きょう29日(19:00~21:54)に放送されるフジテレビ系特番『池上彰緊急スペシャル 激動の朝鮮半島!どうなる拉致問題!平成の宿題 徹底解説』で、ジャーナリストの池上彰氏と、北朝鮮による拉致被害者で新潟産業大学准教授の蓮池薫氏が対談する。南北首脳会談翌日の28日というタイミングで、都内のホテルで行われたこの対談の収録後に、池上氏と蓮池氏がマイナビニュースの取材に応じた。
今回2人が対談するのは初めてで、蓮池氏は「(池上氏は)すごく引き出すテンポが素晴らしいなという感じを受けました。池上さんの質問は深い知識の上で出てくるので、これはもう正直に話さなくてはならないなと感じがあって、完全に池上さんのペースでした(笑)」と感想。
対談では、蓮池氏が拉致された当時のエピソードも詳細に明かす。精神的につらかったと心境を吐露するほどの話をすることについては「そこはもう割り切ってます。使命感というのもありますし、やはり国民の皆さんに拉致問題に関心を持ってもらうには、一般論じゃダメで、生々しい現実を聞いていただくというのが大前提でなければいけない。だから最大限、当時のことを話しますが、残された拉致被害者にとって不利に動くようなことは話しませんし、避けています。もう1つは外交問題なので、北(朝鮮)の体制を露骨に批判することはしません。それ以外は、そのままを伝えていこうと腹を決めました」と、スタンスを語った。
そして、南北首脳会談という歴史的な出来事を受けて、番組出演することについては「拉致問題を解決するというのは、外交問題であることを再認識していただきたい。外交というのは、ギブ&テイク、つまり、力づくではなく、お互いがウィンウィンの状況に持って行くことで解決していくことになると思うんです。だから、これから日本政府がやっていくであろう交渉に『なんでそんな譲歩するんだ』とは思わず、寛大な思いで応援してもらえればという思いを伝えたかったんです」と、背景を打ち明けてくれた。
一方の池上氏は、蓮池氏に対し、「(北朝鮮から帰還して)16年がたって、今だから見えてくるものがおありなのかなという気がしますね。振り返ることによって、冷静に客観的に自分たちがなぜあのような目にあったのかというのを、きちんと分析されてると思いました」と印象をコメント。
南北首脳会談があり、米朝首脳会談が控えているという状況で、日本が"蚊帳の外"にあると悲観的に受け止める論調がある中、対談で蓮池氏は「これは拉致問題を解決するチャンスなんだ」と話していたが、「あ、言われてみれば確かに、積極的に受け止めるというやり方があるんだなということを感じましたね」と、気付かされたそうだ。特に、蓮池氏から発せられた"チャンス"という言葉に、拉致問題解決への期待や興奮を「ひしひしと感じました」という。
また、今回の南北会談の共同宣言に、拉致が取り上げられなかったことについては「『がっかりしました』っていう声があるのかなと思ったら、『あくまで朝鮮半島の2つの国の話であって、想定内です』と言っていたので、すごく冷静に分析されているなと思いました」と感想を述べた。
池上氏は、拉致された当時のエピソードにも切り込んでいく。特に印象に残ったことを聞くと、「拉致被害者は何人もいるのに、(解放する対象に)なぜ蓮池さんや地村(保志)さんらが選ばれたのか、長年、疑問や憶測があった中で、蓮池さんは『子供がいて人質になるから、日本にとどまりたいと言わないと思われて、自分たちが選ばれたのではないか。日本に帰りたいと言った人は止められて、また戻ってくるだろうと北朝鮮が考えた人だけを日本側に帰したのではないか』とおっしゃっていました。その考えを、ご本人の口から聞いたのは全く初めてだったので、あっなるほどと思いましたね」と振り返っていた。
今夜の放送では、残り1年となった平成に起こったさまざまな事件、災害などのニュースを振り返りながら、この時代に解決すべき「平成の宿題」を池上氏が解説。この対談を取り上げる「平成の日朝関係」に加え、防災&減災を取り入れた街を取材する「平成の災害」、日本のノーベル賞受賞者の激減の危機を訴える「平成の快挙」という3つのテーマで構成する。