最近、何かとメディアを賑わせている相撲協会。中でも、人命救助にあたる女性や女性市長、子ども相撲の女児など、女性が土俵へ立ち入ることを禁ずる一連の「女人禁制」問題は、さまざまな論争を呼んでいます。そこで今回は、この「女人禁制」という言葉について調べてみました。

  • 「女人禁制」はニョニンキンゼイ? それとも~キンセイ?

■「女人禁制」の意味

「女人禁制」について辞書をひくと、「仏教の霊場や修行の場で、女子は僧の修行の障害になるとして、その立ち入りを禁ずること。また、特殊の神事に女子の参加するのを認めないこと。比叡山・高野山におけるものなどが有名だが、明治以後大部分は解禁された」と記載されていました。

■「女人禁制」の読み方

みなさんは、「女人禁制」をどう読みますか?「にょにんきんせい」と読む人もいれば、「にょにんきんぜい」という人もいるようです。結論から言うと、今はどちらも正しいようです。

辞書に掲載されている読み仮名もさまざまです。

・大辞林 第三版「にょにんきんぜい」(「にょにんきんせい」とも) ・デジタル大辞泉「にょにんきんぜい」
・日本大百科全書「にょにんきんせい」
・ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「にょにんきんせい」

「禁制」だけで調べてみると、読み方は「きんせい」となっていますが、「古くは"きんぜい"」と記載されていることから、元々は「きんぜい」と読まれていたことが分かります。

また、NHK放送文化研究所では、「にょにんきんぜい」が正しくて、「にょにんきんせい」を誤りとしています。さらに、TBSアナウンサーの安住紳一郎氏によると、TBSでも「にょにんきんぜい」を正解としており、「にょにんきんせい」と読むと怒られるのだとか。しかし、今では、「にょにんきんせい」の方を採用している放送局もあるとのこと。言葉のプロである放送業界でも、統一されていないのが現状のようですね。

■女人禁制の例文

・「この寺は女人禁制なので、あなたはここで待っていてもらえませんか」
・「女人禁制につき、女性の方は立ち入らないでください」


言葉というものは、時代とともに読み方や意味合いが微妙に変化していくこともあります。今回は、相撲協会の問題から「女人禁制」についてお話ししましたが、世の中には「男子禁制」の場所もあります。相撲協会だけでなく、また女性に限らず、男女の扱いに対する考え方も少しずつ時代とともに変化していくのかもしれませんね。いずれにせよ、まだまだ議論は続きそうです。