少額短期保険は、その名の通り補償額が少なく、契約期間も短く、掛け捨ての保険。シンプルな補償をリーズナブルな保険料で提供するなど、一般の損害保険や生命保険では対応する商品がない日常のリスクに対応するユニークな商品があります。

ネットで加入できるものも多く、必用なときに手軽に利用できますから知っておくといざというときに役に立ちます。

少額短期保険って何? 普通の保険と何が違う?

そもそも、少額短期保険とは何なのでしょう。一般の保険や共済とはどこが違うのか、まずはその点を整理してみましょう。

少額短期保険会社は2006年4月に改正保険業法が施行されたことにより、それまで根拠法がなく運営されていた無認可共済などが保険業法の対象となりました。その名前の通り扱う商品は「少額(=死亡保険は300万円以下、損害保険は1000万円以下など)」、「短期(=通常1年、損害保険分野は2年以内)」の保険商品のみ。

そのため参入の規制は保険会社が金融庁長官による免許制であるのに対し、少額短期保険会社は財務局による登録制。最低資本金は保険会社が10億円であるのに対し1000万円など、事業規模が小さくても参入できるのが特徴で、主な内容をまとめたのが下表です。

  • 保険会社と少額短期保険会社の違い

どんなときに補償してくれる保険がある?

少額短期保険会社が扱う商品として知られているものに、賃貸住宅入居者用の家財保険、医療保険、ペット保険があります。しかし今回注目したいのは、取り扱う会社は少ないものの「こんなときに保険があったら助かる!」といった特徴ある商品です。

  • 少額短期保険ならではの個性的な商品の例

例えば、「通勤がどうしてもラッシュ時間帯になってしまう」という人に役立つ「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険」。混んだ電車で起こるトラブルの、代表的なものが痴漢です。

痴漢に遭った女性、痴漢と間違われた男性いずれにも対応し、事件発生後48時間以内に発生した弁護士との相談料などを補償してくれるもの。直後の対応がその後の進展に大きく影響するといわれるだけに心強いで商品です。

「チケットぴあ チケットガード」は、どんな保険だか想像がつきますでしょうか? コンサートなどのイベントのチケットは開催日よりもかなり早めに購入する必要がありますよね。そのため、当日になって急な病気やケガなどで行けなくなってしまうとチケットがムダになってしまう可能性があります。急なアクシデントでイベントに参加できなかった場合にチケット代を補償してくれる保険です。

遭難した際の救助費用が高額になる可能性がある、登山やハイキングといったアウトドアスポーツ。「レスキュー費用保険」は、そんなときの救助費用などをカバーする保険です。

「パーツケア」は、交通事故を起こすよりも自動車が故障する可能性の方が高い中古車の修理費用を補償してくれます。

また、火災保険とセットでなくては契約できない地震保険に、単独で加入することができる「Resta(リスタ)」など、様々な種類があります。

少額短期保険を利用するときのポイントは?

一般の保険会社では扱っていない特徴ある商品がラインナップされている少額短期保険とはいえ、保険商品ですから利用する際には必要なものだけを選ぶことが重要です。基本的には目的を絞ったシンプルな商品が多いので、割安なものが多いのは事実。

しかし、あまりにリスクの可能性が低いなら、保険金が高額ではないことも踏まえ利用する必要はないかもしれません。保険料は掛け捨てですから、自分が納得できる金額かどうかで判断するといいでしょう。

また保険会社の商品とは異なり、保険料控除の対象にはならないことも覚えておく必要があります。

  • 鈴木弥生

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。