスマートフォン「T-Mobile G1」が登場してから10年の節目の年である。その間にスマートフォンは世界中で数十億人の人々に使われるデバイスに成長した。Android Pは、人々の生活に欠かせないデバイスに成長したスマートフォンで最も採用されているモバイルプラットフォームとして、スマートフォンをさらに使いやすく、そして役立つデバイスに進化させようとする意欲的なアップデートになる。
Google I/Oのキーノートでは、Andorid Pを「シンプル」なインターフェイス、「インテリジェント」なインターフェイス、そして「デジタルウェルビーイング」 (Digital Well-being)の3つのポイントから説明した。
3ボタンから1ボタンに、シンプルなナビゲーション
スマートフォン以前の携帯電話に対するスマートフォンの大きな特徴の一つとして、マルチタッチによる直感的な操作が挙げられる。Android Pでは、その特徴をより活かせる新しいシステムナビゲーションを導入、ジェスチャーを使って効率的にホーム画面を操作できるようにした。それに伴って、Androidの象徴的なユーザーインターフェイスだった3ボタン (戻るボタン、ホームボタン、マルチタスクボタン)が廃され、ホームボタン1つにまとめられた。以下のように、タップと長押し、スワイプで操作する。
- スワイプアップ:最近使ったアプリのリスト (オーバービュー)と、ユーザーが使用する可能性が高い5つのアプリ
- より長くスワイプアップ/2回スワイプアップ:アプリのフルリスト (ドロワー)
- ホームボタンを左右にスワイプ:オーバービューをスクロール
- ホームボタンをタップ:ホーム画面に戻る
- 長押し:Googleアシスタント
戻るボタンは完全に廃止ではなく、オーバービューやアプリの画面でホームボタンの横に現れる。オーバービューがより機能的になって、オーバービューのプレビューでスマートテキストセレクションを使用できるようになった。
音量コントロールのキー操作のデフォルト割り当てが、着信音ではなくメディア音量になった。他にも、スクリーンショットを簡単に撮影・編集できるクイック設定、スクリーンの回転ロック機能でロック状態から向きを変えてワンタップで解除できるなど、よりシンプルに使い勝手を向上させる数多くの改善が行われている。
DeepMindと協力してAndroidをより賢く
ここ数年Googleはスマートフォンの使用体験へのAIの活用を推進しているが、Android Pでは同じAlphabet傘下であるDeepMindとのパートナーシップで開発した「Adaptive Battery」と「Adaptive Brightness」を実装する。ユーザーがよく使用するアプリやサービスを見極め、それらを快適に使用しながら全体の電力消費を抑えるように最適化する。また、周囲の明るさに対してユーザーがどのぐらいの画面輝度を必要とするかを学習し、ユーザーごとに最適な自動輝度調整を実現する。
Androidでは、アプリのアイコンが並ぶドロワーに、その時にユーザーが使用する可能性が高いアプリが5つ表示されるが、そうした提案機能が「App Actions」として、より機能的に、そしてプラットフォーム全体 (ランチャー、スマートテキストセレクション、Play Store、Google検索アプリ、アシスタントなど)に拡大される。たとえば、ユーザーがよく音楽を聴く時間帯に「Spotify」など音楽アプリを提案するだけではなく、ヘッドフォンを接続した時にSpotifyでよく聴くプレイリストの再生再開を提案するなど、より深くプロアクティブに提案する。
App Actionsとは別に、便利な提案機能をGoogle検索から使える「Slices」という機能も用意した。たとえば「Lyft」(配車サービスアプリ)と検索すると、結果にユーザーがよくLyftで使用するサービス (自宅や会社までのLyft、所要時間、料金など)が表示され、ワンタップでLyftアプリの手配画面を開ける。
スマートフォンの長時間使用を防ぐ機能
スマートフォンが人々の暮らしを便利にする一方で、長時間スマートフォンを使ってしまうスマートフォン中毒が問題になっている。それを防ぎ、ユーザーが健全にスマートフォンを活用するためにサポートするのがデジタルウェルビーイングだ。Android Pでは、スマートフォン使用のデータを視覚化してユーザーに伝え、使いすぎを防ぐための機能やツールを揃えた。
スマートフォンの使用頻度のデータをまとめた新しい「Dashboard」では、デバイスの使用時間、アンロック回数、通知数、各アプリに費やしている時間などを把握できる。使いすぎを抑えるように、「App Timer」を用いてアプリごとに1日の使用時間の目標を設定可能。新しいDo Not Disturbモードは電話や通知だけではなく、スクリーンに何かが表示されてユーザーの気が散るのも防ぐ。また、スマートフォンを机などに伏せて置くと自動的にDo Not Disturbモードになる機能も用意した。「Wind Down」は、設定した就寝時間にDo Not Disturbモードに切り替え、そして画面をグレイモードにする。通知や通話をオフにしていても、Webブラウジングなどでベッドの中でスマートフォンを使い続けるのを防ぐ。
GoogleはGoogle I/Oのキーノートで「Android P Beta」の提供開始を発表した。これは開発者向けプレビューの第2段階になる「Android P Developer Preview 2」だ。Developer Preview 1ではサポート端末がPixelシリーズとPixel 2シリーズだけだったが、Essential Phone、Nokia 7 plus、Oppo R15 Pro、Sony Xperia XZ2、Vivo X21UD、Vivo X21、Xiaomi Mi Mix 2Sが追加された。