ハンバーグの販売が話題になったかっぱ寿司だが、それ以外にも注目の取組みがある。それは地域限定ネタだ。2月以降、秋田県、岩手県、長野県、青森県と続けて県内限定のご当地メニューを販売してきた。なぜご当地メニューを展開するのか。理由を聞くと、経営課題までたどり着く。
4県ですでに開催
かっぱ寿司が2月以降に取り組み始めたのが秋田朝日放送、岩手めんこいテレビなど各地のテレビ局とコラボレーションしたご当地メニューだ。テレビ局との共同プロジェクトとなり、番組出演者などから提案を受けながら、開発したメニューとなる。
秋田県ではいぶりがっこを使った「まぐろたたきがっこ」、岩手県では「岩手じゃじゃ味噌いなり」、青森県では「真いかバジル(青森のりんごのせ)」、長野県では「野沢菜サラダいなり」などといったメニューが開発され、県内限定で販売されてきた。
ここまで限定メニューが続くと、全国展開も期待されるが、先はどうなるのか。カッパ・クリエイトの牛尾好智マーケティング部長によると、今期力を入れているのがこの取り組みなのだという。集客効果があること、そして、何よりも現場の社員のモチベーション向上にもつながるとのことで、「47都道府県すべて実施するとまでは断言できないが、数カ月先までは決定している」とし、限定メニューの開発・販売はこの先も続くようだ。
地域限定ネタに力を入れる理由
限定メニューはなくなり次第終了となるキャンペーン的な位置づけ。一時的な売上拡大を主眼にしたものと言えるが、かっぱ寿司の現状を探ると、さらに深い意味がある。
回転寿司の市場が拡大するなかで、かっぱ寿司は苦戦を強いられている。業界最大手のあきんどスシローとは、差がつくばかり。その差を埋めるためのひとつの答えが、キャンペーンというわけだ。
寿司の味には自信があるというかっぱ寿司。目下の課題は、いかにかっぱ寿司の味に触れてもらうか、だ。昨年から食べ放題企画の「食べホー」を全国展開した理由もここにある。今回の限定ネタを開始したのも、同じ理由からだ。
牛尾部長の見立てでは、多数のキャンペーンを展開してくるのがスシローであり、スシロー以上に話題づくりに取り組まねばならないという認識だ。キャンペーンの実施に向けては、店舗の負担も考慮せざるをえず、店舗のオペレーション力も上げねばならない。こうした点において、スシローとは開きがあり、キャンペーンと一口に言っても、実現までの難しさはある。
ハンバーグの発売、限定メニューへの取り組み。ほかにも、平日限定のランチメニュー「かっぱのごち丼」(5月1日段階で8店舗限定)といった様々な取り組みを進めるかっぱ寿司。次にどんな一手で話題を作り出すのか、注目したい。