米Googleが2011年以来となるGmailデスクトップ版の大幅なアップデートの提供を開始した。「受信トレイ」画面のデザインを刷新。生産性とセキュリティを向上させるアップデートになっている。
新しいデスクトップ版のGmailでは受信トレイ画面のまま、多くの機能を利用してメールを処理できるようになっている。これまで受信トレイでは、メールを選択またはメールを開かないと、削除やアーカイブ、既読/未読といったアクションを行えなかった。新しいGmailでは、受信トレイに並ぶメールにポインターを合わせると、件名の横に「アーカイブ」「削除」「既読にする/未読にする」「スヌーズ」のアイコンが現れ、それらをクリックするだけでアクションを完了できる。新機能の 「スヌーズ」は、すぐに処理する必要のないメールを受信トレイから非表示にする機能。再表示の設定は「今日中」「明日」「今週末」「来週」をリストから選べるほか、日付/時間の指定も可能だ。
また、返信などメールのやり取りをサポートする機能が追加された。1つはモバイル版で採用されているスマートリプライ。機械学習を活用した自動返信機能で、例えば「もうすぐ到着します」というメールに「了解です」といったような返信予測内容が表示され、ワンクリックで素早く簡単な返信メールを作成できる。もう1つは、重要なメールの返信やフォローアップを確認する機能。これが表示される頻度は多くはないが、メールをやり取りする相手や内容から重要なメールでアクションが必要とGmailが判断した場合、「3日前に受信しました。返信しますか?」といった確認を表示する。
セキュリティ面は、フィッシングの可能性など不審なメールを警告するメッセージを、より大きく目立つデザインに変更した。また、コンフィデンシャル・モードというメールの内容の秘匿を強化するモードを用意した。送信するメールを開くためのパスコード (SMSで送信)を設定したり、メールにアクセスできる期限の設定が可能。コンフィデンシャル・モードのメールはURLリンクとして送られ、受信者がGmailを使用していたらGmail内でアクセスが可能。受信者は閲覧や返信を行えるが、転送、コピー&ペースト、印刷はできない。そのため、受信者のGmailアカウントが乗っ取られるようなことが起こっても、アクセス期限やパスコードを設定していたらメールの内容の漏洩を防げる。
デスクトップ版のような大幅アップデートではないが、モバイル版もアップデートされ、優先度の高いメールをGmail内で通知する機能が追加された。またユーザーがあまり開いていない購読メール (ニュースレターなど)に対して購読の停止を提案するメッセージを表示するようになる。
デスクトップ版の新しいGmailは25日から使用できるようになる (いくつかの機能は数週間中の提供開始)。デフォルトでは従来のデザインになっており、右上のギア・アイコンをクリックして「新しいGmailをお試し下さい」を選ぶと新デザインに切り替わる。