「服なんて着られれば何でもいいじゃん」その通りです。でも、それが通用しないのがビジネススーツ。襟の幅ひとつで印象が大きく変わってしまうのです。適当に買ったものを何となく着ているという人も多いかもしれませんが、スーツの世界にはルールがあります。そこで今回は、ファッションの世界で道を切り拓いてきたスタイルアドバイザー・たかぎこういち氏が、「スーツ偏差値を30上げる秘伝の技」を大解説します!
筆者プロフィール: たかぎこういち
スタイルアドバイザー。タカギ&アソシエイツ代表。1952年大阪生まれ。若くして輸入服飾雑貨卸業を大阪で起業。その後1998年現フォリフォリジャパングループとの合弁会社取締役に就任して以来、アニヤ・ハインドマーチ、オロビアンコ、リモワ、マンハッタンポーテージ等の海外ファッションブランドを日本市場に紹介、成功させる。
また、「東京ガールズコレクション」「デザイナーズ&エージェント」など国内外のファッションイベントにも参画。現在は日本のビジネスパーソンのファッションリテラシー向上を目指して体系化したオリジナルの「6ポインツ・メソッド」を伝えるべく、「日経DUAL」「WEDGE Infinity」などへの記事執筆や文化服装学院、東京モード学園で講師としても活動中。
著書に「オロビアンコの奇跡」「LIKABLE GUY STYLING FILE」共に繊研新聞社刊「一流に見える服装術」日本実業出版社他。
「働くためになんでスーツを着なあかんの?」とか思ってませんか? スーツは英国を起源とする歴史ある男の服飾文化。明治政府が、アジアの国々がどんどん植民地化されるのを見て、「こらアカン! 日本も西欧化せんと植民地になるわ」と危機感を持ち、1872年には「洋装化」が大政官令として発布されました。これが、礼装スーツ着用の始まりと言われています。それからはや140年余り、日本のビジネスシーンでも、標準スタイルとしてスーツが根付いたわけです。
ビジネスを進めるには、必ず社内外ともに相手がいますよね。ここがプライベートとは大きく違う点。みなさんが仕事で関わる人たちに、第一印象を良く見せないといけません。そこでは、服装はみなさんの「包装紙」。最高の包装紙に包まなアカン。これがビジネススタイルで最優先されるべきポイントです。私は、この「包装紙」を活かした人と気にしない人に起こる、仕事上の損得の差をたくさん目にしてきました。能力は同じでも、服装を気にせん人は損してはる。
そこでみなさんには、第一印象のスーツ偏差値を一気に30アップできる、秘伝の技を伝えます。簡単! やけど、人生を変える程の価値がある。受験偏差値で30アップしたら志望校が変わるでしょ。E判定が一気にA判定。それくらい、変われると思といて。
スーツ選びの3つの基礎知識
私の秘伝の技「6ポインツ・メソッド」は、「T・P・O」と「S・F・C」の6つのポイントから成ります。今回「T・P・O」は会社でのスーツ着用として、あとの3つのポイントについて伝授していきましょう。
1. サイズ
一番大切なのは、自分に合った適切なサイズを選ぶこと。では、「適切なサイズ」ってどんなん? 実は重要なチェックポイントはこの6つだけ。
- 肩のサイズが緩すぎずフィットしている。若い諸君には今風のタイトな細めのシルエットがオススメ
- 上着を着た時に、袖丈からワイシャツが1.5センチ前後出ている
- 後ろから見ると上着の襟の上にワイシャツが1.5センチ程度出ている
- 上着の下のボタンはとめない。前のボタンをとめた時に拳がひとつ入る程度がGOOD
- 上着丈はお尻がギリギリ隠れる程度に
- パンツの丈はワンクッション
既製服は、妥協せずに必ずお直しを。人の体は既製服のように均一やないからね。パンツはベルトなしで履けるのがジャストサイズ。丈は直立した時に少したるみが出る丈。ワイシャツも、まずは第一ボタンをとめて首に指が2本程度入るサイズ。初めてだと少しきつく感じるかもね。肩も合わせた袖丈は、手首が隠れる丈。偏差値、上がってきましたね。
2. ファブリック(素材)
日本は四季の美しい国。スーツの素材も、その気候に合わせて季節があります。
次の一覧表を見て真似してみてください。服には必ず素材表示が付いてますから、分からなかったら確認して覚えましょう。学びは人生を豊かにしてくれるからね。
3. カラー
初心者が最も悩むのがVゾーン。シャツとネクタイとスーツのコーディネーションやね。しかしVゾーンのコーディネートには正解があるので、それを真似るだけでええ! 方程式と一緒や。法則を覚えればいいんです。今までみなさんは、教科書を手にしてなかったから正解を求められへんかった。でももう安心。
基本的なスーツは、ネイビーとグレー。ワイシャツは白をベースにしたブルーストライプ。ネクタイはボルドー・ネイビー・グレー・ブラウンをベースに、柄は無地・水玉・小紋・レジメンタルストライプ・細かいチェック・ニットタイから選んだら、どれを合わせても外れません。
色にはそれぞれイメージがあります。これらを上手く活かしながら、自分に合うカラーを選びましょう。
レッド・やる気や情熱
ネイビー・信頼や知的
グレー・慎重や大人っぽさ
ピンク・優しさやゆとり
ブラウン・堅実や落ち着き