1月26日から28日にかけて、日本武道館にて"リスアニ!LIVE2018"が開催。アニメ音楽誌・リスアニ!が主催する、毎年恒例のアニメ音楽の祭典とも言えるこのライブは、今年も全アーティストが生バンドを背負ってのライブ。
さらに各アーティストのステージ後にはMC・冨田明宏による生インタビューも行われるなど、音とアーティストの想いにこだわるアニメ音楽誌らしいライブとなった。本稿では、そのうち3日目・SUNDAY STAGEの模様をお届けする。3日目の出演者はアイドルマスター ミリオンライブ! ミリオンスターズ、綾野ましろ、内田真礼、小松未可子、さユり、fripSide、FLOW。
●一見対照的ながら、どちらも心を激しく揺さぶる序盤2組
スクリーンに映し出されたカウントダウンタイマーがゼロになり、トップバッターとして登場したのは"リスアニ!LIVE 2017"では3日間の大トリを飾ったFLOW。「風ノ唄」をイメージさせるinterludeのなか登場すると、その「風ノ唄」の頭サビを歌い上げてのコールでいきなり会場のボルテージを急上昇させる。
トップバッターには贅沢すぎる人選のように感じられたが、裏を返せばスタートダッシュにはうってつけの存在だ。続く「WORLD END」でも、イントロで大歓声。ラストのロングトーンをはじめ、力強くも高らかに歌い上げられていくサビをはじめ、グイグイその歌声で観客を引っ張る。
また、「ブレイブルー」では、イントロ中にペンライトの光は次第に青に染まりゆく。シンセストリングスの音が涼やかな風を吹き込むような楽曲とその光景とが、青空をイメージさせる。
そしてKEIGOの「思いっきり跳べますか!?」の言葉に続くのは、必殺ナンバー「GO!!!」。恒例となった2サビ明けのウェーブや落ちサビでの大合唱など、アニメ音楽好きにとっての必修科目のひとつとも言えるこの曲での盛り上がりは段違い。KEIGOとVo.KOHSHIもステージ中を全力ダッシュしながらお立ち台でジャンプしたりと、とにかくパワフルでタフなステージングをみせる。
そしてラスト曲「sign」でも、歌い出しと同時に沸く場内。2サビやラスサビでは観客に歌唱を委ねるなど、さらに会場をひとつにまとめて締めくくった。1曲目から5曲いずれの曲でも心にビンビン来る音を届けてくれるのは、FLOWがライブバンドとしての圧を持っているから。続くトークパートで冨田氏が呼び込みの際に口にした「最強のライブバンド」との評の的確さ、この日会場にいた観客は誰もが感じていたことだろう。
続いて登場したのは、さユり。はじめての"リスアニ!LIVE"のステージに普段通りギターを抱えて中央まで歩を進めると、まずはそのギターを爪弾き「それは小さな光のような」から自らのステージをスタート。
リリックVを背負いながら、ともすればもがいているかのようにも聴こえるほどの精一杯の歌声で、武道館を圧倒していく。その必死さ・危うさこそが彼女の魅力であり、そこにみずみずしさも併せ持つボーカルは、その後も次々と聴衆の心を震わせていく。
曲明けのMCで、曲に込めた想いを語ってから新曲「月と花束」を披露。VJには"二次元さゆり"も登場し、さらに彼女の作る世界観へと観客を没入させていく。曲中でカウントの変わるこの難曲でも、さユりの発するエモーショナルさは変わらない。
それは歌声のみならず、2サビ明けでは髪を振り乱しながらのギタープレイにも表れていた。そして続く「平行線」では冒頭のアコギに続いて、自らもさらに自らの楽曲世界に入っていく。その結果、彼女の若さと鋭さとが感じさせる危うさをより強く感じられる1曲となり、歌声は聴く者の受け止め方によって、切なくも儚くもエモくも聴こえるものとなっていた。
そして最後に歌ったのはメジャーデビュー曲「ミカヅキ」。静かめに入りつつもサビでは一気にその感情を開放。“それでも”という彼女の活動の軸になっている言葉が織り込まれた大切な1曲を最後に力いっぱい精一杯届け、彼女の出番は幕を下ろした。
●パフォーマンスをアップデートして、踏んだ2018年の武道館の地
続いて登場したのは小松未可子。4年ぶりの"リスアニ!LIVE"で彼女は、ジャズ等の雰囲気ただようオシャレさの強い楽曲を次々と披露。まず「Maybe the next waltz」では優雅なボールルームのようなVJを背負い、ワルツに乗って優雅に歌いゆく。2サビ明けの間奏でサウンドにたゆたいながら、スタンド・アリーナをほほ笑みながら見やったときの小松は、やはりこの場に"帰ってきた"という実感を、改めてその身と心に染み込ませていたのだろうか。
そしてよりサウンドにポップさの増した「Catch me if you JAZZ」では、オシャレ感の強いサウンドに乗せてメロディに合わせて跳ねるように歌いゆく。楽曲とVJにマッチした社交ダンス感あるパフォーマンスとともに楽しそうに歌いきったところで、かつて『リスアニ!TV』のOPテーマにもなっていた「LISTEN!!」へ。直前2曲とはうってかわってコール部も多く観客が明快に盛り上がれるナンバーでは、小松自身もステージ両サイドへ向かって観客の近くで歌唱し、楽しんでいた。
この曲を歌ってから、「ただいまー!」の言葉が聞かれたのも、ファンに加えてリスアニ!LIVEに来続けている観客にも嬉しいポイントだったことだろう。そして「Swing heart direction」では楽曲のテイストと小松の歌声が絶妙にマッチし、オシャレさをさらに増幅させ、ラストの「HEARTRAIL」へ。
イントロでスカートをひらりとなびかせて、最後は楽曲に沿って明るく元気いっぱいに披露。素晴らしいポップス・シンガーになったことを改めて感じさせてくれたこの曲をジャンプエンドで締めくくり、自らの出番を終えた。
4組目、SUNDAY STAGEの折返しに登場したのは、綾野ましろ。特にこの1年ほどめざましく充実してきているライブ・パフォーマンスの実力を、この日も遺憾なく発揮してくれていた。
まずデビュー曲「ideal white」は、Bメロやファルセットの部分に儚さを残しつつも、今の彼女の力強さの乗った"2018年版"のものに。Dメロから大サビにかけての感情を乗せての緩急の振り幅の大きさは、武道館中に叩きつけた彼女の進化のハイライトだった。
続く「NEWLOOK」ではお立ち台へと登り、武道館全体をさらにアゲていく。「もっと声聞かせて!」と煽る姿は実に楽しそうで、突き抜ける歌声は爽快のひと言だ。また、彼女らしさでもある歌い方のクセは、明るく清々しいこの曲では楽曲と混ざり合い彼女ならではの愛嬌として会場中に響いていた。
そこから一転、バラード「Lotus Pain」では序盤のウィスパーでぐっと観客を引きつけ、儚さと切なさの表現をより深掘りした歌声を聴かせていく。儚く入りつつも後半は一気に想いを全開に打ち出していったラスサビに、その聴きどころが凝縮されているように感じられた。
そして「今まで(出演した"リスアニ!LIVE")の中でも、いちばん最高の居場所を作りたい!」と意気込み、「infinity beyond」へ。頭サビを歌い切ったのちに「行くぞ、武道館!」と観客を再点火。ステージ端まで行き、観客に接近したところで歌唱。間奏では逆側へと駆けて移動するも、ボーカルのパワフルさが変わらない点はさすがのひと言だ。
そのままリリース直後の新曲「starry」でさらに会場のボルテージはUP。ファンタジーの香りを付加したシリアスなロックチューンに乗る攻めまくりの歌声は、物語を切り開いていくかのようなイメージを与えてくれる。そしてラストは「vanilla sky」。イントロで再度沸く観客に、頭サビの「僕達次第」のフレーズを「武道館次第!」と変えてぶつけ、ウルトラハイスピードな楽曲で最後に再びブチ上がる。ラスト曲にもかかわらず「まだまだこっからだぜ!」と煽りながら、最後まで気持ちよさそうに力いっぱい歌い上げていった。