女優の波瑠が主演するテレビ朝日系ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』(毎週木曜21:00~)。脚本を務めるのは、波瑠とは朝ドラ『あさが来た』以来のタッグとなる大森美香氏だ。そんな大森氏に、波瑠についての印象や自身初となる刑事モノの脚本への感想などを聞いた。

刑事モノに初挑戦

  • 波瑠、鈴木京香

    左から波瑠、鈴木京香=『未解決の女』第3話より(テレビ朝日提供)

――まずは『未解決の女 警視庁文書捜査官』執筆にいたる経緯をお聞かせください。

元々、お仕事ドラマをやりたいと言っていて、その中でも特に刑事ドラマをやりたいという相談をさせていただき、決定しました。昔から刑事ドラマが好きで、『噂の刑事トミーとマツ』や『あぶない刑事』、海外の作品では『ジェシカおばさんの事件簿』『名探偵ポワロ』『刑事コロンボ』が好きでしたね。

大森美香
福岡県生まれ。テレビ局勤務を経て、脚本家に。『不機嫌なジーン』(05年、フジテレビ系)で第23回向田邦子賞を、『あさが来た』(15~16年、NHK)で第24回橋田賞を受賞。その他代表作に、『ランチの女王』(02年、フジ系)、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(06年、日本テレビ系)、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』(09年、フジ系)など

――大森さんにとっては、初の刑事モノの作品ですね。

そうですね。トリックを考えることの難しさはあるのですが、同じメンバーが力を合わせて頑張るというキャラクターモノとしても、ぜひ刑事ドラマをやってみたいと思っていたので、張り切っています。

――原作は麻見和史さんの『警視庁文書捜査官』シリーズです。お読みになっての感想をお聞かせください。

やっぱり私は文字や文章に興味あるんだなと思いながら拝見しました。こういうことに執着する刑事だったら私も仲良くなりたいし、この世界が広がっていくといいなと思っています。

――先ほどトリックを考えるのは難しいとおっしゃっていましたが、なにかアイデアを出すために、普段されていることはありますか?

日常を観察したり、ニュースを一生懸命見るようになりましたね。今まではさらっと見ていたものが、どこに糸口があって事件が解決したのかなど、すごく気になるようになりました。

波瑠を「母心のような気持ちで(笑)」

――主演の波瑠さんとは、朝ドラ『あさが来た』(15~16年、NHK)以来のタッグとなります。

『あさが来た』でご一緒した後も、波瑠さんは本当にいろんな役にチャレンジされているのを楽しみながら、母心のような気持ちで拝見してました(笑)。

――そういった中で今回、波瑠さんに体力と柔術に自信のある肉体派熱血刑事・矢代朋を演じます。波瑠さんに演じてもらいたいというイメージがあったのですか?

波瑠さんには、考えるよりは動く、だれが見ても爽快になる熱血漢を演じていただきたいという気持ちがありましたね。波瑠さんはしっとりとした女性的なイメージもあると思うんですけど、少年漫画に出てくるような少年性もすごくある気がするんですね。そういう女優さんは少ないと思うんです。ですので、今回は「静と動」でいうと、「動」の面を演じてもらいたいと考えました。

――今回の役を演じてもらうにあたって、なにか波瑠さんとお話はされましたか?

「ずいぶん体力的にきついと思うけど、頑張ってください」と言いました(笑)。女優さんとしては、元々すごく考えるタイプの「静」の方なんですけど、これでまた違った波瑠さんが見られるのではと楽しみにしています。

――ドラマでは波瑠さん演じる朋とタッグを組むのは、鈴木京香さん演じる文字フェチの頭脳派刑事・鳴海理沙ですね。

朋をどういう人と組み合わせたら楽しいだろうと考えたときに、突き破る力があるパワフルな人と知的だけど頭の固い人が、デコボコしながらも力を合わせて頑張っていく組み合わせが理想としてあったんです。鈴木京香さんとお仕事したいとずっと思っていたので、このお2人がバディとなってくださったのはうれしいです。

18年ぶりのテレ朝「恩を返したい」

  • 波瑠、鈴木京香、高田純次、遠藤憲一

    左から鈴木京香、波瑠、高田純次、遠藤憲一=『未解決の女』第3話より(テレビ朝日提供)

――ところで大森さんにとって、民放で連続ドラマの脚本を書くのは5年ぶり。テレビ朝日で脚本を書くのは『ただいま満室』以来、実に18年ぶりですね。

18年ぶりですか! 『ただいま満室』の後もまたテレ朝さんで書かせていただきたいとずっと思っていたので、ようやく叶ったという感じです。当時は若手だったのに、生意気だったのはないかと思っていますので(笑)、今度は恩を返したいなと思います。

――『ただいま満室』には沢村一樹さんも出演していましたが、今回のドラマでも沢村さんが出演されています。

あの頃の沢村さんは好青年でした(笑)。今ももちろん素敵なんですけど、沢村さんとは、その後も数多くお仕事をさせていただいて、その度にいろんな印象があって楽しいです。

――今回、沢村さんは主人公たちを敵視する”悪い役”です。制作発表会見で沢村さんは「好感度を上げることに尽力してきたんですけど、たぶんそれが台無しになる」と苦笑いされてましたね(笑)

最近、素敵なお父さんや優秀なお医者さんを演じてらっしゃる中で、視聴者の方に目新しい沢村さんを見て頂けたらと思って今回の役になりました。男の人はアクの強い方がカッコ良かったりするところもあるので、沢村さんの優しいだけではない、ダークでお茶目な面が見られるといいなと思ってます。

――最後に視聴者の方にメッセージをお願いします!

私は1話完結で、楽しくなったり考えさせられる刑事ドラマが好きでしたので、毎回、気持ち良く終わらせて、見終わり感の良い元気を与えられるようなドラマになればいいなと考えています。今期も刑事モノが多くてびっくりするくらいなんですけど(笑)、私は女性が頑張る姿が世の中を明るくすると思っているところがあるので、ドラマを通じて視聴者の方にも明るい気持ちになっていただければと思います。