社外の人へ社内の者が休んでいることを伝える時に、あなたは何と言いますか? よく使われる表現として「お休みをいただいております」がありますが、何の問題もなさそうなこの言い回し、実は敬語としては間違った使い方なのです。今回はこの「お休みをいただいております」について、詳しく見ていきましょう。
「お休み」は間違い
「お休みをいただいております」が間違っている理由はいくつかあります。まずは「休み」という言葉に「お」を使っていることです。「お休み」の「お」を尊敬語と考えると、身内である社内の人間の行動を「お休み」と上げることになってしまい、社外の人に伝えるには適当ではありません。
同様に、自分が休む時の連絡でよく言う「お休みさせてください」も敬語としては間違いとなります。休む主体は自分であるにもかかわらず、尊敬語の「お」をつけてしまっているからです。この場合は、「休みをいただきます」と言うのが正しい表現になります。
また、「ご挨拶」や「お詫び」「お願い」のように、「謙譲語」として「お」や「ご」をつけることもあります。この解釈から、「休み」に「お」をつけているとも言えなくはありませんが、いずれにせよ尊敬語か謙譲語かハッキリとしない言い回しで曖昧な表現です。こういう場合には、「お休み」ではなく「休み」と言う方が適切です。
「いただく」も不適切?
さらに、「休みをいただいております」の「いただく」の部分も問題です。「いただく」は「もらう」の謙譲語ですが、「休み」は「もらう」ものではなく、自分が「取る」ものだという見解もあり、先方からの問い合わせに対して、休みを「いただく」というのはおかしいと違和感を抱く人もいるようです。
これらの理由から、「休んでおります」あるいは「不在にしております」と言い換えるのが、敬語表現としては最も適当な表現となります。
「休み」に関する敬語表現
(電話で「○○さん、いらっしゃいますか?」に対して)
「申し訳ございません、あいにく○○は本日休みを取っております」
「○○は不在にしております」
(自分が会社をやむなく欠勤する場合の連絡)
「体調が優れず、休みをいただきます」
「父の容体が悪化し急遽帰省しなければいけなくなったため、申し訳ありませんが、本日は休みをいただきます」
(尊敬語として、社内の人に)
「○○店長は本日お休みされています」
(休んでいる目上の人への連絡)
「お休みのところ、大変申し訳ございません」
「○○部長、お休みのところ恐れ入ります」
何にでも「お」や「ご」をつけてしまえば、一見丁寧な言い回しのように思えますが、自分や身内の行動を尊敬語にしてしまう場合があるので、注意が必要です。また、近年多用される「させていただく」も、よく熟知した上で使わないと敬語として間違った表現になることがあります。
敬語はビジネスマナーの基本の「キ」とはいえ、完璧な習得はなかなか難しく、勉強も時間も必要なもの。いつも言葉に敏感に、向上心を持って使っていきたいものですね。