大事なプレゼンの一週間前、上司から「プレゼンの資料だけど、よしなに頼むよ」と言われた。「よしなに」ってどんな感じですか~? というわけで今回は、ビジネスシーンにおける「よしなに」の使い方や、注意すべき点について解説します。
■「よしなに」の意味
「よしなに」は、「よい具合になるように。よいように。適切に」といった意味になります。現代の言葉でいうと「よろしく」「然るべく」「適宜」といった言葉に類似しています。
現代ではあまり聞き慣れない言葉ですが、ビジネスシーンで「よしなに頼むよ」と言われたら、「いい具合によろしく頼む」「うまく折り合いつけて」といった感じでしょう。
■上司に「よしなに」はOK?
「よしなに」という言葉は、一般的に目下の人に対して使う印象が強い言葉です。上司に対し、「いい具合によろしく頼む」と言う人がいるでしょうか。たとえ、「よしなにお願い致します」と丁寧に言い換えたとしても、上司に「いい具合にお願い致します」などと頼みごとをする人はいません。
とりわけ、ビジネスシーンでは何らかの指示を出す際に使われる言葉なので、上司や取引先に対して使うのは、控えた方が良いでしょう。
■「よしなに」の例文
「今後とも、どうぞよしなにお付き合いください」
(今後とも、どうぞよろしくお付き合いください)「この件は、よしなに取り計らうように」
(この件は、うまく処理するように)
■「よしなに」の注意点
「よしなに」という言葉は、非常に曖昧な表現です。上司が部下に指示を出す場合、通常であれば「○日までにA社に渡す資料を作成してほしいんだけど、○○の部分を中心に、10分程度で説明できるようにまとめてくれる? よろしく頼むよ」と言ったりするでしょう。しかし、これを「A社の資料の件だけど、よしなに頼むよ」と言われたらどうでしょうか。
「よしなに」という表現は、具体的な部分を省いてしまう言葉です。指示する側からすればとても便利な言葉ですが、指示を受ける側からすれば非常に曖昧で、対応に困る表現でもあります。「よしなに」と言われたら、「いつまでですか?」「どのくらいのボリュームにしますか?」など、きちんと確認した方が良いでしょう。
とは言え、この確認作業を怠ってしまう人も多いようで、上司が意図していたものとは違う資料が出来上がってしまうというケースが多々あるようです。人というものは、"デキない人"と思われることを嫌う傾向があり、上司にあれこれ聞き直すことを避ける人が多いように思います。その結果、互いの解釈に違いが生じてしまうのではないでしょうか。
「いい具合に」「適切に」という感覚は人それぞれです。また、若年層ほど、「よしなに」という言葉を聞いたことがないという人が多いようで、自分の感覚だけでうかつに「よしなに」を使うと、イマドキの部下には何も伝わらない危険性も。部下への指示は、分かりやすく的確に行うようにした方が良いでしょう。また、上司から「よしなに」と言われた時は、具体的な指示を仰ぐよう心がけましょう。