デルは4月24日、新しいゲーミングPCのブランド「Dell G」と、ALIENWAREの新モデルなどの発表会を開催した。ここでは発表会の様子を、Dell Gの3モデルにフィーチャーしてレポートし、デルの新しいゲーミングPC戦略を占ってみたい。スペックの詳細は別記事を参照のこと。
デルでALIENWAREのマーケティングマネージャーを務める柳澤真吾氏によれば、グローバルのゲーミングPC市場では、同社は現在ナンバーワンの販売数を誇るそうだ。国内では2017年度は対前年比で1.5倍の製品展開数を実現。対前年比で1.8倍の販売台数になったと言う。
ゲーミングPC市場を好調に推移するデルにとって、ALIENWAREとは別展開となるDell Gシリーズの3モデルは、どのような戦略的な位置付けを持つのだろうか。
Dell Gシリーズは従来「Inspiron Gaming」シリーズとして展開していたモデルを進化発展させたもので、ゲーミングPCに初めて触れるゲーム初心者のみならず、ゲームを気軽に楽しみたいカジュアルゲーマー、ビジネスの合間に息抜きでプレイするゲームでも決して手を抜きたくないヘビーゲーマーなど、幅広いターゲットを想定している。高性能ながら15万円を切る低価格を実現しており、入門機やサブマシンにも選びやすい一台になっている。
GシリーズのGは、GraphicのG
柳澤氏は「GシリーズのGは、GameのGだけでなく、GraphicのGとしてもとらえている。全モデルでNVIDIA GeForce GTX 10シリーズを搭載。ディスクリートGPUやアンチグレアIPSパネルなどのグラフィック性能の高さを活かせるので、CGクリエイターや動画コンテンツの制作者などにも使ってもらいたい」と述べる。
コアなゲーマーから、ライトゲーマー、あるいはコンテンツクリエイターまでみすえたターゲットは、幅が広すぎてシリーズの特徴がぼやけてしまうように感じるかもしれない。この狙いを解く鍵は、Dell Gシリーズのラインナップ構成にある。
Dell Gシリーズは、3モデルありながらいずれもディスプレイサイズは15.6型(1,920×1,080ドット)。選択可能なスペック構成や筐体デザインの違いでモデルを分けている。
基本性能はDell G3 15がエントリーからミドルレンジに位置付けられ、Dell G5 15とDell G7 15はBTOでNVIDIA GeForce GTX 1060 Max-Qをグラフィックスに選択可能な点など含めて基本スペックはすべて同じ。海外モデルでは、Dell G7 15の方がより上位のCPUが選択できるといった差はあるが、日本国内の需要を考慮してこのような形になっている。
また、Dell G5 15が従来の「Inspiron 15 7000 ゲーミング」を引き継いだデザインなのに対して、Dell G7 15はどちらかと言うとDell G3 15に近いデザインを採用する。本体カラーのバリエーションは、Dell G3 15がホワイト、ブラック、リーコンブルーの3色。Dell G5 15がブラック、レッドの2色。Dell G7 15がホワイト、ブラックの2色だ。
直販価格は最小構成でDell G3 15が税別109,980円、Dell G5 15が税別124,980円、Dell G7 15が税別139,980円。エントリーとハイエンドの価格差が3万円に抑えられている。なお、Dell G5 15のみ発売日がGW明けの5月8日となっている。
「ゲーミングPCらしくないデザイン」で、カジュアルからヘビーまで取り込む
柳澤氏は「Dell Gシリーズの提供する新しい魅力は、ゲーミングPCらしくないビジネスにも使えるデザインです」と語る。
趣味はゲームというほどがっつりプレイしなくても、たまの息抜きでゲームをプレイするユーザーは非常に多い。そんなときにプレイできるゲームの幅を広げられると考えると、ビジネスでも使えるデザインのゲーミングPCは、実はとても高い実用性を持っている。
「ゲーム好きなのに普段はあまり自由にプレイできないお父さんにもいいかもしれませんね」と柳沢氏。
ここまでゲーミングPCっぽさを意識させないデザインであれば、量販店の売り場ではゲーミングPCコーナーではなく、通常のコンシューマー向けPCのコーナーに並べても違和感はなさそうだ。「当社としては両方のコーナーに置いていただくのが理想ですが、そこはお店の考えもありますし、売り場の場所取りは競合他社との競争ですから」と柳沢氏。
日本市場は欧米市場に比べると、いかにも"ゲーミングPC"というデザインよりも、一見してゲーミングPCと気付かない落ち着いたデザインが好まれる傾向にあると言う。Dell G3 15やDell G7 15でホワイトを採用した理由もこうした背景が一部にある。ゲーミングPCは高性能PCの代名詞でもあるだけに、中身はゲーミングだけれど外観は一般のコンシューマー向けデザインというPCは、今後ますます増えてくるのかもしれない。