円谷プロ製作の「ウルトラマン」シリーズ最新作『ウルトラマンR/B(ルーブ)』が、2018年7月7日より放送されることが、4月25日に発表された。

テレビ東京系で放送される「ウルトラマン」シリーズは、2013年の『ウルトラマンギンガ』、2014年『ウルトラマンギンガS』、2015年『ウルトラマンX』、2016年『ウルトラマンオーブ』、2017年『ウルトラマンジード』に続く第6作目にあたる。

これら"ニュージェネレーション"と呼ばれる新世代の「ウルトラマン」シリーズでは、主役のウルトラマンたちが歴代ウルトラヒーローや人気ウルトラ怪獣の力を借りて、特殊な戦闘状況に対応する外見にチェンジすることが大きな特徴となっているほか、1作ごとにさまざまな新機軸を導入して、常に新鮮な驚きと感動をもたらすテレビシリーズにするよう、努力と工夫が行なわれている。

2人のウルトラマン

『ウルトラマンR/B』のキービジュアルには、赤と青、2人のウルトラマンがポーズを決めている写真が使われている。歴代シリーズの中で、ウルトラマンと呼ばれる巨大ヒーローが2人、あるいは複数登場するケースは少なくはない。

アニメ作品の『ウルトラマンUSA』(1989年劇場公開)では、ウルトラマンスコット、ウルトラマンチャック、ウルトラウーマンベスという3人のウルトラヒーローがチームを組んで、アメリカ全土にわたってはびこる怪獣を相手に戦ったことがあった。

また、『ウルトラマンガイア』(1998年)では、地球と人類を守る使命を帯びたウルトラマンガイアのライバル的存在として、地球を守るためには人類が滅びてもよいと考えるウルトラマンアグルが登場し、ガイアとアグルの対立と和解がドラマを盛り上げた。

さらに、オリジナルビデオシリーズとして展開した『ウルトラマンネオス』(2000年)では、M78星雲の勇士司令部に所属するウルトラマンネオスをメインキャラクターとしながら、ネオスを陰ながらサポートする先輩ヒーローとして、宇宙保安庁所属のウルトラセブン21(ツーワン)が設定されている。

そして『ウルトラマンコスモス』(2001年)の劇場版第2作『ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET』(2002年)および劇場版第3作『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE』(2003年)では、地球と地球人すべてを愛するコスモスと、宇宙全体の正義に基づいて行動するウルトラマンジャスティスが激しいバトルを展開した。

この他にも、『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』(1998年)や『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ・ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』(1999年)、『ウルトラマンサーガ』(2012年/ウルトラマンゼロ、ウルトラマンコスモス、ウルトラマンダイナ登場)、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』(2006年)など、いくつかの劇場映画ではウルトラマン同士の共演がストーリー上の大きな見せ場となり、クライマックスで繰り広げられる強力怪獣との大スケールの決戦シーンを盛り上げている。

ウルトラマン・兄弟

このように、1作品の中に複数のウルトラマンが登場し、お互いの立場や考え方の違いから時に対立し、時に力を合わせて怪獣と戦うケースは、いくつかのテレビシリーズや劇場映画にて確認することができる。『ウルトラマンジード』のウルトラマンジード/朝倉リクとウルトラマンゼロ/伊賀栗レイトも、このケースに当てはまるだろう。

しかし『ウルトラマンR/B』では、ただ2人のウルトラマンが出てくるわけではない。劇中で活躍するのは、火のエレメントを宿した「ウルトラマンロッソ」(兄)と、水のエレメントを宿した「ウルトラマンブル」(弟)が登場する、兄弟ウルトラマンという設定が目をひく。

「ウルトラマン」で「兄弟」といえば、『帰ってきたウルトラマン』(1971年)のウルトラヒーロー共演劇からヒントを得て『ウルトラマンA』(1972年)で確立した「ウルトラ兄弟」という設定を思い出すという年季の入ったファンの方も多いと思われる。ウルトラマンAを助けに故郷のM78星雲から歴代ヒーローがかけつける、という設定を生み出したことにより、人気シリーズの醍醐味といえる「歴代ヒーローそろい踏み」がスムーズに行えるようになったのだ。

『ウルトラマンA』では、ウルトラ5兄弟を見守る存在として「ウルトラの父」が登場。当時の児童誌(小学館の学習雑誌)では、ウルトラ兄弟とは本当の兄弟ではなく、みな兄弟のように仲がよい(=同志的友情で結ばれている)ため、ウルトラ兄弟と呼ばれているという設定が作られた。続く『ウルトラマンタロウ』(1973年)では、この設定を発展させたかたちで「ウルトラの母」までも登場し、ウルトラ6番目の弟であるタロウはウルトラの父とウルトラの母との実子であるという、最強ヒーローを裏付ける設定までもが付加された。

『タロウ』に続く『ウルトラマンレオ』(1974年)では、ウルトラ兄弟の頭数を増やしていくスタイルをやめ、主人公のウルトラマンレオはM78星雲ではなく、獅子座L77星から来たヒーローとなった。L77星はマグマ星人と双子怪獣(レッドギラス、ブラックギラス)によって滅亡に追い込まれ、父や母、双子の弟を失ったレオは地球人おおとりゲンに姿を変えて、地球を第二の故郷として命がけで守りぬく決意をするのであった。

『レオ』で興味深いのは、マグマ星人の襲撃によって死んだと思われていた弟アストラが実は生きており、強敵怪獣に苦しめられるレオの前にたびたび姿を現して、兄弟ならではのコンビネーションで怪獣や宇宙人を撃破するエピソードが作られていること。レオとアストラは初期の設定では「双子」だったのだが、姿を現した際にレオと見間違われないよう、異なる外見へとデザインし直されている。特に目をひくのは腿の部分に取り付けられたマグマチックチェーンであるが、これはマグマ星人が取りつけたもので、アストラを救い出したと言われる"伝説の超人"ウルトラマンキングの力でも外すことのできない鎖という設定だった。アストラはいかなる状況にあっても、レオのピンチには必ずかけつける頼もしい味方であり、レオもまたどんなことがあってもアストラを信じ、ウルトラ兄弟の宝であるウルトラキーをめぐるトラブルが起きた際にも、キー盗難の疑いをかけられたアストラを守ってウルトラ兄弟と争う姿勢を見せた(※実はババルウ星人がアストラに化けて、レオ兄弟とウルトラ兄弟を戦わせようとした作戦だった)。

兄弟ウルトラマンの成長を描く「家族」のドラマ

このように、『ウルトラマンR/B』には、歴代ウルトラマンシリーズにおける「複数ヒーローの共演劇」と「兄弟ウルトラマンの"絆"」を盛り込んだ意欲的な作品だという期待が込められるが、最新ヒーローの魅力は決してそれだけではないだろう。

ウルトラマンシリーズの魅力をより追求した今回は、それぞれに深い思惑を秘めた複数の敵が現れ、視聴者の予測もつかないストーリーが展開されるという。セレクトショップを経営する父、女子高生の妹と暮らす兄の湊カツミ、弟の湊イサミは、ルーブジャイロとルーブクリスタルを手に入れ、カツミがウルトラマンロッソ、イサミがウルトラマンブルに変身する能力を得る。

湊兄弟が時にぶつかりあいながら、共に成長しながら強大な敵に向かっている姿を描く特撮アクション作品であるとともに、兄弟をとりまく「家族」を中心にした「絆」の物語が繰り広げられる予定。近作『ウルトラマンギンガ』や『ウルトラマンジード』でも見られた、若きヒーローが地球を守る過酷な戦いを経験することにより、人間的に大きく成長していく熱きドラマが期待される。

メイン監督を務めるのは『ウルトラマンオーブ』『ウルトラマンジード』でも手腕をふるった武居正能氏。そしてシリーズ構成には、『ウルトラマンオーブ』の中野貴雄氏と、武上純希氏、伊藤公志氏の名前が確認できる。

若き2人の兄弟を待ち受ける冒険と戦いのようすは、7月7日より放送開始される新番組『ウルトラマンR/B』で明らかにされる。50年以上もの長い歴史を持つ「ウルトラマン」シリーズの伝統を守りながら、良い意味で"予想を裏切る"斬新なストーリー展開や映像表現が観られることを期待したいところだ。

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンR/B製作委員会・テレビ東京