「プリムール」という言葉をご存じだろうか。ワイン愛好家ならわかるだろうが、プリムールは“新酒”を表す言葉である。その意味ではボージョレ・ヌーヴォーのようなものだ。
ただ、ボージョレ・ヌーヴォーはフランス・ブルゴーニュ地方で生産され、11月の第3週に解禁されるワインのことを指す。つまりは、一定の条件を満たしていなければ、この名称は当てはまらない。
一方、プリムールは出荷日に規定はない。一般的にワイン用ブドウは秋に収穫されるが、それを特殊な製法で早くボトリングし、春頃に出荷するのがプリムールだ。そのプリムールのメディア向け試飲会を日本ワインの雄、メルシャンが開催した。
会場は明治記念館。30~40人ほどのメディアが集まり、テイスティングを楽しんだ。用意されたのは白ワイン3種、赤ワイン4種の計7種。すべて、メルシャンのフラッグシップブランド「シャトー・メルシャン」だ。格式高い明治記念館で、シャトー・メルシャン7種を数十人に提供する。しかも、日本在住で初めて認定されたマスター・オブ・ワイン 大橋健一氏を招いてのセミナーとなった。
今回のワインブームは本物か
ワインのセミナーとしては、なかなか大規模なものだった。そしてプリムールというワインジャンルをメディアにPRしたのにはワケがあると思う。それは、今がワイン愛好家を増やす好機とみているからではないか。
これまで、日本には何回かワインブームが訪れた。1998年頃には赤ワインに含まれるポリフェノールが話題になり第6次ワインブームとなった。ただ、これまでのワインブームは短期間で終息してしまったことが多い。ところが2012年頃から現在まで続く第7次ワインブームは、かなり長く続いており、しかも日本でのワイン消費量は右肩上がりだ。
ただ、アメリカやフランス、イタリア、スペインといったワインを普段から飲む国々に比べれば、日本でのワイン消費量は少ない。それだけに伸びしろがあるともいえ、ワインを多くのユーザーに定着させたい企業は、積極的にプロモーションに出ている。今回のメルシャンワインセミナーは、そうした意識の表れだろう。
もうひとつポイントがある。それは、日本産ワインの人気が高まっていること。転機のひとつとなったのは、和食が世界文化遺産に認定されたことだろう。和食を日本産ワインで楽しむというスタイルを好む人が多くなった。ある酒類関係者は、海外で日本産ワインが提供されるシーンをみることが多くなったという。