20作品がそろった2018年の春ドラマ。今回もドラマ解説者の木村隆志が、全作品の初回放送をウォッチ。俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視!」したガチンコでオススメ作品を探っていく。

別記事(2018年春ドラマのオススメ・傾向分析! 黒いカリスマ、テレ朝一強の意味)において、2018年春ドラマの主な傾向を[1]「毒をもって毒を制す」黒いカリスマの痛快劇 [2]春らしいフレッシュな「初主演俳優」がそろい踏み [3]視聴率は「テレビ朝日の一強」への3つと分析。

おすすめドラマとして、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系・月曜21時)、『ヘッドハンター』(テレビ東京系・月曜22時)、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系・土曜23時15分)、『シグナル』(フジテレビ系・火曜21時)、『いつまでも白い羽根』(フジテレビ系・土曜23時40分)の5本を選んだ。

本記事では、それらを含む全作品のショートレビューと、目安の採点(3点満点)を挙げていく。

『コンフィデンスマンJP』月曜21時~フジテレビ系

長澤まさみ

長澤まさみ

出演者:長澤まさみ、東出昌大、小日向文世ほか
寸評:キャラ設定もストーリー展開も荒唐無稽ながら、視聴者の意表を突く結末につなげる脚本は古沢良太ならでは。1年以上前から準備を進め、日韓中同時制作という大プロジェクトに相応しい突き抜けた作品に。長澤らキャストの演技トーンもそろい、理屈抜きに笑わせてくれる。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

『ヘッドハンター』月曜22時~テレビ東京系

江口洋介

江口洋介

出演者:江口洋介、小池栄子、杉本哲太ほか
寸評:他枠がケレン味や脱力に走る中、「クールなトーンで会社と人間を描こう」というスタンスが素晴らしい。説明ゼリフの処理やベテラン俳優の芝居を見せつけるような脚本は、さすが林宏司。WOWOW風だが、共同テレビのエースを並べたスタッフ力で、エンタメ度は上回る。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

『シグナル 長期未解決事件捜査班』火曜21時~フジテレビ系

坂口健太郎

坂口健太郎

出演者:坂口健太郎、北村一輝、吉瀬美智子ほか
寸評:目を引くのは、韓流リメイクの物語ではなく、映像の質感。青や緑のフィルターをかけたような色味で、硬質なサスペンスのムードを漂わせている。安易な一話完結に走らず、事件とミステリーを連鎖させる連ドラらしい脚色に好感が持てる上に、青臭い刑事を坂口が好演。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

『花のち晴れ~花男Next Season~』火曜22時~TBS系

杉咲花

杉咲花

出演者:杉咲花、平野紫耀、中川大志ほか
寸評:放送前から話題も仕掛けも前シリーズ関連ばかりだが、フレッシュなキャストを思えば仕方なし。ただ世界観を完全に踏襲している分、「なぜ今なのか?」の答えがなければ色あせた印象に。経験豊富な杉咲と中川は安定しているだけに、作品の出来は平野の頑張り次第。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 期待度☆】

『特捜9』水曜21時~テレビ朝日系

寺尾聰

寺尾聰

出演者:井ノ原快彦、羽田美智子、寺尾聰ほか
寸評:やや無理のある再集結ながら、はじまってしまえば問題なし。ただ、他メンバーの『9係』らしいやり取りが健在な分、しばらくは寺尾の含みあるキャラが浮いてしまいそう。安易な対立構図などを描くよりも、「ポジティブなマンネリ」を貫くほうがこのシリーズらしい。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】